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『武器としての資本論』を読んで

マルクスの『資本論』は、読んだことはないけど、聞いたことはありますよね? 「いつかは読みたいとずっと思ってたんです!」というと嘘になりますが、なんとなく興味はあったんです。それで、たまたま仕事で読んでいた雑誌に『武器としての資本論』の書評が載っていて、これは読むしかないやろってなったんです。タイトルからして物騒で面白そうでしょ?

 「武器として」って、誰と戦うの? どうして戦わなきゃならないの? 『資本論』は、資本制社会の仕組みを解説したものだと思っていたのですが、違ってたんですね。そもそもこの本は、資本制社会の欠陥を科学的にあぶり出し、社会主義社会に転換させるためのものだったんです。ですから、『武器としての資本論』は、この世界を支配している資本制システムをぶっ壊すために、『資本論』を理解し、資本制が絶対じゃないんだと納得して、資本制社会を変える戦いを始めようと、そう訴えている本だったんです。

 確かに資本制社会は、完全じゃない。資本家が儲かるためのシステムなんだと理解できました。そして、なんといってもシステムの目的が、資本の増大であることが問題で、そこに「人間の幸せ」なんてまったく入っていない。だから、みんなが幸せを目指して頑張っているのに、ちっとも幸せになれないのは、当たり前だったんです。

 生産性、効率が至上命題で、それらに貢献できない人間は、価値の低い人間として扱われ、また、価値が高い人間として認められるために行われる、生産性、効率を上げる為の競争に終わりはなく、永遠に続けられる。そんな誰も幸せになれないで、疲れ果てるだけの競争が日々行われている。

 資本家ではない我々労働者階級が、資本家に搾取されて、必死で働いてもお金持ちにはなれないのは、資本制社会では当然だったんです。

 でも、資本家の皆さんは、幸せなのかなあ?お金持ちになれば幸せなのかなあ? 偉い先生たちの顔を見てると、皆んな結構険しい顔で、眉間に皺刻んでる人が多いよね。幸せって、お金じゃないと思うんだけどね。

 でも、もう少し上と下の格差を無くさないと、やっぱり幸せな社会とはいえないとは思います。「どうせ自分は、この程度だから」と心まで搾取されているとしたら、悲しすぎませんか?

 「資本制社会は永遠ではない。いつか終わりがくる」著者の言葉が心に残っています。もっといい社会とは、人間の幸せを目的とした社会なのかなと思います。

 そんな社会にする為に、何ができるのかを考えたいと思わせてくれた本だと思います。

 やっぱり読んでよかったです。

 

 

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