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たべっ子どうぶつの話

皆さんは株式会社ギンビスのお菓子「たべっ子どうぶつ」を知ってますか?
どうぶつをモチーフにしたかわいらしいビスケットで、サクサクした食感でおやつについつい食べてしまうクセになるお菓子です。

今回は「たべっ子どうぶつ」にまつわるお話をしたいと思います。


① たべっ子どうぶつの前身


たべっ子どうぶつの前身は「動物四十七士」というお菓子でした。銀座にある小さなお菓子・パン屋さん「銀座ベーカリー」から発売されます。

当初は現在のたべっ子どうぶつより分厚く、ビスケットというよりはスコーンのような食感でした。
その分厚さと食べ応えから、数個食べるとごはんが食べれなくなるとも言われていました。

このときに採用されたどうぶつたちは全部で47種類で、どうぶつにまつわる慣用句やことわざ、どうぶつにちなんだフレーズなどをモチーフにされているといいます。
「猿も木から落ちる」「犬も歩けば棒に当たる」といったことわざから、「送り狼」や「食べてすぐに寝ると牛になる」「注ぎモモンガ」といった家庭や飲み会の場で使うような言い回しもあります。

現在はどうぶつの英名が描かれている裏面には、モチーフとなった慣用句等が日本語で記載されていました。

そうした背景から、日常のフレーズに登場しない動物については、47種類もあるのにかかわらず、キリンやパンダなどメジャーな動物の一部は含まれていません。
子ども向けというよりは、そうした教養的背景、ウィットの効いた言い回しにクスっとできる大人にはまったともいえます。

② より親しみやすく!

1975年、「動物四十七士」に転機が訪れます。
その人気ぶりから工場を増設するのに伴い、銀座ベーカリーは株式会社ギンビスへと社名変更され、これまで発売していたお菓子もよりよく社会へ広めていくため、デザインや工程を刷新していくことになります。

たべっ子どうぶつはより幅広い年代への訴求と手軽さを求めて、かわいらしいどうぶつの導入や気軽に食べられるビスケット状のお菓子へモデルチェンジすることになりました。
このとき、当初導入されたどうぶつのうち「送り狼」や「注ぎモモンガ」といった子ども向けではない言い回しを背景としたどうぶつや、ヘビやコウモリなどの子どもが怖がりそうなどうぶつは採用されなくなり、かわりにニワトリやリスなど、かわいらしくて特徴的などうぶつがイラストとして登場することになります。

パッケージもこれまでの袋状の包装から箱型へと変化し、店頭に並ぶたべっ子どうぶつは、現在とほぼ同じ姿になっています。
ビスケットの裏面も、慣用句等の日本語からどうぶつの英名を記載するように変化しました。

このモデルチェンジは大成功となり、1978年にモンドセレクション金賞を受賞して現在に続くロングセラー商品となっています。

③ 時とともに変遷するどうぶつたち

たべっ子どうぶつはその味やパッケージをほとんど変えることなく現在まで発売されていますが、時代の移り変わりに伴い、どうぶつ達は定期的に入れ替えられたり、描かれたどうぶつが時代を象徴する絵柄となったりしています。

例えば、「動物四十七士」で描かれたうさぎは「ロケットとうさぎ」(アポロ11号による月面着陸と月のウサギをかけたもの)でしたが、1997年には「野球をするうさぎ」(読売ジャイアンツのメークドラマ/モチーフのジャビットにちなむ)へと変遷。2022年には「制服姿のうさぎ」(Vチューバー月ノ美兎を意識したもの)を採用して話題となりました。

ビスケットの主役たちがいつの時代でも魅力的であるよう、時々の流行をビスケットへ反映させて、子どもたちの関心を離さないようにしているのです。

また、その一方で当初ターゲットであった教養のあった購買層へ「復刻版」を提供するとこで根強い固定層を掴む取り組みも行っており、2023年には過去採用されたイラストのパッケージの発売、キャラクターの一番くじを実施するなど、お菓子の枠組みを超えたキャラクターコンテンツとしての性格を帯び始めています。 

同年にはどうぶつたちが活躍するスマートフォンアプリゲーム「たべっ子どうぶつTime」がリリース。
2025年にはたべっ子どうぶつの映画が放映される予定です。

④ 世界へ広がるたべっ子どうぶつ

雰囲気のかわいい特徴的なキャラクターは、海外でも人気を博しています。
ビスケットの裏面はどうぶつを表す「日本語」が書かれている以外は日本と同じですが、どうぶつたちはその土地にあったイラストとなっています。

日本で発売されているたべっ子どうぶつのサルは温泉に入っていますが、台湾ではバナナを食べ、欧米では猿はそもそも採用されていません。
また、日本のたべっ子どうぶつのネコは、ハローキティを型取り、欧米地域ではトムとジェリーのトムを意識したものとなっています。

そうしたお国柄を背景としたキャッチーさも各国で愛されており、世界20カ国以上で発売されています。地域のおみやげとしての需要も非常に大きいとされています。

大人になるとなかなかお菓子を食べる機会も多くないかもしれませんが、小さい頃に食べたお菓子にも時折思いを馳せて食べるのも悪くないと思います。

今のどうぶつたちがどんな姿で何をしているか、気になりますよね。
みなさんもたべっ子どうぶつ、久々に食べてみませんか?


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