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【BNPL】時価総額1.7兆円??オーストラリアのafterpayについて解説【BuyNowPayLater】

今回は世界を賑わせているBNPLの中で、上場銘柄であり時価総額1.7兆円(2020/09/06時点)を超えているafterpayについて解説していきます。

BNPLといばKlarnaを想像されると思いますが、実はこのafterpayもかなりの規模です。
今のBNPLは、この2社による争いが激化しています。

1.afterpay とは

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創業  :2015(オーストラリア発)
地域  :オーストラリア,アメリカ,イギリス
競合  :Klarna,Zip,Sezzle など

サービス体験

世界には様々なBNPLが存在しており、僕の中では以下のように整理しています。
afterpayが提供しているBNPLは、installmentに該当するBNPL。
簡単に言えば「分割払い」です。

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使い方を紹介すると
・買い物の支払いを4分割でお支払いが可能
・購入金額の1/4はECショップでの決済時に支払い
・残りの3/4は2週間ごとに後払い
・期限内に支払えば手数料無料   という決済です。

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クレジットカードの高い手数料を背景に、ミレニアル世代を中心としたクレジットカード離れが起きています。
そこで手数料なしで分割できるafterpayが人気を集めています。
加盟店もアパレルを中心とした加盟店が人気になっているようです。

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ビジネスモデルや収益構造の詳細は、こちらのnoteにて。


時価総額
Covid-19の影響によりEC関連銘柄は軒並み成長しています。

ECが伸びるということで、このBNPL業界も同様に成長しています。
2020/09/06時点で22.3billionAUD、米ドルに換算して16.24billionドルです。

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展開の速さ

Klarnaが2005年開始のため、afterpayは後発企業となります。
しかし、展開スピードは早く、世界でKlarnaと覇権争いをしている状況です。

2016年:ASXにて上場
2017年:Touchcorpと合併、NZで提供開始
2018年:USで提供開始
2019年:clearpayを買収し、UKで提供開始
※オランダにて存在する別会社afterpayの商標の関係でUKではclearpayとして提供


各市場での成長

オーストラリアからNZ→US→UKと進出してきていますが、特にUSでの成長が凄まじいです。
取扱高も急激に伸びているだけでなく(中央)、
すでにUSでの利用者は、ANZ(オーストラリアとニュージーランド)を超えている状況(右上)です。

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市場規模から考えても本国のオーストラリアよりも遥かに巨大なUSを取るために力を入れていくことが

eCommerce市場(2020) ※statista
オーストラリア:US$27,248m
アメリカ:US$410,891m

こばなし:オーストラリアのBNPL
オーストラリア自体はEC市場は大きくないのですがBNPLは多数存在しています。
内需が大きくないため、各社afterpayと同様にUK,USへの進出をしているところが多いです。

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Klarnaもオーストラリアに...


定量データ

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現在の取扱高は日本円で8,600億円を超えています。

取扱高 :8,100million(US$) 
ユーザー:9.9million
加盟店 :55,400

他社比較

取扱高の規模感が掴めないと思うので少し先出ししておくと....

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Klarnaの規模がバケモノ急ですね....
afterpayはBNPLプレイヤーでは2番手になっています。


2.収益状況

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IRよりUSドルに変換したものが上記となっています。

取扱高と売上

・取扱高はFY19と比べて112%成長。
・粗利は出ている状況ですが、販管費等の影響でまだ営業利益は赤字
 └ 主に展開地域拡大による人件費増やマーケティング費用による影響

取扱高が拡大しているなかで、損失は減少しているためマネタイズへ一歩ずつ近づいているところでしょうか。

収入源

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BNPLは遅延損害金で稼いでいるのでは??と批判の声が挙がっている状況。
ファクトベースでは
・加盟店からの収入は全体売上の87%を占めている
・遅延損害金は全体売上の13%を占めている    でした。
※late fee割合を下げていこうとしている様子。

貸倒れ率
そして貸倒れ率は1.13%→0.85%に改善しており、少し驚いています。

貸倒れサイクルにもよりますが、新規マーケットに進出する際には貸倒れ費用は一時的に増大するはず。

直近でUSやUKと新たなマーケットに進出しているにも関わらず、この改善は素晴らしいと思いました。
※今後はCovid-19影響による一時的な数値の悪化は予測されます。

3.投資家からの注目

このように非常に成長しているafterpayですが、直近では株主についても大きなニュースがいくつか発生しました。

afterpayの株主
LonePine , Tencent Holdings Limited , Mitsubishi UFJ Financial Group

テンセントと組むことでアジア圏への進出を予定しているとのこと。
東南アジアで有名なマーケットプレイス「shopee」で有名なSEAの株主でもあります。
BNPLの成長には加盟店開拓が重要となるので、その点でも効いてくるでしょう。

三菱UFJはGrabにもお金を入れてますよね。このような成長株への投資が活発になるんでしょうか。VCの方の意見をお聞きしたいです。

4.直近の動き

世界展開
2020年となりafterpayは更に拡大を目指しています。
(Klarnaとの比較で説明していきたい!!今しばらくお待ち下さい。)

・スペインを拠点とするPagantisを買収。
・インドネシアでBNPLを展開するEmpatKaliを買収。

ヨーロッパのPagantisについては同様の分割後払いです。
仕組み自体は難しいものではないため、参入障壁も低いです。
今回のPagantis買収は、現地加盟店開拓のショートカットを目的としたものでしょう。

一方でインドネシアBNPLの買収は少し驚きました。
新興国型のBNPLは全く与信方法が違っており(=ビジネスモデルが違う)、
afterpayの知見が活かせない地域への展開となるからです。
Klarnaについても東南アジアは未だ未開拓の分野です。

しかしインドネシアのEC市場は急成長しており25年にはUS$150billionになると予測されています。
加えて現地ではKredivoakulakuといったプレイヤーが急成長している状況です。
乗り遅れる前に、はやめに手をつけておきたいということで買収に至ったのでしょうか。

おわり

今回はafterpayに焦点を当てました。
2015年と後発のafterpayですが、非常に早いスピードで展開をしており、世界から注目を集めている企業でした。
個人的には東南アジアへの展開がとても驚きの企業でした。

単一の企業で見ても規模感などが分かりづらいので、次回はKlarnaについて紹介していきます!

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