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デザインが理解されない?! 組織のデザイン認識を揃えるための3つのアプローチ

2020年8月21日に開催したroot Design Meetupにて、長谷川恭久さんとUX負債をテーマにお話をしました。

そこでの会話を受けて、組織がデザインを取り組むにあたって「デザインの認識がチーム内で共通になっていない」という共通課題があるように感じます。

これはUX負債の問題にも通ずる問題であり、どのように組織にデザインを共有していくのかをまとめてみました。

UX負債にも通じる、組織におけるデザイン認識という課題

UX負債の解消においても課題となるのは、施策の優先度を上げずらいものや、成果を優先した施策を実行するあまり置き去りになりやすいイシューたちです。

そういったプライオリティを上げにくいイシューに注目してもらうには、インベントリの作成やデザインの意図を言語化し残しておくことが大切というお話がイベントの中でもありました。

これはデザイナーにしか見えていないUXに関連する課題を、組織のイシューテーブルへ乗せることを指します。そういったアクションと合わせて組織内でデザイン認識や期待値が揃っていないことが、そのイシューを優先対応する意思決定や議論を行う上で阻害要因になっていることが多々あります。

デザイナーが孤軍奮闘することで課題解消に向けた取り組みを見かけますが、こうした状況が生まれるのは組織内でデザインに対する認識のずれが大きいことが要因ではないでしょうか。

組織内でデザイン認識を揃えるための取り組み

では、「組織内におけるデザインの認識を変えたい」となった場合、どのようにデザイナーはアプローチすべきなのでしょうか。おさえておくべき、3つのポイントを中心にご紹介します。

ユーザー視点を取り入れるためのワークフロー提案

プロダクト開発のサイクルには、必ずワークフローが存在します。

現段階で、属する組織においてデザイン認識がズレていると感じている方は、既存のワークフローがどのような流れになっているかをまず確かめることからはじめましょう。

企画、デザイン、開発実装までの流れを整理し、誰がどのパートでどのような役割を持って動いているのかを俯瞰して見ることで、デザインの検討を行うべき工程やイシューに対してどのような論点での協議、議論が必要なのかを具体化していきます。

またユーザーからのフィードバックが適切にプロダクトチームへ転換されていないケースも多く、イシューのプライオリティ判断や課題と施策の紐付けを整理していくことで、チーム内でのユーザー視点への意識を引き上げることがデザインプロセス導入の近道です。

ワークフローを把握していく中で、「5段階のUXモデル」や「ダブルダイヤモンドのフレームワーク」と照らし合わせることで、各工程が自社のワークフローの中のどのタイミングで実行されているか把握するとわかりやすくなります。

デザイン認識の揃っていない組織では、工程ごとで行うべき議論や論点が整備されていなかったり、デザイン工程に発散がなく収束(いわゆる形に起こすだけ)になっていることが多々あります。

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デザインプロセスを強制するトライは失敗を生みやすい

いざワークフローの整理をはじめたあと、デザインプロセスも教科書通りに導入をしようとしてしまいます。UXリサーチをして、インサイトを集め、プロトタイピングを作り、仕様検討、これらをすべてを盛り込んだ計画を、ワークフローに最初から入れようとするとデザイナー以外のメンバーは付いてこられません。苦労して改変したワークフローで、チームが成功体験を積み上げずらい状況が起こります。

まずは、既存のワークフローの延長でデザイン工程を入れられる余地を見つけましょう。例えば、企画段階の議論に参加しそこで行われる論点を図にまとめて見える形で整理してあげるだけでも、1つの成功体験を積むことができます。

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プロセス整備は手段なので、「これをやった結果、何につながったんだっけ?」が共有できていないチームには納得感が生まれずらくなります。メンバーそれぞれが主体的にデザイン関わっていくためにも、小さい成功体験の積み上げを組織内で作っていく必要があるのです。

意外と重要なのは裁量を持ったリーダーとの対話
ワークフローの整備をしはじめると、仕組みが整い、改善がうまく進むと考えがちです。ところが、ワークフロー図は1つの基準や指針でしかなく、それを元に関わるメンバーたちとの間で実行する動機づけを行うことが大切になります。

結果的にプロダクト開発を動かすのは人なので、人との対話を積極的に行い、ワークフローを変えていくことの目的やその結果どんなメリットがあるのかを継続的に伝えていくこと。特にイシューの選定や仕様検討を行う立場にあるPdMなどのリーダーと対話を続けていく。その積み重ねによって、活動を支援してくれる体制が徐々に組織内に生まれたケースを経験したことがあります。

また、こういったアプローチは組織の人数が少なく、仕組みが定着する前であるほど変化させやすいので発展途上の組織ではぜひトライしてみることをオススメします。逆に既にプロダクトの開発ラインがいくつもあり、複数チームで動いているようなケースでは、小さくはじめることが鉄則。1ライン実験的なチームを立てたりすることで検証をしながら進めていくのがオススメです。

まとめ

組織内でマインドセットや仕組みを変えていくことは非常に労力のかかることであり、組織のリーダーを巻き込めないことには実行へ移すことが非常に難しい問題です。こういった問題はUX負債と同じく日頃から小さな積み上げを行いながら、組織内で変化を起こせそうなタイミングを待つことが大切です。

強制的な改革や一気にやり方を大きく変える取り組みは必ず対立する存在を生み、デザイン認識を揃える取り組みを阻害してしまいます。所属しているチームで、思い当たるものがあればぜひトライしてみてください。

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