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贈り物をもらう

土曜日、ゆったりと朝ごはんの準備を行っていると、宅急便が届いた。

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大学院の同級生二人から、それぞれ就職祝いとギフトが送られてきたのだ。

就職祝いとして頂いたサラダの本とお塩。きっと私が一人暮らしを始めた事や、畑で野菜を育てようとしている事を思って、プレゼントしてくれたのだろう。少しづつ料理を作り始めた私であったが、何故かまだ塩を持っていなかった事に前の日の晩に気付いた事を知っていたかのようなプレゼントに嬉しさは一層に増した。さらに、エビと鯛のだし塩であった為、お吸い物も出来る、と知り、さらにご飯の時間が楽しみになった。

ギフトとして頂いた川上弘美の『蛇を踏む』とあきたこまち5キロ。これは先日の大学院の人達との勉強会で「蛇を踏む、読んだ方が良いですよ」と言われた事に対して冗談で「住所教えるから送ってください」と言ったら、本当に送ってもらえたものだった。さらに、あきたこまち5キロまで付いてきた。初任給が5月末の私にとって、こんなにも有難い事は無い。こちらもまた嬉しくてニコニコしてしまった。

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そんなこんなでニコニコしていたら気付けば11時過ぎになってしまった。素敵なお花に前日にミルクティーと一緒に楽しもうと思って用意したスコーンを食べる。
最近、あまりにもご機嫌に生きているので、たまに心配になってしまう。周りに自然が沢山ある事に対して、毎回こんなに感動できるのは、まだきっと私がこの生活に完全に慣れた訳ではない、という証拠なのかもしれない。「だって毎日の事だし」と私はまだ思えない。それでも毎朝、日光が入り、キラキラと光をしているシンクのキッチンを見る度に感動したり、緑の中を自転車で駆け抜けていく事に自分自身が満たされた気分になる事には、充足感や幸福感を感じて生きてる。

ふと、この先には何があるのだろう?と考える事があるが、あまり想像できない。下手すれば、この幸福感だけを抱えて5年以上ここにいるかもしれないし、1年後には別の考えを抱いて別の場所にいるかもしれない。あまりこんな事を考えても致し方無い事は分かりきっている。だから今はこの生活を存分に楽しむ事に全力を注げば良い。
日に日に暖かくなっていくと共に、古民家である我が家には虫が少しづつ出没する機会が増えてきた。虫の羽音にドキっとする事がまだまだ多い。しかし、こうして私は自らが今、感じている幸福感を虫達は良くも悪くも更新してくれるのかもしれない。自然や環境は絶えず変化しているのだ。私も定着しつつも、変化しなくてはならない。いつも時間や世界が止まったように感じてしまうのは人間の悪い癖なのかもしれない、ふとそんな事を考えた。

その日の晩、初めて我が家にお客さんがやってきた。その人は私の大学の先輩で、照明が大好き過ぎて、集めた電球をインスタに上げたり、電気工事士の資格を取るほどだった。私が彼女に自分の部屋にある蛍光灯の話をした事がきっかけで我が家に泊まりに来る事になったのだ。
その日の夜は早々に寝たが、次の日朝ごはんを食べた後、取れてしまった蛍光灯の紐を付け直してくれた。

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ドライバーを持参して、蛍光灯を分解しながら、ブツブツと喋りながら作業する彼女を見て、昨日の本やお塩やお米を送ってくれた大学院の同級生同様に有難さを感じた。
その後も部屋にただ置いているだけの状態になっている小物を整理してくれたり、広くて持て余してしまっている部屋のレイアウトを一緒に考えてくれたりと、私が少々タジタジしてしまう程に、色んな事をやってくれた。そして、帰り際には「今度来る時は(散乱した小物たちを入れる為の棚の)組み立ての時だね」と言った。

この週末だけで3人もの人からモノや行動を通じて私は贈り物を貰った。一人暮らし、と言っても実家に帰ろうと思えばすぐに帰れる環境であったり、周りに助けてくれる人がいて、一般的な一人暮らしの人以上に人と関わって暮らしているように感じる。まだまだ生活力はあまりなく、心配されてしまう事も多々あるが、自分のペースで着実に生活を楽しめる要素を増やしていきたい。


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