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【コラム】暮らしに寄りそう仏教の言葉⑧「慈悲(じひ)」

私たちの暮らしの中には、実はたくさんの仏教用語が溶け込んでいます。
その言葉たちの本来の意味を紐解いていきましょう。

今回ご紹介する言葉は「慈悲(じひ)」です。慈悲は、情けや哀れみを意味する言葉で、父の愛、母の愛をあらわす字でもあります。今年の母の日はどんな思いを持って過ごされましたか。

「慈」はサンスクリット語で「マイトリー」といい、友から派生した語で、最高の友情を言います。「悲」は「カルナー」で呻(うめ)きをいい、哀れみや情け、同情を意味する言葉です。この二つが一つになって「慈悲」となり、生きとし生けるものに対する、いつくしみ、哀れみの情を意味します。

(中略)

「慈」は与楽で父の愛、「悲」は抜苦で母の愛、と説く経典もあります。

『くらしの仏教語豆事典(上)』(本願寺出版社/著:辻本敬順)より引用

与楽…楽を与えること
抜苦…苦しみを抜くこと

<お坊さんから一言>

仏さまは慈悲深い父や母のような存在であるとあらわされます。周囲のあたたかい愛情も、ついつい当たり前に感じてしまっていませんか。私を見守ってくれている人たちのありがたさを思い返し、日頃から感謝の気持ちを伝えてみましょう。

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