見出し画像

なぜ100円のコーヒーを4本買ったとき、402円になってしまうのか?

今年の4月から、価格の税込総額表記が義務化されます。
どういうことかというと、、、

これまで税別価格表記は、「+税」とか「税抜」と書いておけば許される「特例」という猶予期間があったのですが、、
2021年3月31日でその猶予が切れますよ、ということです。

この記事では、ファストフード型飲食店業態を経営している立場として、消費税改正への対応についてまとめてみます。

・事業者編 :
消費者に商品やサービスを提供しているすべての事業者が
 消費増税対応のときに見落としてしまいがちなこと
 3月31日の夜までにやっておかなくてはいけないこと
・消費者編:
すべての消費者が、お店で価格を見るときに注意しておいた方がいいこと

事業者編

覚えてますか?
2019年10月に、消費税が10%に上がりましたよね。
あのときけっこう対応に苦慮したお店さんは多かったのではないかと思います。
そのはずで、私たち全員が初めての経験である「軽減税率制度」が適用されました。

画像2

これによって、同じ店でも
「イートインとテイクアウトで税率が違う!」
「持ち帰るのが食品かそうでないかで税率が違うが、お酒は除外!」
などの細かすぎる新ルールが導入され、

「じゃあデリバリーはどうなるの?」
「同じカゴにお酒が入ってたらどうやってレジを打つの?」
「テイクアウト専門店でも、併設ベンチで食べた場合は?」
などなど境界線が不透明状態となり、ここで大手各社の対応が分かれたり、そもそも何がどうなるのかよくわからないお店のオーナーも現れました。

私たち "フィコ・アンド・ポムム ジュース" のお店でも半年くらいかけての検討になりましたし、結局切り替えの当日にはかなりのバタバタ・ヒヤヒヤ現場対応がありました。

基本的には、対応しているレジを導入すればあとは設定を頑張れば乗り切れるのですが、まだ落とし穴があります。

税込後価格の小数点以下 を 切り上げるか、切り捨てるか、四捨五入するか?
内税販売 (税をかけてから合計する) か 外税販売 (合計してから税を足す) か?
税別表示税込表示 か?

この3つのロジックが、値札とレジの設定上できちんと合っていないと、たとえば100円の缶コーヒーを4本買ったときに「402円です」となって「あれ?」となります。
(2019年のときは、大手のコンビニさんですらやっちゃってました) 

[税込表示・内税販売の場合]
表示価格 100円 (税込)
100円 (税込) × 4本 = 400円 (税込)
[税込表示・外税販売で 税加算後小数点以下四捨五入の場合]
表示価格: 100円 (税込) 
本体価格: 93円
93円 × 4本 × 1.08 = 401.76円   →四捨五入で 402円 (税込)

もし疑問に思ったお客様から聞かれたら、レジのスタッフさんはこれを説明できるでしょうか!?
さらに、レジ以外のオーダーシステム (UberEatsなど) がある場合は、上記の算出ルールを全てのシステムで合わせておかないと「会計が毎回1円ずつレジとずれてる!」というようなことが起こります。


さて、ここまできちんと対応できていたとして、もし今お店で「税別表示」の形式をとっていたとすると、いよいよ今年の4月1日以降はそれが認められなくなってしまいます。

単価の低い小売店や飲食業態ほど、少しでも割安感を出すために本体価格の税別表示にして買いやすさを演出したいところですよね。
(F&Pの場合、実際のデータとして税別表示の方が買われやすいという結果が出ていました)

2021年4月以降は、このようになります。

画像1

消費者に対しての価格表示であれば、それがどのような表示媒体によるかを問わず、総額表示が義務付けられます。

・・・

このように、大手企業ですらヒューマンエラーの起きるような対応を、個人経営店でも求められているのが実態なのです。

それにしても、これだけの皺寄せが現場に来るとは、いつもながらに飲食店はなかなか不遇の扱いを受け続けていますよね。
2019年頃は人手不足が話題になっていた上に、最低賃金は上昇して人件費も高騰しました。
今回2回目の緊急事態宣言でも、飲食業は名指しで自粛要請を受けていますし、
小規模事業者が多いためにロビーイングで圧力を生めない業界構造も影響しているように思います。

消費者編

事業者編で述べたように、今年4月以降は総額表示が義務化されるため、商品を手に取った時と実際にレジで請求された金額に差があるというような状況が起きにくく、原則的に消費者にとっては「よりわかりやすい価格表示」になると言えます。

しかし実際にはなかなか事業者側もなかなかすぐには対応しきれないことが予想されます。

店頭の名札からチラシ、ホームページなどまで含めて全てが義務化の対象範囲となるので、店ごとの価格比較もしやすくなるはずですが、すべてのお店が税込総額だと思っていたら、実は一部のお店ではまだ税別のままになっていた、というなことが起こりえます。

また、軽減税率制度は引き続き残るので、
テイクアウト・イートインの両方がある飲食店などでは、
表示されている総額価格がテイクアウトのものなのか、イートインのものなのか、という点は注意して見ておく必要がありそうです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?