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【食|酒】バーの楽しみ方8 多少のオツマミ
バーでのオツマミについて。
バーにおいてはそれほど論じるべき話題でもないかもしれないし、ボク自身詳しいジャンルでもない。
まずバーにもお通し的なものがあって、大概ナッツやおかき、ドライフルーツといった乾き物である。これは用語としては「バーチャーム」なんて言うのだが、ボクは勝手に寿司屋なんかの符丁みたいで、客側が使うと恥ずかしいワードな気がしている。
このバーチャーム、「お通し的」と言ったとおり黙っていても勝手に出てくるのだが、これがチャージ料金に含まれる店と、チャージとは別料金の店があるので気をつけて欲しい。まあ断る選択肢はないので黙って受け入れるしかないのだがね。
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ボクの場合、カジュアルバーなら食事兼用で行くこともあるけれど、格式のあるバーへ一軒目から行くことはないので、その際には酒とタバコさえあればよく、もっぱらバーチャームは観賞用として少々摘まむ程度で無問題である。
ただキミがもし素敵な異性とデートをする機会に恵まれて、気張った食事の後にちょっと背のびしてオーセンティックなバーに訪れるとしよう。
そんな時に空気を読まないツレが、二軒目は別腹!なんて眼を輝かせながらツマミを要求してくるケースはままある。
中にはビーフカツサンドやグラタンなど一品料理をウリにするバーもあるけれど、オーセンティックなバーに大層なツマミを期待してはいけない。バーにおいてメインは酒である。
ただツレの要求を無下にするわけにも行かず、仕方なくキミがフレッシュフルーツ盛り(高い)やミニサンドイッチ(高い)などを与えても尚、ツレがツマミ不足に対し付け上がるようだったら、食い気が色気に勝る状態、つまりそのツレとはプラトニックな意味での良好な展開は望めないと思った方がいい。
あとはツレを追い出して独りハードボイルドを気取りながらアイラモルトに浸るか。ワンナイトラブに持ち込む算段を思案するなら高いバーなどすぐに出て終電過ぎまで居酒屋かカラオケにでも行くがよい。
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ただバーという場をわきまえて、酒を愉しむアイテムとしてのツマミは一考された方がよいだろう。
とはいえそれも、赤い料理には赤ワイン、白なら白、程度の感覚でよろしい。スモーキーなウイスキーには燻製が合うし、アルコールが辛かったら甘味や水分を、甘めの酒なら塩味を、つまりは飲む酒とお口の状態次第である。
まず各種カクテルのレシピを見てもわかる通りフルーツは鉄板である。フルーツは香りと甘味と水分で酒を飲みやすくする。中でも柑橘類は万能だが、スイカやメロンといった瓜系やイチゴなどは香りが強く酒を選ぶ場合があるので盛り合わせの際はツレに押し付けてもよい。
またロッテの〈バッカス〉や〈ラミー〉などでもお分かりいただけるだろうが、洋酒とチョコレートも相性がよろしい。なかでもアイラモルトには生チョコが非常に合う。初見の場合、酒単体では強い香りで嫌われがちなアイラモルトも、ツレのお口に生チョコを放り込んでから、追ってアイラを流し込んであげると、口中で混じり合うその媚薬的な風味にツレもイチコロである。ぜひお試しいただきたい。
また塩味に関しては、大概のバーチャームはナッツ類やおかき類なのでそれで多少の塩味や油分は摂取できるため深追いする必要はないが、まだ塩味が欲しければスモークチーズやオリーブでも頼むがよい。
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基本的に、イクラの醤油漬と日本酒の相性や、子羊の香草焼きと赤ワインのマリアージュを考えるほど、バーではツマミ選びに力を注がなくてもよい。
食は居酒屋やレストランにおまかせして、バーでは純粋に酒を中心とした事象を楽しむ場とすべきなのである。
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