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ヨーロッパ14カ国一ヶ月旅/第三話「なぜ、パウル・クレーゆかりの地を巡りたいと思ったか。知らん港町パトラにて」【ギリシャ2日目】
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生前、パウルクレーは、30代頃まで泣かず飛ばずの売れない画家で、音楽家の奥さんのヒモのような暮らしをしていたものの、ある時同じ画家の友達に誘われた地中海沿岸の旅行をきっかけに「色彩は私を捉えた」と言い覚醒。
それ以降で大きく作風が変わり、色彩豊かで想像力を引き立てられるような唯一無二の画風を手にして、大きな評価を得るようになった。
と言われてる。
自分が服を作る上の、色の組み合わせ、色彩感覚のルーツは、パウルクレーの絵画にあると自負してる。
中高時代、何度も彼の画集を見ながら絵を描いて、彼の残した図形理論なんかを読み漁っていたからだ。
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逆に自分には、あらゆる美術史の中の画家の作品も、殆どが夢中になることはなかった。自分は別に、「美術」が好きだったわけじゃないんだと思う。「パウルクレー」が好きだった。
彼に影響を与えたとされる同時期に生きていた画家の作品たちは気に入った。カンディンスキー、青騎士、バウハウスで教師をしていたメンバー。
彼の影響をより強く受けたいからこそ、彼が影響を受けたものもより知りたいと、学生時代から強く思ってた。
ついに念願叶って、彼が影響を受けたエリアを辿る。
スイス生まれの彼は、生前、地中海沿岸の、イタリア、フランス、北アフリカチュニジアへ旅行に行き様々なインスピレーションを得た、と記録がある。
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カッチリと旅程を決めすぎず、なんとなく地中海周辺の国を、感覚と雰囲気で、その日その日で行き先と滞在先を決めながら、放浪する。
有名な名所や世界遺産もいいけれど、名所指定されるわけでもない街の雰囲気やドアや窓、屋根の作り、小さな店や出会う人に関心を持ちながら、歩き進めたい。
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ヨーロッパ旅二日目。
午前、西ギリシャの港町パトラの海沿いのホテルで目を覚ます。
バルコニーに出て、昨晩買ったビールを飲みながら、海と山並みを眺める。
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雲間から日差しは差し込んでいるけれど、小雨が続く気候。
これくらいなら歩けるだろう、とチェックアウト。
目的なく散歩しつつ、お昼ごはんが食べられるところを探しつつ、次の目的地アルバニアに向かうルートを調べる。
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地元民しか入らなそうな食堂的なところで食べた
マカロニをそのまま長く伸ばしたみたいなトマト系パスタ
上に鬼デカいチキンが乗ってる
たしか500円くらい また食べたいと思う感じではなかった
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山のようなジャガイモと、ピーマンにお米を詰めた謎の料理をすすめられて頼んだ
おなかはちきれる
丘と海の街、って印象の街だった。
パトラって街は、ギリシャにおける「西の玄関」とも呼ばれるくらいに、対岸の国イタリアとの輸出入の要にしていたり、フェリーを使って一般人もここからイタリア・バーリに向かうことが出来たりするらしい。
ただ、それ以外の目的で観光に来るような街ではなく、ほとんどの日本人が来るような場所ではない様子。
飽きたので昼過ぎにバスターミナルに向かう。
アルバニア行きのバスない?とカウンターの人に聞いたら、
「一日に一本朝しか出てないよ」と言われ、もう一泊ここに泊まって明朝向かうには、あんまり魅力を感じられなかった街だったから、とりあえず国境近くに向かおうと、再び知らない街へ向かう。
アルバニア行きのバスが出てる、イオアニナという街へ。
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Google Mapさえあればなんとかなるっしょと軽い気持ちできたヨーロッパ旅だけど、Googleマップにもネット検索にも表示されないルートばかりなことを知る。人に聞くのが一番近道なのは、慣れていかなきゃなと思う。
次回、イオアニナ編。
nisai 松田直己
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