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ワークショップ第01回[20200406-0412]『はじめての哲学的思考』【読書会】

この記事はコミュニティ内部向けの記事になります。ご了承ください。

ジェイラボのコミュニティを一新し、ワークショップも新しくなったわけでありますが、特に区別するでもなく、改めて第一回からということで仕切り直して始めていきたいと思います。

さて、今年度から、ワークショップは基本的には課題図書を決めての読書会という趣とし、希望者には読書以外のテーマで議論の場を提供してもらうこともできるという形にしております。最初の数週は、僕が僕なりのやり方を実演してから、他のメンバーに引き継ごうと思っております。

初回として選んだ書籍はこちら。

選んだ理由としては、コミュニティ内には、うら若き高校生から僕のような薄汚れたおっさんまで様々なメンバーが混在しておりますので、ある程度議論の出発点を線引きして共有したいというのが、まず大きいです。

そして、本を「読んで」「考える」というサイクルを練習しやすい、つまり、平易な表現でかつ具体性に縛られ過ぎない程よい抽象思考で編まれた「演習素材」として選びました。

内容そのものについては、進行状況を見ながら補足が必要そうなら補足は加えようかとは思いますが、解説が必要なほど難解な内容ではないかとも思います。

ワークショップとして、やっていただきたいこと。

[A]
最初の五日間(月〜金)で、局所的なアプローチとして、
気に入った(気に入らなかった)表現を抜き出して、感想を添え、思うところがあれば皆でそれぞれ感想を述べ合う。何箇所でも好きなだけ抜き出して欲しい。
[B]
最後の二日間(土〜日)で、全体的なアプローチとして、
要するに、自分としては何を学んだと言えるかをまとめ、皆で意見交換する。

まず、[A]の作業において、基本的な「読み方」の練習をして欲しいと思います。読書の方法論は様々ありますが、極めて単純化して述べるなら、自分自身でかけたバイアスのフィルターによって情報の取捨選択をできるようになること、つまり、現時点で自分に何が身についていて何が身についていないのかを自覚しながら照らし合わせて読めることが、読書する前提の第一段階かと思います。情報量多い時は適当にとばしながら斜め読みして「速読法」とか言っているレベルでは、読書法もヘチマもあったものではありません。そもそも速く読むというのは、時計の時間的に速く読むというより、抽象的な次元で速く読むということであろうかと思います。たとえば、初めから、そこに書かれている内容の背景の大半が理解できていれば、じっくり腰を据えて読まずとも大体の内容は頭に入ってきます。速読とは、「速く読む」ことではなく、結果として「速く読める」ことですね。なので、慣れないうちは速く読もうなんて意識しすぎない方が良い。むしろ、じっくり何度も何度も同じ本を読み直してしゃぶり尽くすことで本を読む「感覚」が身につくこともあろうかと思います。なので、まず、面倒かもしれませんが、ざっと一回読む中で気になった表現には手当たり次第に印をつけ、もう一度印をつけた箇所を中心に読み直すということをやってください。その際、電子書籍であれば、読みながらハイライトをつけておけば、読み直し時の参照がとても楽だし、参照箇所ごとにちょっとしたメモもつけられます。紙で読むならページの隅を折る(ドッグイヤーをつける)ことになろうかと思います。僕はもう紙で読むことが全くなくなりましたので現役ではありませんが、紙で読んでいた時は、地獄のようにドッグイヤーをつけていました。図書館で借りたりしている人は、マナー上、折るのはやめて、付箋を貼るか何か挟んで印にしましょう。また、本に直接線を引くという方法は僕はやりませんでした。直接線を引くなんて美しくないし、やり過ぎです。ドッグイヤーつけておいて二度目に見直した時に、そのページ内のどの箇所が気になっていたのか思い出せないなんてものは、どのみち大して重要ではありません。見直して何も感じなかった箇所があれば、僕はそっとドッグイヤーを戻していました。ともあれ、一冊の本を読む中で、まず局所的に気になる箇所を拾って、小さいアイデアについて思考を巡らせるという訓練をしてみましょう。

そして、[B]の作業において、読書を終える「仕舞い支度」をして欲しいと思います。結局、その本を読んでどうだったのか。極めて私的個人的視点で構いませんので、自分なりに何だったのかを少しだけまとめておく。あまり厳密にルール化せず、自由にメモを残しておくと良いと思います。本の内容そのものについてのまとめでも構いませんし、その本を読むことで何か別な形でアイデアを得たのならそれに触れても構いません。そういうものをまとめておくことで、その本との距離感をラベリングして保管しておくことができます。

読書の技術としては、他にも様々な工夫はあろうかと思いますが、出発点としてとりあえずこれくらいは当たり前の感覚として確認しておきましょう。もっと細かく技術的な読み方をされている方は、ご自身の読み方をしていただければ構いませんが、一応皆で共有することを目的としてワークショップが開催されますので、この一週間は形式だけでも同じフォーマットでお付き合いいただければと思います。

念を押しておきますが、読書に慣れていない方は、無理に速く読もうとしない方が良いです。読むのに時間がかかるのだとしたら、背景の理解が不足しているということですから、時間をかけて読み、時に立ち止まって考え、また読み、を繰り返せば良いと思います。また、一回読んでよくわからなければ、何度も読み直す。そうやって、時間をかけて読む経験を積み重ねれば、いずれ、タイトルや目次、その他著者の経歴などのメタデータを見ただけで、中身を読むまでもなく大体何が書かれているかわかるようになったりもすると思います。真に独創性を持ったもの以外、ほとんどの本の中身は、別な誰かの思考のコピーですから。「読まずに内容がわかる」というのが、究極の速読法ですね。

なお、ワークショップとしては、特にここで指定した形式の発言でなくとも、思ったことは何でも、「質より量」の精神で発言してください。[A][B]などの作業の指定は、あくまでも議論の活性化のための道具立てです。それこそ、何らかの理由で本を読んでいない人も、「読んでないけど読んだ人に聞きたいことを聞いてみる」などの参加の仕方をしてもらって、全然構いません。

それでは、一週間よろしくお付き合いください。

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