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M1グランプリ2023感想

昨日12月24日M1グランプリ2023が開催された。
その感想を述べる。ただ、個人の感想であり、ここは違うということもあるかと思います。また、ネタバレも含みますので注意ください

ファーストステージ

1組目:令和ロマン 92点(個人的な採点)
パンを加えて学校に向かっているときに、転校生とぶつかった。このときの学校の場所はどこかという漫才でした。ネタの着眼点は今回の中ではトップクラスによく、その後学校の正門と裏門だったという綺麗な結末になるかと思いきや、それをぶち壊してきたところも見事でした。トップバッターなのでどれだけウケていても高得点はつけづらいなと思いつつ、それでも上限に近い92点としました。

2組目:シシガシラ 86点
ハゲを題材にしつつ、看護師などの用語も踏まえた漫才でした。現在は看護婦やスチュワーデスという言葉を使えないのにハゲはなんで使えるんやというところは良かったのですが、どうも見る側からするとデリケートな内容で一歩間違えると炎上しないかとひやひやするところがあり、引き込まれるというよりは醒めてしまうところがあり個人的にはかなり低めになりました。敗者復活のネタが面白かっただけに残念でした。

3組目:さや香 96点
留学生を題材にした漫才でした。さや香特有のしゃべくりもありつつ言葉の応戦をして後半からどんどん加速していくところが見事でした。さらに留学生が50代だったところでやっぱりいいわみたいなところもあって展開も単調ではなく進んでいくところが良かったです。この時点で一番笑いましたし爆発した感じがありましたので96点としました。

4組目:カベポスター 91点
おまじないを題材にした漫才でした。おまじないと称しつつ校長から実はゆすっていたという種明かしで引き込まれ、ピアノの先生だったりの登場人物が出ていたところも良かったです。カベポスターはローテンションでロジックを組み合わせておかしな方向に行く漫才で私としては好みなのですが、令和ロマンと比べると若干劣るかなと感じて91点としました。

5組目:マユリカ 90点
倦怠期の夫婦を題材にした漫才でした。二人の演技だったりセリフ回しは良かったのですがこんなのシミュレーションせんでもええやろというところもあったりネガティブな内容で面白いというよりは若干いやーな感情を感じてしまったので点数はカベポスターから1点引いて90点としました。

6組目:ヤーレンズ 95点
大家の挨拶を題材にした漫才でした。大家役の楢原氏がアンタッチャブル並みの小ボケを連発して、ずーっと笑っていられて面白かったです。途中のワードセンスも光っていたかなと思いました。点数ですがずっとウケてはいるもののヒット続きでクリティカルヒットやホームランがなかったかなと感じたのでさや香よりは若干低いなと見て95点としました。

7組目:真空ジェシカ 93点
Z画館を題材にした漫才でした。真空ジェシカっぽい大喜利力やワードセンスをふんだんに交えており、今までの漫才ではこれは私はわかっても万人にわかるのだろうかというワードがちらほらあったのですが、今回はそういったワードは比較的少なかったのではと感じました。点数は悩みましたが令和ロマンより若干上だと判断して93点としました。

8組目:ダンビラムーチョ 88点
カラオケを題材にした漫才でした。審査員のコメントでもありましたように最初の天体観測のところが見ていて長かったなと感じたのとそこから巻き返すには何かしらのホームランやクリティカルヒットは必要なもののそれもなかったかなぁと感じました。ダンビラムーチョのネタはほかにも見たことはあるのですが、ほかにもっと面白いネタはあったのではと感じました。点数ですがシシガシラよりはよかったかなと感じて88点としました。

9組目:くらげ 89点
忘れたものを思い出すという漫才でした。審査員からも指摘があったようにミルクボーイを連想するとあり、私も見ていてミルクボーイの下位互換かなと感じてしまいました。ただ、サンリオのキャラについては以前それに関するカルトクイズを作ったことがあり、比較的有名なキャラからマニアックなキャラの順に言えていたなぁと感じました。口紅やサーティワンアイスクリームもよくわからないですが、メジャーどころからマニアックなものの順番になっていたのでしょう。ただ、やっぱり万人にわかる内容かというと厳しかったのではと考えられます。点数ですがダンビラムーチョよりは良くて、マユリカよりはよくないかなと感じて89点としました。ただこのフォーマットは営業や寄席ではウケて無限にネタを作れていいのではと感じました。

10組目:モグライダー 91点
にしきのあきらを題材にした漫才でした。審査員のコメントにもありましたようにともしげ氏の調子が良く、皮肉にもその結果ウケが令和ロマンと比べたら弱かったかなぁと感じました。トリを勤めたので最後の最後で大爆発が起こるのかと期待しましたが残念です。点数は令和ロマンよりは低くて、マユリカよりは良かったかなと感じたので91点としました。

個人的な採点で上位3組を決めるとしたらさや香、ヤーレンズ、真空ジェシカでしたが、結果はさや香、ヤーレンズ、令和ロマンの3組が最終決戦に進みました。全体を見ると令和ロマンがあまりにも凄すぎたのでなかなかそれより上の点がつけられないなぁと感じてキングオブコントの時と同様に辛めになった気がします。実際の審査員も令和ロマンを基準にした結果苦悩されてたように感じました。

最終決戦

1組目:令和ロマン
工場を題材にした漫才でした。ノンストップで走り抜け、さらに吉本を茶化すところで一気にクリティカルヒットをしたのでは感じました。パワーもありずっとウケててこれは他の組次第ではありえるかもと思いました。

2組目:ヤーレンズ
ラーメン屋を題材にした漫才でした。いつかの敗者復活でもやっていた漫才で1本目と同様に小ボケを連発していてずっとウケていたように感じました。敗者復活の時と比べるとネタもブラッシュアップしていたのかウケていたように感じました。

3組目:さや香
数字を題材にした漫才でした。私自身理系出身なのでロジックを入れたネタは個人的には好きなのですが、見ていて頭を使うネタは万人にわかるのだろうかと引っかかったのとデルマパンゲがやっていたネタを連想してしまうところがありました。正直なんでこのネタをやったの?ほかにいいネタはもっといっぱいあったはずなのにと感じました。

最終決戦の投票をするとしたら個人的に滅茶苦茶悩みました。笑った量だけでは令和ロマンとヤーレンズが同じぐらいだったのですが、ヤーレンズはヒットばかりでクリティカルヒットがなかったかなと感じたのと令和ロマンが瞬間風速が一番良かった気がしたので私が投票するなら令和ロマンとしました。ただ、クリティカルヒットがあと1つ2つあったらおそらくヤーレンズに投票してましたのでほとんど差はなかったです。ちなみに私の父と母はヤーレンズに投票するとしてました。結果は令和ロマン4票、ヤーレンズ3票でヤーレンズが勝ちました。開票結果を見る時にヤーレンズと令和ロマンが交互に表示され、最後と松本氏が表示されるまでわからなかったところが実にしびれました。ここ数年7人開票するうちの5人目ぐらいで決着がつくことが多かったのでドキドキが強かったです。令和ロマンはabcお笑いグランプリでも熾烈な優勝争いをしており、いずれM1でも優勝争いをするのではと思ってましたが思ったより早く優勝しましたねぇ。

全体を通じて

全体を通してみると、やっぱり熾烈な予選を勝ち抜いてきただけあって参加者のレベルは高かったですが、前半に面白かった組が多かった分、後半尻ずぼみになってしまったかなぁと感じました。過去最高と称された2019年は展開がひっくり返って、またひっくり返ってというのがありしびれたのと比較すると、生き残りを死守する対決に見えてきました。また、決勝進出者もつまらなくはないのですが、なんでこのネタをやったの?ほかに面白いネタはあったはずなのではと感じることがしばしばありました。最終決戦は家族間でも割れ、ネットでも真っ二つにこっちが良かったと割れていて、審査員の票も割れるぐらい本当に互角の対決でしびれました。新審査員を務めた海原ともこ氏は性格的に点数差3点ぐらいでほとんどつけないタイプかなと思いきやそれなりにつけており、またコメントもそこまでピント外れなコメントもなかったので流石だと感じました。令和ロマンがこれだけレベルが上がっているM1で最短芸歴で優勝したのが霜降り明星の優勝を彷彿とさせるところがあり圧倒されました。準優勝に終わったヤーレンズは来年売れていくでしょう。

余談

ここからは余談で、今回の話の本筋からずれますが、私の先輩とこの前食事に行ったときこのような話をした。高学歴が参入するとその分野は衰退する。例えばゲーム会社は高学歴が参加したためにクオリティが落ちた。この話が本当かどうかは一考の余地はありますが、以前にも東大生に人気の業界はその後衰退するという話もあったなぁと感じました。こういった話を踏まえると高学歴の令和ロマンが優勝したことにより皮肉にもお笑い界が衰退してしまわないかなぁと危惧しました。ここ数年お笑い芸人も大学のお笑いサークルを経てプロになった人が続々出てきて賞レースにも出てきています。慶応出身だったり、上智出身だったり芸人の高学歴化が以前と比較すると進んでいるように思えています。お笑いサークル出身のネタを見てみると個人の感想ではありますがネタにインテリジェンスだったり知的なところがあり、個人的には好きなのですが一方勉強が苦手な人が見てこれはわかるのだろうかと感じることがあります。単独ライブでやるネタならさておき賞レースでやるネタは万人にわかるネタにしたほうがいいのではと感じています。今後お笑いが衰退せずに進化することを期待しつつ来年以降もすばらしい戦いになることを願っています。

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