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初夏のとれたてのアスパラガス

スーパーのアスパラしか食べたことのなかった私が、初めて、畑で獲れたばかりのアスパラを食べた感動は、忘れられない。アスパラのイメージといったら、「筋っぽい」という感じだったのに、新鮮なアスパラには、筋がないのだ。

我が家にはニワトリがいて、毎日卵を産んでくれるのだけれど、それを半熟の目玉焼きにして、茹でたばかりのアスパラにのせて、美味しい塩と胡椒を振って、ちょっと特別なオリーブオイルをひと回しすると、高級フレンチにも絶対に負けない一品になる。

そこから、アスパラについてすごく興味が湧いて、たくさんの料理本を読むと、その中に、「野生のアスパラ」について書かれたものがあった。イタリアの丘の上に、細い繊細な野生のアスパラが生えていて、まるで花を摘むかのように収穫する。家に持ち帰り、茹でたものにたっぷりのオリーブオイルをかけて食べる。

なんて素敵な世界。おとぎ話のようではないか。

その料理本の中では、イタリアの野生のアスパラの思い出を頼りに、細いアスパラを市場で購入して料理していた。

たまに安く細いアスパラがスーパーでも売っているけれど、時間が経っているものは、すごく固くなる。でも、畑でとれたばかりの細いアスパラは、最高に美味しいのだ。太いアスパラが高級品として扱われているけれど、香りは細いアスパラのほうがずっと良い。

結局、たくさんのレシピを試したけれど、一番美味しかったのは、この「細いアスパラ茹でオリーブオイルかけ」だった。細いアスパラを、少し柔らかいかな、というくらいに茹でる。細いから、食べるときに先の方は少し崩れてしまうけれど、そこにオリーブオイルが絡むと、旨味が爆発という感じになる。

この美味しさを、どうにかして皆さんにお届けしたいと思っているのだけれど、冷蔵便の宅急便で送ると、関東で丸2日かかってしまう。そうなると、着いた時には、もう下の方が固くなっているのだ。

たぶん、それでも、スーパーで購入するよりはずっと鮮度が良いものだとは思う(収穫した当日には発送するから)。でも、私の食べている「最高の味の細いアスパラ」には程遠くなってしまう。やはり、現地に来ていただいて、食べてもらう他はないのかもしれない。ひょっとしたら、太いアスパラより、細いアスパラの方が、貴重で高級品なのかもしれない。


いつか、この細いアスパラを食べてもらえるような場所を作りたい。

畑の近くの気持ちの良い場所に、テーブルとイスをセッティングする。畑から収穫したばかりの細いアスパラを、大鍋でタイミング良く茹でて、ホカホカの状態で、白い大皿にこんもりと盛り付ける。上から、オリーブオイルを好きなだけたっぷりとかける。粗塩をパラパラと振りかけて、フォークで刺して、大きな口を開けて食べる。スパークリングのワインを片手に。そよそよと、初夏の風が爽やかに吹いて、幸せな時間が流れていく。



ちなみに、販売しているMLサイズのアスパラは、関東への発送でも、すごく美味しく食べられます。文中にある料理本は、細川亜衣さんの「野菜」という本です。



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