見出し画像

マーケティングとは組織革命である #B2Bアジェンダ

昨日改めて森岡毅さんの著書「マーケティングとは組織革命である」を読んだ。

この本は大分前に買っていて既に読んでいたのだが、改めて読み直した理由としては、先日「B2Bアジェンダ 2021」に参加した後、このイベントで議論されていたことは、既に森岡さんの著書に書かれていたことではと思ったのだ。

B2BアジェンダはB2Bマーケターが集まって2日間に渡って様々なテーマに関するセッションを聴講したり、議論したり、ネットワーキングするイベントで、こういうイベントに参加するということ自体、僕が最も苦手とする類の仕事だ。ただ相変わらずパーティーは苦手だし、これからも積極的に参加するつもりはないけど、イベントは参加してよかったとは思った。

B2Bアジェンダで議論されていたのは、ツールやシステムの話ではなく、組織の話だった。ツールやシステムをいかに導入するかではなく、経営理念やミッションに基づいて、いかに顧客が求めている商品やサービスを提供するための組織を作るか。2日間にわたって同じテーマについて話を聞くのは新鮮だったが、それだけどこの企業も同じテーマについて悩んでいるということでもある。顧客が求めているものを提供する、というのは企業が生き残っていくために当然のような気もするが、組織が大きくなればなるほど、あるいは組織が大きくなくても、表現するのは簡単ではないということだろう。

僕が森岡さんの著書を思い出したのは、森岡さんの著書にはCMO(チーフマーケティング・オフィサー)と呼ばれるマーケティング最高責任者の下に、商品開発チームを所属させた、と書かれていたからだ。本を読んだ当初はその意味がよく分からなかったけど、B2Bアジェンダに参加してからは森岡さんがやったことの意味と効果への理解が深まった。

森岡さんは「マーケティングとは組織革命である」の中で、マーケティングを「市場価値を創造する仕事全般」と定義している一方で、マーケティングを理解していない人が誤解して使う狭義のマーケティングを「販促プロモーションの仕事」と定義して分けている。

マーケティングを市場価値を創造する仕事全般と定義するのであれば、商品開発チームがマーケティング組織の中に含まれるのは必然といえる。なぜなら、商品やサービスこそが企業の市場価値を形作るからだ。だから、マーケティングを機能させるためには、商品や販売といった組織全般に影響力があるように組織が形作られていなければならないけど、多くの企業はマーケティング組織を「販促プロモーションの仕事を担当するチーム」と定義して、セールスやサービス開発のチームとは分離されている。

ただ、マーケティングが機能する組織を形作るのは簡単ではない。B2Bアジェンダのセッションで、パナソニック・コネクティッドソリューションズ社でCMOを務める山口有希子さんが「バラバラだった組織を統合し人事や経営企画とも連携できるようになるまで4年かかった」と話していたが、マーケティングが機能する組織はそれくらい簡単ではない。

現場の人の権限やつながりが強い、というのは日本的組織の強みであり弱みでもあると思う。サッカークラブで最近必要だと言われる「プレーモデル」とは、企業のサービスモデルに類するものだと思っていて、導入するためにはマーケティングを担うチームと人が必要だと思うのだけど、残念ながら企業ならセールスや商品開発に該当するチームの監督や選手が勝手に解釈して実行しているような気がしてならない。マーケティングが必要なのは、ビジネスだけではない気がしている。

もちろん、組織が形作られるまでただの会社員が待っているわけにはいかないし、パートナーとして企業をサポートする立場で仕事をしている人としては、企業が抱えている問題や現状を踏まえて、どうすれば物事が前進するか、組織の問題を解決しつつ前進できる施策が実行できるか、知恵を絞る必要がある。B2Bアジェンダに参加し、森岡さんの著書を読み直したことで、ヒントらしきものがおぼろげながら浮かんできた気がする。そして、そのヒントは現在サポートさせて頂いている、なでしこリーグ・大和シルフィードにも活かせる気がしている。


サポートと激励や感想メッセージありがとうございます! サポートで得た収入は、書籍の購入や他の人へのサポート、次回の旅の費用に使わせて頂きます!