TV GUIDE Alpha EPISODE NN、冨岡健翔さんのアイドル論
最近冨岡健翔さんを好きになった。TV GUIDE Alpha EPISODE NNに彼が載ると聞いた。キスマイも載るし、購入を即決した。いざ読んでたみたら、「戸塚祥太×冨岡健翔×Nature」特集が想像以上に良かったので、その話。
そもそも、好きなアイドルが載っていればどんな雑誌でも買うわけではなく、結構好き嫌いがある。表紙や中身の素材、手触り、ビジュアルや撮影のスタンス、質問や回答等(後半部分についてはもちろんカメラマン・インタビュアー個人の手腕によるところも大きいけれど。)、総合的に判断して購入を決める。個人的に、TV GUIDE Alpha、TV GUIDE Personと日経エンタテインメント!にはこの先も強く生き残ってほしい。ファッション雑誌以外で、自担や推し以外の部分も丸々読んでしまうのはこの3冊ぐらいなので。
今回「戸塚祥太×冨岡健翔×Nature」の特集が気に入っている理由として、アイドルがアイドル論を語っている、というのがある。アイドルがどんな気持ちでアイドルをしているか。アイドルとして日々生きて、諸々の対象とされることに対してどのように思っているのかなんて、ファンには到底知りえないし、それを言語化すること自体至難の業だと思っている。その一片を垣間見ることができるインタビュー記事が貴重だからこそ好きだ。
さて、TV GUIDE Alphaの前提の話から説明をすると、発行のたびに「Episode NN」というように、アルファベットのエピソード名が振られている。誌面は、例えばKis-My-Ft2の特集は「Need」、中丸雄一の特集は「Nostalgia」等、エピソード名の頭文字をとったテーマで撮影・インタビューが進む。戸塚祥太と冨岡健翔のテーマは「Nature」というのもあり、"自然"、"本質"になぞらえた以下のような質問が続く。
(質問内容、回答内容をそのまま載せるわけにはいかないので、私の解釈で校正している。できる限り原文のニュアンスが伝わるように記載しているつもりだが、あくまで私の解釈だということを念頭においてほしい。)
―"舞台に立つ"ことは自身にとって"自然なこと"になっているか
―普段アイドルとして活動していくなかで、素の自分をどれぐらい見せるかということについて考えているか
―あえて素を詳しく見せようと考えたりするか
―アイドルの物語消費に対してどう思うか
以下、冨岡健翔さんの回答に焦点を当てて内容・感想を記載していく。
まず、以下の質問から。
―"舞台に立つ"ことは自身にとって"自然なこと"になっているか
お芝居をすることは自分の欲求に従ったこと、自然なこと。そのため自然なことであると感じていたが、(コロナをうけて)運営・上演を含めて"舞台に立つ"ことは誰かの協力がないとできないこと、自然なことではなかったと思い知らされた。
素晴らしい回答。いつも思うが、冨岡さんは確実に面接に受かるタイプ。質問に対して、押さえるべきポイントを押さえた回答がとても上手。
―普段アイドルとして活動していくなかで、素の自分をどれぐらい見せるかということについて考えているか
本当の自分がどれか、正直わかっていないかもしれない。皆さんの前に出ている自分が嘘や虚構ではないことは断言できるが、100%本当の自分かと言われると、そうとも、違うとも言い切れない。それを含めて自分なのかなと思う。
そうそうこういうの!こういう質問を愛してやまない。インタビュアーに金一封包みたい。 冨岡さんに関しては、私がジャニオタもだいぶ年季が入ってから知ったのもあり、「違う世界の人間」という印象が、どの担当や推しよりもある。アイドルってこの、近そうに見えて遠い、通そうに見えて近い、という距離の駆け引きがすごく大事だと思っている。
この回答はさらに要約すると「特に考えていない、それも含めて自分」なのだけど、社会生活を送る私もこういうことを考えたりするので、そういう意味でリアリティのある回答だな、と感じさせられた。
ちなみに、シェイクスピアの名言をさらっと引用する戸塚さんもスマートな旨、記載しておく。
この「素」の部分が今回のインタビューのキモなのもあり、ここから少しこの質問に対して掘り下げていく。
―あえて素を詳しく見せようと考えたりするか
そういうものが求められている時代ではあるかなと。オーディション番組が流行ったりもしていますし、ジャニーズJr.という体制含め、ファンの皆さんと一緒に成長してきたという部分は確かにある。皆さんがいたからここまで来られたと思うので、そういうご縁は大切にしていきたい。
ここで「オーディション番組が…」という例をさらっと出してくるの、賢い人なんだよな。私、賢い、信頼できる人を推したいので、こういうのをさらっと出してこられる人は「信頼できる」と感じてしまう…。
この質問は同時に、比較的リスクの高い質問だと思う。そもそも「さっき正直わからん言うたやん」と少し冗長でもあるうえ、「あえて素を見せるか」という質問は基本的に後々問題になったり突っ込まれたりするリスクが高いと思っているので。(全く見せてないです!でも全部見せてます!でもどちらも燃えるリスクが比較的高い)これをファンへの感謝、ご縁、という着地点にもっていくのが、うま~い…うまい…
そしてこの後の質問。切れ味が鋭くて、ひっ、となったので、ここは(質問が)原文ママ。
―人生を共有しているような感覚ですよね。そういった感覚に対して「アイドルの人生、世界観を消費している」とみる考え方もあるのかなと思います。物語消費と言いますか…。少々お聞きしづらくはあるのですが、そのような見方に対してどう思われますか?
この質問を見て唸った。難しい。「~人生を共有している」というのは(近いニュアンスであるものの)必ずしも冨岡さんのその前の質問に対する結論ではない。(もちろん、このテキストができるまでに、インタビューでは話題に上がったものの、端折られている箇所もあるとは思うので、断言はできないが。)少しだけ、インタビュアーがここに持っていきたいんじゃないかな、という意図を感じる。某他雑誌でも言われているような、インタビュアーが聞きたいことを聞いているというか…。「お聞きしづらく」と書いてあるので、まあいいけれど。物語消費に対してのアイドルの考え方。聞きたいけど聞きたくない、そんな回答が以下。
確かに僕らは消費物と例えられることも多々あるが、それは正直そのとおりだと思っている。だからこそ、自分の価値を時代のニーズに合わせられるかが大事。(お金、時間など、ファンが)消費したものに見合った、もしくはそれ以上の価値を提供しないと、それこそ自分の消費期限を早めることになる。
いや…天才?こういう自覚を持っている人は多いのだろうけれど、これを的確に言語化できる、となると一気に少なくなると思う。きっとこれを自覚しているからこそ、彼は今日もこの事務所でステージに立ってくれているのだと思うし、常々これを意識して舞台に立ってくれているのであれば、それはもうね、明るい未来が待っていないと困るのですよ…。
ー
冨岡さんの解釈や考え方がとにかく好きで、彼の発言一言一句蛍光ペン引いて解説したい、という気持ちでこのブログを書き始めたが、雑誌のテキストを文字起こししただけの記事になってしまった気がして反省している。
今回は特集記事の回答について記載したが、現在Johnny's Webにて期間限定連載中の「イケメン桜」連載の文も同じかそれ以上に好き!未来記の番人記者会見の裏話、原作者の築山桂さんとのやり取りに対する感想など、それぞれの文章が大変素敵なので…。あと、こちらに関してはインタビュアーを通さない、地の文だからより一層信頼できる、というのもある。
今江くんに関してもそうだけど、好きな人が書く素敵な文章は「ここもいい!」「ここも天才!」と声高々に褒めたたえたいのでたぶん今後もこういう記事をちょこちょこ書いてしまう気がするな。
TV GUIDE Alpha EPISODE NN。テキストの話ばかりしたけれど、写真の笑顔も素敵なのでぜひ。とてもおすすめです。
この記事が参加している募集
サポートいただけるよう精一杯精進してまいります!ご興味がありましたら…ぜひ!