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【BNPL】評価額100億ドル!世界が注目するFintech企業Klarnaについて解説【BuyNowPayLater】

世界で一番有名なBuy now pay later であるKlarnaについての解説です。

Buy now pay laterという言葉を一躍有名にしたのが、このKlarnaだと思います。
以前にも紹介した評価額55億ドルの記事も記憶に新しい方も多いでしょう。
日本のマーケットの影響として、Klarnaの躍進がPaidyの資金調達にも影響していると考えています。

最新の記事では100億ドル以上の評価額で調達を計画中とのことです。
では始めていきます。

※本記事は全て無料でご覧になれますが、価値を感じて下さった場合は投銭頂けますと幸いです

1.Klarnaとは

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創業:2005年ストックホルム発
地域:ヨーロッパ,北米,オセアニア
競合:afterpay,Zip,affirmなど
特徴:銀行免許も取得しており、チャレンジャーバンクでもある

スウェーデンのストックホルムは、SkypeやSpotifyの創業の地であり多くのユニコーン企業が生まれています。

競合の本拠地に進出

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2020年2月にイタリアのBNPL企業の買収も行っており、BNPLプレイヤーでは最多の17カ国に進出しています。

・BNPLの市場自体は、EC市場の大きさに比例する部分が大きいです。
・EC市場の大きなアメリカやイギリス、ドイツは、もちろん抑えています。
・市場規模4位の日本には進出していません。
 └ 商圏が違うことによる加盟店資産の活用が難しいこと
 └ 既にGMO、PaidyなどのBNPLプレイヤーが存在していること
   などが挙げられます。

20年にはafterpayの本拠地オーストラリアに進出しています。
オーストラリア自体のEC市場は大きくないので、株主であるCommBankの要望やafterpayへの牽制でしょうか。

2.サービス体験

BNPLの種別整理

BNPLといっても、様々な「後払い」の形があります。
そして現在世界での主流はInstallmentタイプのBNPLです。

PayLater:15日や30日以内に一括払い
Installment:4回に分割払い
Long term Installment:6ヶ月以上などに渡って分割払い

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Klarnaが提供しているBNPL

KlarnaはすべてのBNPLを提供している事業者です。
※競合のafterpayはInstallmentのみ。詳細
以下の名称で提供されています。

・PayLater
  - Pay in 30days
  - 手数料無料
・Installment
  - 4 interest-free installments
  - 手数料無料
・Long term Installment
  - financing
  - 6ヶ月~36ヶ月まで分割可能
  - 6ヶ月で完済すれば手数料無料
⚠いずれも遅延損害金あり

厳密には長期の分割が提供されていない地域もあります。

Long term Installmentの場合は、展開地域の法律やリスクの違いの影響を受けやすいためです。
EUでは銀行免許を1カ国で取得してしまえばEU全域で銀行業を営むことが可能です。
USではWebBankと提携することで、Long term Installmentを提供しています。

3.収益状況

次に収益状況を見ていきます。
Klarnaが出しているReportを抜粋したものが以下の表です。

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収益構造

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収益構造としてBNPL特有の項目をまとめました。

売上
・ECショップ(加盟店)からの売上
  - 決済手数料
  - トランザクションフィー
・ユーザーからの売上
  - 遅延損害金
  - 分割手数料
コスト
・与信コスト
  - 不正検知など
・ブランドネットワーク費用
  - ユーザーが支払う際に利用するブランドネットワーク
・売掛金の減損(貸倒れ)
  - ユーザーが支払いをしない場合の費用

定量数値

直近のUS展開影響により収益状況は芳しくありません。
BNPLというモデルの性質上、初期のコストは大きくなるため今後に期待でしょうか。

⚠FY20のみ上半期の数値
・取扱高は順調に伸びておりH1FY20で2兆円以上
・売上率は2%前半をキープ
・営業利益についてはFY19より赤字に転落
 - FY18以前は常に黒字の経営
 - 直近のUS展開の影響が大きいと思われる
  ・マーケティング費用増加
  ・貸倒れ増(画像参照)

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4.afterpayとの比較

以前紹介したafterpayと比較してみます。

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取扱高

Klarnaの規模は桁が違いますね。

Klarna(FY19):35billion
afterpay(FY20):8.1billion

収益源

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・afterpayのほうがlate feeの締める割合は少ない
・Klarnaは売上における長期分割売上の比率が高い
 └ Klarnaの長期分割は年利19%なので,売上向上に寄与しやすい
・Klarnaはafterpayに比べて低手数料でやっていると予想できる

展開市場

両社ともECにおける巨大市場であるUS、EU、UKに進出済みです。
その中でもやはりアメリカが主戦場になっています。

以下はUSのadidasの通販サイトです。
すでに3社のBNPLが導入されています。

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PayPalがアメリカにおいてBNPL(4 interest-free installments)参入を表明している状況です。
いつかはadidasには4つのBNPLが表示されることになりそうです。

投資家

投資家の顔ぶれを見ると、裏側ではテックジャイアントの攻防も見られます。

・Klarna側にはant financial
  - antはHuabeiというBNPLを提供
・afterpayにはTencent
  - TencentはFenfuというBNPLを提供

5.ユーザーへの付加価値

BNPLには大きく3種類ある∧主流はIstallmentと話しました。
Installment自体には機能の違いがないためコモディティ化が起きています。

ユーザーからすれば「分割で後払いに出来るなら、どれでもいい」のです。

Klarnaは他社よりも早くユーザーを囲い込むための機能開発をしています。

ポイントの導入

2020年6月にポイントプログラム「Vibe」が発表されました。
ポイントをためるとギフトカードと交換が出来るようです。

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そのほかにもKlarnaはアプリ上で配送状況の確認等ができる機能も用意しています。

カードや実店舗への展開

KlarnaはVISAと提携し物理カードやバーチャルカードを展開しています。

Klarna card
・口座を登録することで利用可能
 └ デビットカードとしての利用
 └ 14日後払いや分割がアプリで設定可能
・スウェーデンとドイツのみで展開
・実店舗での利用やApple payへの追加が可能

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Ghost card
・Klarnaが導入されていないECショップでも利用可能
・利用したいECショップと金額を指定しワンタイムのバーチャルカードを発行
・ECショップの決済ではカードを選択しバーチャルカードの番号を入力することで決済可能
・アメリカとオーストラリアで展開
・ワンタイムのバーチャルカードをApple Payで表示することにより実店舗でも利用が可能

↓のようにAmazon(Klarnaは導入されていない)でもKlarnaアプリ内ブラウザを通じて、商品選択をしバーチャルカード生成することで決済可能です。

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H&MでのQRコード決済開始
・株主でもH&Mと提携しH&Mの実店舗展開を開始
・H&Mのアプリ上でQRコードを表示して決済可能

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以上のように、KlarnaはECだけにとどまらず実店舗にも進出をするなど、かなりアグレッシブに動いている状況です。

「ECだけで使う決済」ではなく、「いつでも使える決済」としての立ち位置を目指しているのでしょう。

6.おわりに

BNPLを牽引するトッププレイヤーのKlarnaについてまとめてきました。

・取扱高の規模はBNPLの中でダントツ
  - H1FY20で2兆円以上
・直近のUS展開投資で収益性は悪化
  - 新たな資金調達でさらにアクセルを踏む
・ポイントプログラムや実店舗への展開でユーザーへの囲い込み

Klarnaの動きに遅れを取らないように他社も追随しています。

afterpayでは
・実店舗展開を既に開始
・先日のIRではRewardプログラム発表

BNPL、どのプレイヤーが今後覇権を取るのか注目ですね。
今後も色々動きがあると思うのでTwitterでディスカッションしていきましょう!

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