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「出版物の消費税総額表示の免除継続を」書協・雑協、要望書提出へ

日本書籍出版協会(書協)は10月27日に開いた理事会で、11月にも財務省に対して出版物の消費税総額表示義務の免除の継続を求める要望書を日本雑誌協会と連名で提出することを決めた。

アンケートを実施、会員社から延長求める声受け

これは、書協が会員出版社402社に対して行った「出版物の消費税総額表示に関するアンケート」の結果を受けての対応。来年3月末で総額表示の義務免除が終了することに対し、免除期限の延長を求める声が集まったことから、改めて財務省に申し入れることを決めたという。

出版物に関する消費税の総額表示への対応については、2004年の総額表示導入前に「スリップのボーズ部分に総額を表示する」など幾つかの対処法をまとめ、導入時には出版社は主に新刊書のスリップのボーズ部分に総額表示を記載するなどの対応をとっていた。しかし、2013年から総額表示義務の免除が始まってからは、ボーズ部分に記載する社が減っていき、近年ではコスト削減などを目的にスリップを廃止する出版社が相次いでいた。

「スリップ廃止」は約半数、代替案「難しい」

書協が9月30日~10月9日に行った会員社向けアンケート(回答者数178人)によると、スリップを使用している社は「85(47.8%)」と半数以下。すでに廃止した社は「64(36.0%)」あり、ジャンルごとに徐々に廃止している社は「16(9.0%)」、廃止を検討している社は「13(7.3%)」だった。

すでに廃止したと回答した社に、4月以降の新刊書籍に総額表示をするためにスリップを復活させるかと聞くと、復活させると回答したのは、わずか「3(3.8%)」。「負担が大きいので、できればしたくない」が「39(48.8%)」、「負担増のためスリップでの表示の実施はしない」が「38(47.5%)」とスリップ以外での対応を模索しているところ。

ただ、新刊・既刊書を含めてスリップ以外に表示する場合はどのような方法が可能かと全体に聞くと(複数回答可)、最も多かったのが「どの方法も難しい」(「88」49.4%)。スリップ以外で、有効な対応策をいまだ見いだせていない出版社が多いようだ。

「カバー」か「オビ」への表示が4割超に

スリップ以外の表示方法で最も多かったのが、「カバーへの表示」(「42」23.6%)。次いで、「オビへの表示」(「36」20.2%)、「シールを貼る」(「33」18.5%)、「総額表示したしおりを挿し込む」(「18」10.1%)。

来年3月末までの既刊書に対して総額表示を実施するかについては、最も多かった回答が「負担が大きいのでできればしたくない」(「46」49.5%)。次いで「負担増のためスリップで表示の実施はしない」(「33」35.5%)と経費高騰を心配する声がほとんど。

出版社、費用負担増で経営への悪影響を懸念

さらに、総額表示の義務免除の終了が会社にどう影響するか(複数回答可)との問いには、「大幅な経費増になり業績の悪化をもたらす」が「73」(41.0%)。「既刊書の継続発行が抑制される」(「45」25.3%)、「新刊出版点数の減少、抑制につながる」(「8」4.5%)と経営に悪影響を及ぼすと考える社がある一方、「若干の経費増になるが、甚大な影響とはいえない」が「47」(26.4%)とする社も。ただ、「何とも言えない、予測がつかない」(「57」32.0%)と戸惑う声も多かった。

義務免除終了が読者に与える影響については、「読者はすでに本体価格+税という表示に慣れているので、総額表示の有無については影響ないと思われる」が最多(「100」56.2%)。すでに慣習として根付いていると考える出版社が多く、「総額表示と本体価格+税表示の出版物が混在することになり、かえって混乱を招く」(「70」39.3%)と心配する声も多かった。「支払総額が明確にわかることで安心して購入してもらえるようになる」と回答したのは、わずか「2」(1.1%)だった。

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