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書評「アマゾン、インディオからの伝言」

先日「著者と語る朝渋『稼ぐがすべて Bリーグこそ最強のビジネスモデルである』」というイベントに出席したとき、Bリーグ常務理事・ 事務局長の葦原 一正さんが紹介したのがこの本。

全くバスケットボールにも、ビジネスにも関係ない本だったので、とても興味を持ち、その場でKindle版を購入しました。

本書「アマゾン、インディオからの伝言」の著者は、熱帯森林保護団体(RFJ:Rainforest Foundation Japan)はアマゾンの熱帯林及び、そこに暮らす先住民の支援を目的に、1989年に発足したNGO(国際協力市民組織)の代表で、先住民と生活を共にしながら現場で何が必要とされているかを考え、様々な支援事業を長年行っています。

「アマゾン、インディオからの伝言」は、NGOが発足してから10年ほど経過して2000年頃の著者やNGOメンバーの支援活動と、支援しているアマゾンの熱帯林や先住民(インディオ)の生活をまとめた記録です。

人間とはなにか、生きるとはなにか

印象に残ったのは、著者が支援しているシングー地域の部族の一つである、メイナク族について書かれている箇所です。

メイナク族の働きぶりについて、著者はこう記しています。

女性たちは日中の暑いさなかでも実によく働く。たわいない話で笑い、この輪に加わるだけでほのぼのと嬉しくなる。

一方で、著者はこう続けます

男は狩りに行ったり家造りをするが、それも毎日ではなく、ほとんどの時間はダラダラと男の家で時をつぶす。女と対象的に怠惰に映るが、私はここで大きな発見をした。それは男たちがあまり働かない社会こそ平和で幸せだということだった。
(中略)
女は大地に腰をすえ、子を産み育て、直感的に物事を判断し、行動をおこしていく中で決断していく。これは物の道理にかない、誤りが少ない。

本書には難しい専門用語は登場しません。誰にでも分かる言葉で、著者が体験した、ありのままのアマゾンの姿、インディオの姿が描かれています。

最初は興味本位で手にとった書籍ですが、読み進めていくうちに文章が描き出す世界に引き込まれていきました。読み終えて、自然に自分が生きている世界と、アマゾンやインディオで生きる世界との違いや共通点について、考えずにはいられませんでした。

本書で語られている、アマゾンやインディオの姿から、「文明とともに失われたものがある」というのは簡単です。たとえ、失ったものがあるとしても、取り戻すのは簡単ではありません。

ただ、自分の幸せより人の幸せを敬う気持ち、先のことを考えずに今を楽しむ気持ちなど、自分自身の人生をより充実させるために、アマゾンやインディオの姿から学べることはある。そう感じました。

読んですぐに学びが得られる類の書籍ではありません。ただ、折に触れて、何度も読みたくなる。そんな書籍だと思います。ぜひ読んでみてください。


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