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私的楽器論:ティンパニ、その影の支配者的な実力を改めて論じてみる

タイトル画像:鶏とヒヨコがディンパニを叩くイラスト

オーケストラを最後尾から支えるティンパニ。付き合いは長いのに、叩かせていただいたことは一度もなく。

たった2つの音で、交響曲をまとめ上げる存在感はいつも感じていました。

こんなブログも書きました

ティンパニに関する妄想を書いたブログです。

下のリンク:自分のブログのティンパニの記事

ある種の原始的な存在感と、それを貫き通すゆっくりした進化に、他の楽器を寄せ付けない迫力を感じます。

2つで、と書きましたが

中学の吹奏楽部では2つだったのです。確か、一つのハンドルで音程を調整するタイプ。

当時、インスタントコーヒーのキャンペーンで楽器が当たるものがあって、山ほどハガキを書きました。吹奏楽部のみんなで。

4つにするぞ!の思いは、いくつかの末等のコーヒーカップに結実し、チャレンジ終了。

今は、吹奏楽の大きい編成では4つ使いがスタンダードだと思います。

楽器として4つの音、どうなの?

まず、音階を考えると4つでいいの?というのがあります。

でも、案外いいのです、というのを東京オリンピックで実感。表彰式の国歌演奏。

色んな国の曲を聴くことになり、案外音数少ない国があります。

君が代も、ドレミソラシ、シは一回だけ。5音でほとんど構成。

さらに音楽は和声で構成されると、例えばCのコードはドミソ。Fのコードはファラド。ドは共通。

ティンパニの担当がメロディではなく和声の構成音なら音数は減らせます。

さらに、今はペダルで音を即座に変えられる。

つまり。結構いい感じに活躍できるわけです。

それでも少ない、でも活躍できるわけは

メロディを構成する音は、そのベースになる和声の音だけではありません。

経過音という、和声構成音同士を結ぶ間の音、テンションとなる構成音に緊張を与える音、下から構成音に入る、上から構成音に解決する、など、いろいろな音があります。

なので、メロディには不向き。

ティンパニが担当するのは、そんな「小細工いらねー!俺は和声感を支配する!」という強い意志と存在感。

和声のベースになる音を中心にして、曲全体の大きな音感の流れを印象的にリードする、という役割なのです。

大編成の楽団、ついメロディが目立ってかっこいい!と思われがちですが。そこに、「そこはやらせてらるよ、でもここぞという時のベースは譲らない!」と、通奏低音組さえも脇役に追いやる役割を持っているのです。

曲をずーっと支えるのは通奏低音。でも、ティンパニは、曲の変化点で、確実な効果を担うことができる。曲の進行で変換点で支配してる感じですね。

結構古い楽器なのに進化してきた

戦争で合図を出したり鼓舞したりする使われ方なんかもされてきて、結構古くからあるのに、割と進化もしてる印象。

一番は音を変える仕組みでしょう。

皮(振動する面)を何箇所かでネジで固定、そのネジを一つ一つ調整してた頃から、ハンドルで全部のネジを一斉に動かす、次の進化はそれをペダルで。

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画像:ペダル式ティンパニのピッチを目で見る機構の写真

下のリンク:YAMAHAの解説ページ

楽器の進化はここであまり電気を使わない事。ボタン一発でピッチ調整!なんてのはあまり現場でも要求されないかも。

でも、ケトルと言われる本体部分の材質が変わったり、パッシブジェネレーター的なアプローチでサイズを小さく、なんて工夫はまだ残ってるかも。

こんなに語ったのに触った事ない…

他の楽器は触らせてもらったのに、なぜかティンパニは触らせてもらえず。

影の支配者、やってみたかったなー。



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