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【BNPL】東南アジアのEC市場とBNPLについて【BuyNowPayLater】

今回は東南アジアのBNPLについて触れていきたいと思います。
インドネシアのユニコーン企業もBNPLに参入するなどHOTな領域になってきていると思います。

東南アジアのBNPLを紹介するにあたって、関係の深いEC市場についても触れていきたいと思います。
※BNPLプレイヤーの深堀りは別記事にて。

※本記事は全て無料でご覧になれますが、価値を感じて下さった場合は投銭頂けますと幸いです

1.EC市場の成長

まずEC市場がどの程度の規模なのか から始めていきます。

GoogleとTemasekのレポートを目にしたことがある人は多いでしょう。
近年、東南アジアのインターネット産業の成長は著しいです。
インターネット上でのGMVをみるとインドネシアを筆頭に急伸しています。

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GMVの内訳
・e-Commerce
・Online Travel
・Online Media
・Ride Hailing

東南アジア各国の定量情報

以下は、e-Commerc規模感の把握が出来るように日本を並べていますが、EC領域については厳密にはカウント対象がちがうことをご留意ください。

ECやOnline Travelに絞った各国の状況です。
(経産省外務省ベリトランスworldbankGoogleをもとに作成)

※規模感の把握が出来るように日本を並べていますが、EC領域については厳密にはカウント対象がちがうことをご留意ください。

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各国の特徴

2025時点のGMVを見ていくと、伸びている部分は各国で違う様子。
・No.1:インドネシア(107billion)
 └ 2019年時点で人口がずば抜けて多い
 └ ECが82billionとなりECの伸びが凄まじい
・No.2:タイ(38billion)
 └ 人口は少ないがGDPはもともと大きい
 └ Online Travelが伸びている
・No.3:ベトナム(32billion)
 └ ECが伸びている

ECで伸びている内訳を見るとOnline Travelの伸びが強いタイが居るなど、各国の個性はありつつ総じてe-commmerceは伸びていく分野と言えそうです。

2.主要なECプレイヤー

次に各国で利用されているECプレイヤーを見ていきます。

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名を連ねている注目プレイヤー

・shopee(マーケットプレイス)
・BUKALAPAK(マーケットプレイス)
・Tokopedia(マーケットプレイス)
・Lazada(小売)

あまり聞き馴染みがないかもしれません。
特に違和感としてAmazonの名前が上がってきていません。

実は東南アジアは世界では珍しくAmazonが足場を築けなかった地域で、
その代わりに中国資本の影響が大きな市場です。

中国資本について

各社の投資家にはテックジャイアントの影があります。
インドネシアを中心にアリババ、テンセントが戦っている状況です。

・アリババ投資先
 Lazada、Tokopedia、Bukalapak
・テンセント投資先
 shopee、JD、TIKI

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ここまでを一度まとめてみると
・東南アジアのe-commerceが成長していること
・成長性の高さから中国資本も目を付けて投資していること 
が分かりました。

2.東南アジアのクレジット事情

ECなどのインターネット産業が伸びていくなかで、クレジットはどのようになっているのか見ていきます。

銀行口座の保有率

成人年齢人口約4億人のうち、半数以上が銀行口座を所有。
一方で、インドネシア、ベトナム、フィリピンでは銀行口座保有率は低い。

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15歳以上人口に占めるクレジットカードの保有率

クレジットカードの所有率はシンガポールとマレーシアを除いて1桁%

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以上から分かるように、東南アジアの多くでは融資や保険などの金融サービスの利用はほぼ行き届いていません。

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信用力の証明は難しいという課題にアプローチするプレイヤーが生まれてくることで、決済やレンディングの規模が大きく伸びると思われます。

ここまでが東南アジアの市場や信用事情についてでした。

3.東南アジアのBNPL

ここから東南アジアのBNPLプレイヤーについて紹介です。

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以上が東南アジアにて何某かのBNPLを提供しているプレイヤーです。
※多国展開している事業者も存在しますが視認性を考え初回展開国で記載

BNPLを開始した経緯

地域特性として既存のCICなどではクレジットヒストリーもないため、各社独自路線でデータを収集し、ユーザーに信用付与を試みています。

1.BNPLから開始
2.ウォレットやスマホ決済から派生
3.スーパーアプリから派生  
の3種類がありそうです。

各プレイヤーの展開国について

finaccel
・インドネシア、フィリピン、タイに展開
・個人向け融資も提供
・ECで幅広く展開
・独自の与信で展開
akulaku
・インドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシアで展開
・個人向け融資も提供
・ECで幅広く展開
・独自の与信で展開
empatkali
・インドネシアにて展開
20年8月にafterpayに買収
・カードベースのBNPL
OVO
・もとはウォレットサービス
・インドネシアにて展開
taraliteを買収しBNPLに参入。Tokopedeiaでの提供を開始。
hoolah
・シンガポールとマレーシアにて展開
・カードベースのBNPL
Grab
・シンガポールとマレーシアにて展開
クレディセゾンと合弁会社を作成しPayLaterを開始
・基本は自社プラットフォーム上での利用だが、一部ECでの提供を開始
・自社データから信用を判断
gojek
・インドネシアにて展開
・自社プラットフォーム上での提供と思われる
・自社データから信用を判断

与信について
シンガポールは所得もあるため、ヨーロッパと同じようなBNPLとなっています。

インドネシアについてはKYCを必須にしているものが多かった印象です。
「すぐ簡単に使える」というよりは、既存のCICでは満たせない層に対して「自社で実在性を確認し、少額の信用付与」するスタンスかと思われます。

ECプレイヤーが自社でBNPLを提供する動きもあります。
インドネシアのOTAユニコーンであるTravelokaでは自社でPaylaterを用意しています。

4.その他東南アジアの動き

状況を見るとやはり今後の成長性が高いインドネシアが主戦場ですが、今後タイやベトナムでもBNPLプレイヤーが出てくると思われます。

フィリピンではbilleaseのようなプレイヤーも生まれています。

またOVOなどスマホ決済プレイヤーによるBNPL参入から考えると、ベトナムのMoMoZaloPayが始める可能性もあるかもしれません。

BNPL以外にもレンディングサービスが成長しており、FinmasHOME CREDITなどの、個人への信用付与を行っているプレイヤーも多く登場してきています。

5.おわり

今回は東南アジアのEC市場概観とプレイヤーについて簡単にご紹介しました。個別プレイヤーの深堀りについては別記事にてお伝えしたいと思います。

affirmのIPOなどもあり、本当にこれからが楽しみな業界です。

ありがとうございました。

※東南アジアの情報は集めづらく、間違っている点があると思います。
Twitterにてご指摘いただけると助かります。

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