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港でクラゲ採りウォーキング。
本日は港を散策していました。
島についてから、ずっと気になっていたのがクラゲ類。
港を見ていたら、ぽつぽついます。
![](https://assets.st-note.com/img/1681468573212-SzVtXDwfkR.jpg?width=1200)
見る限り、だいたい種類の目星はついていたのですが、
一種類よくわからないクラゲがいたのでどうしても気になっていました。
捕まえてみることに。
![](https://assets.st-note.com/img/1681468671135-Tom39QXuWs.jpg?width=1200)
クラゲはとても体が柔らかいので、網などですくうと体が痛んでしまいます。なので水ごとすくうために、物干し竿にカゴをくくりつける、という感じです。物干しざおは3m伸びるので、遠くにいてもアプローチできます。
![](https://assets.st-note.com/img/1681468815962-nhTlfwGBKc.jpg?width=1200)
次からは、もうちょっと改良しないとな、、、
とれたのはミズクラゲとカブトクラゲですね☟
![](https://assets.st-note.com/img/1681468918557-B3y5PDyxGU.jpg?width=1200)
ミズクラゲは春からが出現期。3月31日に目視で港を観察したときは、全くといっていいほどいなかったのですが、今日見ている限りではちらほらいました。カブトクラゲは、来てからずーッとよく見ます。海士町ではおそらく普通種なんでしょう。
島根県の水産技術センターによれば、島根県ではカブトクラゲの大量発生による漁業の被害報告があります。毎年ではないようですが、発生状況には注視する必要がある種類のようです。
この2種類は、だいたい上からみて想像がついていたので、ふーんと眺めて終了。気になっていたのが、カブトクラゲと同じ有櫛動物までは上からみてわかったのですが、よくわからない種類。
それを探していると、、、いたいた、ということで採集開始。
道具が使いにくい即席ということもあるんですけど、かなり柔らかいクラゲです。カゴが少しでも接触すると痛んでしまう様子。
うーん、相当慎重にとらないとな、、、と悪戦苦闘。
採集しているときに、港の船着き場でやってたものだから、若い子たち(20代前半くらい?)になにやってるのかと声かけられました。
物干し竿を海に突っ込んでるおっさんがいたらそりゃ変に見えますよね。まぁ隠すことでもないので「クラゲを捕まえている」と回答。
そんなやりとりをしながら採集完了!(難しかった。。。)
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なんか線が入ってる透明なやつ、いるでしょ?
このクラゲはツノクラゲですね。まんまですがツノがあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1681470148296-Fq5SC3YyY2.jpg?width=1200)
ツノクラゲとその前に捕まえたカブトクラゲの鑑賞上の魅力としては、キラッと反射して光るという特徴があります。体内の櫛板といわれる部位にガラス質のものがあり、日光や照明などの光に対し反射します。すげー美しいです。
どのくらい美しいか、それは私の写真では絶対伝わらないので、クラゲの大御所、加茂水族館さんのホームページを参照してください☟
え、同じものにみえないんだけど、と思うかもしれませんが同じ種類です。先ほど書いた若い子たちは、キラッと光る様子にちょっと驚いていました。(純粋に反応してくれたっぽい)
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ツノのあるクラゲ
ちなみにクラゲというと、「刺す」ことがよくしられていますが、このツノクラゲは刺さないクラゲですね。ツノで誤解されるかもしれませんが、このツノは刺すためには使いません。ツノクラゲの研究はあまり盛んではないようで、生態学的な知見は乏しく、このツノの役割ははっきりと研究はされていないようです。
一説には、外敵への防御のためにあるのでは?という説もありますが、その説が正しいとして、そもそも体が柔らかすぎるツノクラゲは、いったいどういう外敵に対して身を守っているのか、気になります。
例えば、クラゲを食べる有名な動物でいうと、ウミガメの仲間がいますが、そもそも軟弱な体ではウミガメに抵抗はできないはずです。
もしかすると、、、と思うのはイセエビの仲間たちでしょうか。
イセエビの赤ちゃんの時期はフィロゾーマ幼生と呼ばれますが、この時はジェリーフィッシュライダー(直訳:クラゲ乗り、でしょう)とよばれ、クラゲに乗っかって、クラゲを餌にしていたりします。クラゲだけを食べているわけでもないですが、飼育試験によれば、クラゲを餌にした場合の成長率は他より高い場合が報告されています。
それ以外にも、クラゲに乗っかって、クラゲを食べる、小さい連中はクラゲノミの仲間などでたくさんいます。
もしかすると、それくらい小さい連中が相手だったら、あのツノでも対抗できるのかもしれない、と思ったりします。飼育実験で観察できたらかなり面白いかもしれません。とは思いつつも、うまいことツノの位置に来てくれないと、ツノクラゲはそういった外敵を追い払うのは難しそうですが、本当に外敵を追い払うために利用しているのでしょうか?
外敵追い払う説以外にも、面白いのが、ツノが水の振動に対して反応する(1)
というものです。もしかすると感覚器的な役割があるのでしょうか。クラゲの神経や感覚器はかなり単純な作りをしている印象ですが、もしかしたらまだ誰も知らない面白い知見がツノクラゲにはあるのかもしれません。
(1):玉重三男.ツノクラゲ角状突起の海水衝動に對する突出友應.1952
水族館では飼育難種とされているようです。(僕もクラゲ類はいろいろ飼ってきたことありますが、ツノクラゲはあまり飼育している水族館は見かけませんね。今のところ長崎の西海パールシーリゾート海きららさんが最長でしょうか。2021年にSNSで一か月だった飼育を半年まで伸ばせた、と投稿しています。)
【クラゲ飼育係のつぶやき篇】 当館では今まで約一ヶ月しか飼育できなかったツノクラゲですが、飼育方法を改善した結果、4月17日で飼育6ヶ月となりました。今後も長期飼育に挑戦します。
Posted by 九十九島パールシーリゾート on Monday, April 26, 2021
うーん、だいたいの水族館が「難しい難しい」と連呼しているブログを書いているので、相当難しい種類のようです。海きららさん、いったいどういった飼育改善をしているのかが気になりますね。
あとがき、思ったこと。
『害』のイメージが強い人もいるのが、クラゲだと思います。
刺すクラゲは刺しますし、増え過ぎたら刺す刺さない関係なく漁業の邪魔になってしまう生物でもあります。そんな困った側面ももっている生物なのですが、害の原因は何もクラゲや自然環境のせいだけではありません。例えば長くなるので省略しますが、東京湾では高度経済成長期以降の護岸工事が多く行われたことにより、ミズクラゲの発生率が高めたのでは、といっている研究を読んだことがあります。
単にクラゲが悪いとも言い切れないですね。まぁ、クラゲとも、いい付き合い方ができればと思い、本日はこれにておしまいにします。また。
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