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名作マンガを生み出す5つの方法

最近、マンガのことをよく考えているので、マンガについての考察をつれづれに書いてみたい。

マンガに限らずコンテンツ全般に言えるが、無意識にアクセスすると面白くなり、無意識にアクセスできないと面白くなくなる。中島らもは、無意識にアクセスするためにお酒を飲んで酩酊し、酩酊しながら書いていた。60年代のミュージシャンにもドラッグが欠かせなかった。特にLSDは強烈だったらしい。ジョブズもLSDで悟りを開いたという。

村上春樹は早朝に書く。書いた後にはマラソンをする。そうすれば無意識にアクセスできるからだ。昔のマンガ家はよく寝ないで描いていた。それはもともと、手塚治虫がそうしていたからなんとなくそういう習慣ができたからなのだが、いつしかそれが名作を生み出すフォーマットとして確立した。実際、手塚治虫は死ぬまで無意識にアクセスし続け、名作を絶やさなかった。手塚に倣った他のマンガ家も、だいたいみんな無意識にアクセスできていた。

無意識にアクセスするためには基礎体力が必要だ。宮崎駿も庵野秀明も、作品を作る間隔が段々延びていくのは、この基礎体力が失われるからだ。マンガ家も、若い方が面白い作品を描くのは、この基礎体力があるおかげなのだ。村上春樹がマラソンをするのは、この基礎体力を維持するためである。

老齢になると、「規則正しい生活」が基礎体力を維持する最大のこつになる。柳沢きみおや秋本治は規則正しい生活をして基礎体力を維持し、マンガを描き続けた。手塚治虫や藤子・F・不二雄のような描き方では早死には免れないのだ。小林まことの『青春少年マガジン』という作品は、小林自身の若い頃の無茶な生活を描いたものだが、そこで友二人を若くして失った話は残酷極まりない。

今では、無意識にアクセスする術はある程度確立している。最近、最も無意識にアクセスしているのは『鬼滅の刃』『進撃の巨人』『映像研には手を出すな』などだろう。これらの作者はいずれも若く、ほとんどデビュー作といって良い。

若い作家のデビュー作には、作者の人生の全てが投影される。そして若い人ほど、その人生における「無意識」の割合は大きいので、勢い作品も無意識が投影された良いものとなる。これは名作マンガを生むための一つの方策ともいえよう。『ONE PIECE』などもその典型だ。

それゆえ、興味深いのはデビュー作以外をヒットさせられるマンガ家だ。

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