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狂言、素囃子、千駄ヶ谷

狂言を見に行ったら
山本東次郎が最初に出てきて

狂言について、
ひいては表現というものについて
全て説明しようとする今の表現と
それとは全く逆の狂言について
狂言のまなざしについて
ひいては世界の平和について
熱く
熱く語っていた。

山本東次郎が出てくるとは思っていなかった
全くの不意打ちだった

ということもあるけれど
今年87歳で
現在もご活躍の東次郎は
私のアイドルなので



うわー!
東次郎だ!東次郎だ!

と、ものすごく嬉しがってしまい
隣りにいた13歳の息子に「落ち着いてね」と言われてしまう。

それでも
今、東次郎が舞台に立っていて
彼の一挙手一投足を見ることが出来るだけで
生きていてよかったなあ、と本当に思う。

中入りの後、
「瓜盗人」の前に早舞が入る。

締太鼓、小鼓、大鼓、笛からなる素囃子をしみじみと

いいなあ

と思って聞いていたのですが
終演後に息子が

「あの素囃子、良かったねえ」

と言っているのを聞いて
何と言うか、本当に良かったよね、
ありがとう
と思う。

と、言うのも
興味はあったけれど、私は狂言や能を
若い頃から見ていた訳では全くなく
見たことがあったとしたら小学校で見た

附子(ぶす)

くらいなもので
大して面白いものではない
というただそれだけの対象だったものが
子どもを産んで
たまたま狂言のワークショップというものに参加して
それがご縁で毎年2~4回
狂言の舞台に寄せて頂くようになって10年、

さすがにこれだけの数を見てくれば
いくらこちらが鈍でも少しは感じるものもあるというか
気が付くこともあったりするというかで

いやいや
子どものお蔭でまた
人生の楽しみが増えちゃったなあ
というお話。

でもこれも
こうして息子と分かち合っているからこその
楽しさなのだよなあ、
期限付きのこの楽しさを
今はまだ楽しみたいと思う。