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「雨に消えた向日葵」を読んだ

「雨に消えた向日葵」 吉川英梨 幻冬舎文庫 を読んだ。

埼玉県坂戸市で小学五年の石岡葵が失踪した。最後に目撃されたのは豪雨の中をひとりで歩く姿。現場には傘一本しか残されていなかった。誘拐か、家出か、事故か。葵が一か月前に同じ場所で男につきまとわれたという姉の供述を受け、県警捜査一課の奈良健市も坂戸市に急行した。二転三転する証言、電車内で発見された葵の私物、少女に目を付けていたという中学生グループ……。情報が錯綜し、家族が激しく焦燥に駆られるなか、執念の捜査で真相に迫っていく。

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地味。
いや、これ褒め言葉。
派手なキャラクターが出てくるわけでもなく、華麗なトリックがあるわけでもなく、ただただ、地道に事件後の捜査、家族、世間が描かれる。

捜査はもっとスパッと進むのかと思った。
しかし、捜査本部は解散され、継続捜査係に。
刑事の奈良は、それでも地道に関わり続ける。
読んでいてこのまま迷宮入りで終わるのかと不安になるくらい。
読者は三年間の捜査につきあう。
まさに執念。

被害者家族のつらさも胸に迫る。
ちょっと信じられないことも起こる。
姉への電話。
あれは読んでいて辛かった。
でも、案外本当にそういうことをする人がいるのかもしれない。

「奇跡とは、何かが起こることではなく、状況が整うことだ。」

状況が整うために、ありとあらゆる手をつくす。
そりゃ、地道にやるしかない。
ほんと脱帽。

ちなみに、この作品、WOWWOWで7月に連続ドラマになるらしい。
奈良刑事をムロツヨシさんが演じるらしいけど、ちょっとイメージがわかない。
だから逆に興味が湧くんだけど、WOWWOWじゃあ見れないんだな。残念。


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