見出し画像

「ザリガニの鳴くところ」を読んだ

「ザリガニの鳴くところ」  ディーリア・オーエンズ  早川書房  を読んだ。

ノースカロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。
6歳で家族に見捨てられたときから、カイアはたったひとりで生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女を置いて去ってゆく。
以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。
しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく……
みずみずしい自然に抱かれた少女の人生が不審死事件と交錯するとき、物語は予想を超える結末へ──。
(amazonより)

チェイス・アンドルーズは事故死なのか、他殺なのか?
犯人はカイアなのか?
陪審員たちは、公平な判断を下せるのか?
ミステリーとしても、先を読み急がずにはいられない。

一方、「湿地の少女」と呼ばれるカイアは、どのように生きてきたのか?
カイアの生きる強さ、孤独、愛憎…
湿地の濃密な自然描写と相まって、読む者の心を揺さぶる。

雌のホタルは、お尻の光らせ方を変えることで、交尾をし、雄を食べる。
カマキリの雌は自分の交尾の相手をむさぼり食う。
ここには善悪の判断は無用。そこに悪意はなく、あるのはただ拍動する命だけ。

では、人間は?

長いけど、一気読み間違いなしの良い本でした。

この記事が参加している募集

読書感想文

恐縮です