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「嫌な奴」を読んだ

「嫌な奴」 木原音瀬  講談社文庫  を読んだ。

学生時代に杉本の「親友」だった、粗暴で自己中的な男、三浦。病に臥せる三浦を、杉本は十二年ぶりに病院に見舞う。そこから再び始まった二人の奇妙な関係は、不本意な同居生活まで発展する。これはいったい、友情か、愛情か、執着か……。傑作BL『箱の中』の作者が、執拗かつ理不尽な同性同士の愛を描く。

執拗。うん、なかなかのまとわりつきっぷりだった。執着心。
理不尽。杉本にとっては理不尽なのかな。
愛。うーん、愛なのか。離れたくても離れられないどうしようもない心。好きという浮わついた感情は描かれない。

BLにどんなイメージがあるかはわからないけど、この本はどちらかというと、一般文芸書な感じなので、そこの入り口で手を引っ込めるなら、もったいない。まぁ、無理には薦めませんが(笑)
ちなみに、図書館で借りた本。

この人の書く人間心理の重たさとか、執着はなかなかすごいので。

ただ、「嫌なら断ればいいじゃん」という人には向かないかな。嫌で嫌で仕方ないんだけど、同じところをグルグルしてしまう気持ちがわかる人なら、面白いと思えるかも。

果たして「嫌な奴」って誰のことなんだろう。文字通りに取れば三浦だし、いや、でも、よくよく考えたら杉本が嫌な奴なんじゃないのか?


ちなみに、あらすじ紹介に載っている「箱の中」もなかなかな執着が書かれているので、そちらも是非。ただ、男同士の肉体的な絡みはちょっと…という人は、止めた方がいいかな。といっても、官能小説ではなく、文学小説程度の描写だった気がするけど、違うかもしれない(笑)




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