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特定処遇改善加算の配分先・介護職員以外の「その他」が53%、経営者「大変悩ましい」

*「最適な介護」を実現するための情報紙*
_/_/_/_/_/日本介護新聞ビジネス版_/_/_/_/
*****令和4年4月13日(水)第723号*****

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特定処遇改善加算の配分先・介護職員以外の「その他」が53%、経営者「大変悩ましい」
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 厚生労働省は、特定処遇改善加算を取得している介護施設・事業所で「月額平均8万円以上の賃金改善を実施」したのは11.4%、さらに「処遇改善後の賃金が、年額440万円以上となる賃金改善を実施」したのは40.8%と発表した(=4月7日付け弊紙で既報)。

 そもそも介護職員等特定処遇改善加算は「勤続年数10年以上の介護福祉士について、月額平均8万円相当の処遇改善を行う」等との方針に基づき制度設計が行われ、厚労省の調査では72.8%の介護事業所が加算を取得した一方で、27.2%は未取得となっている。

 また、加算を取得した介護事業者に、その配分の対象を複数回答で尋ねたところ、次のようになった。

 ▽経験・技能のある介護職員=92.0%
 ▽他の介護職員=85.0%
 ▼その他の職種=53.3%

 さらに「その他の職種」に対する配分状況を質問すると、上位となった4職種は次のようになった。

 ▼看護職員=72.9%
 ▼生活相談員・支援相談員=65.8%
 ▼事務職員=61.1%
 ▼介護支援専門員=47.1%

 これらの結果について、 4月7日に開催された厚労省の有識者会議・介護給付費分科会では、会議に出席した、主に医療系の複数の委員から「(介護医療院等の)経営者にとっては、大変悩ましい課題だ」との指摘が相次いだ。

 具体的には「全体的に、医療系の施設の加算取得率が低い値になっている」「医療系施設では、併設医療機関の看護補助との賃金の兼ね合いや、医療系施設では介護職員が必ずしも多数を占めていないこと等が背景にあって、経営者にとっては大変悩ましい課題だ」

 「今回の調査結果は(主に医療系施設等の)経営者が、事業所の全体的な賃金のバランスを熟慮して、このようになっていると思うので、これについて引き続き注視していく必要がある」等と指摘している。

 【特定処遇加算を未取得の事業所の4割が「職種間の賃金バランスがとれなくなる」】

 今回の厚労省の調査では、加算が未取得の27.2%の介護事業所に「特定処遇改善加算の届出を行わない理由」を、複数回答で尋ねている。ここでも「職種間の賃金バランスがとれなくなることが懸念」が40.2%。

 また「介護職員間の賃金バランスがとれなくなることが懸念」との声も33.4%あった。

◇─[後記]───────────

現在、岸田内閣は「介護職員の抜本的な処遇改善」の実現を、重要政策の一つに掲げていますが、これを実施する際に必ず課題になるのが、この「職種間の賃金バランス」です。今後も実施される処遇改善加算でも、同様の議論は繰り返されると思います。

いずれにせよこの課題は、介護職員の処遇改善加算では「避けて通れない課題」になっています。大変難しい問題ですが、厚労省も交え、介護業界全体で知恵を絞ってなんとか解決してもらいたいと思います。

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