シン処刑ライダー(小説「JK」を読んで)
バイオレンスJK小説「JK」を二巻まで読みました。松岡圭祐著、講談社刊。
※大雑把ですが以下の文章中に物語の展開に触れますので(ネタバレあり)、ご注意ください。
あらすじ
川崎…。
近年、駅前周辺の再開発により、大型商業施設、タワーマンションや閑静な新興住宅街が広がり、「住みたい街」上位ランキングに入る百万都市…
だが、一歩裏へ入れば…歓楽街、ギャンブル施設、超格安宿泊施設に集う人々と…そんな人間の欲望に集る反社会勢力…893、半グレ、その予備軍…加えて特に反社会勢力でもないが奇声をあげて歩む人々の姿があり…一説によれば日本刀を常備している家も界隈には珍しくないという…治安が良いとされる日本国内でも有数の危険地帯という顔も持っている…
そしてそれは、学舎でも例外ではない。
川崎市立懸野高校は、在校生の約三割が不良という言葉では生易しいレベルの反社会勢力予備軍である。一部の暴力的強者が弱者を虐げる。醜い弱肉強食の縮図が、この高校でも展開されていた。
…すみません、上記はあくまで小説内での描写や読んでいて受けた印象からのもので事実とは異なります。作者は川崎に何かされたのでしょうか…?
懸野高校の一年生・有坂紗奈は、病気の母と家計を支えながら、JKの教えを胸に、日々を前向きに過ごしていた。
JK…それは女子高生の略称ではなく、ある絶望的状況下で最後まで生き残ったジョアキム・カランブーなる男(誰?)の略称である。
そんな紗奈だったが、その前向きさと、校内の反社会勢力予備軍にも臆することなく対する姿勢により、彼らに目をつけられてしまう。
そして、紗奈のみならず、その両親までもが、理不尽で残虐な暴力に曝されてしまうのであった。
”事件”から数カ月後…。
紗奈の事件の主犯格生徒の一人が、全身が炭化するほどの激しい焼死体として発見される。"彼らの事件"の始まりだった。
893・半グレ氏すべし。慈悲はない。
JK(女子高生)小説にしてJK(ジョアキム・カランブー)小説です。
圧倒的戦闘能力を誇る女子高生が"893半グレ悪者スレイヤー"と化し容赦なく悪党をブチ○していくという展開は、同じ作者の小説「高校事変」を彷彿とさせますっていうか同じ?。
ただ、高校事変の優莉結衣は戦闘トンチといいますか、様々なギミックを用いて悪党たちを鏖・一網打尽にすることがありますが、この作品の「JK」は、今のところ己の肉体を主武器として、凶器として用いているようです。
小説ならではのアクション描写(文章で表現するからこそ伝わってくるその行動・動き・立ち振舞いの凄さ、のようなもの)が良いと思います。
一方で、暴力描写がキツい部分も正直ありました…。気分によっては読むのが辛いこともあるかもしれません…。
The Wraith
「高校事変」と共通しているものを強く感じさせる作品ですが、物語の骨子となる部分にあるのは、恐らく80年代のアメリカ映画「処刑ライダー」(主演チャーリー・シーン)へのオマージュなのではと思います。
「処刑ライダー」の基本ストーリーは、暴虐を極める暴走族の前に、謎のモンスターマシン・ターボ=インターセプターに乗る黒尽くめの男が現れ、暴走族たちをブチ○していくというものです。黒尽くめの男は一体何者なのか。その正体は…。
ちなみに邦題は処刑「ライダー」なのですが、黒尽くめ男が乗るモンスターマシンは四輪でした。まあ「処刑ドライバー」ではちょっと迫力にかけていたかもしれません…。
JKでは、バイクに乗っている描写が度々出てくるのですよね…。第2巻のバイク描写は読み応えありました。文字通り処刑ライダー…。
死神は忘れた頃にやってくる
読み手の期待(JKが悪者をフルボッコにする)には応えてくれていると感じるのですが、別作品ではあるのですが、テーマに似通っている部分があるため、どうしても同じ作者の高校事変と比較して考えてしまいます。
高校事変と比べると、敵がショボすぎる…のですが、お話はまだ始まったばかりですね…。
話のネタとしては、続けていこうと思えばどんどん膨らませていけるのではと思います。
クロスオーバーを期待してしまうのですが…それをやると下手をするとガンダム種運命のシンとキラみたいになってしまうかもしれないという懸念もあります…。
いずれにせよ、続刊が発売されたらまた読みたいと思います。
この作家さん、執筆速度が早くて、読み手側としてはありがたいです(エタる心配がないので…)…。高校事変のときには3ヶ月間隔くらいでどんどん続刊が出ていたこともあったような…。
川崎…。
近年、駅前周辺の再開発により、大型商業施設、タワーマンションや閑静な新興住宅街が広がり、「住みたい街」上位ランキングに入る百万都市…
「お客様のご予算で、駅までこのくらいの時間という条件ですと、この物件ですかね…」
「えっ駅からこの距離で家賃これですか? 随分安くないですか? 光回線も入ってるじゃないですか」
「そうなんですよ」
「掘り出しモノってやつじゃないですか」
「そうですね…」
「どうしてこの家賃なんですか? その、事故物件とかじゃないですよね」
「違います」
「…」
「…事務所がそばにあるんですよね」
「…」
「でも普段から何かあるわけじゃないですし、長く住むわけでもないでしょうから」
「うーん、でもそうですね、あの、でも、毎日の通勤で、日々緊張感持ちながら行くのはちょっと嫌かもしれないです」
「ですよねー」
というフィクションです(おわり)
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