タイムマシン

もしも人生をやり直せたら。

昔、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』という映画があった。
デロリアンというタイムマシンに乗って、マイケル・J・フォックス演じるマーティーとクリストファー・ロイド演じるドクが過去や未来を旅する物語だ。

すごく好きだった映画で、大ヒットもした。
福岡の映画館に観に行ったときに、タクシーの窓越しに川向こうのビル一面を覆う巨大なマーティーとデロリアンの看板があって、とても興奮したおぼえがある。

あんなふうに人生のどこかを変えて、やり直せるとしたら。
僕には何箇所か直したいところが思い浮かぶ。

まずは、小学校高学年の頃。ピアノをやめなければよかった。
毎回の練習がいやで「サッカーの練習がしたいから」と言い訳したけれど、そんなことにくじけなかったら、今、作曲するときにどれほどのことができただろうかと思う。

次は、中学生の頃。B'z にあこがれて「稲葉さんみたいになりたい」と思ったのを「顔が悪いから」という理由で諦めなければよかった。見た目なんていくらでも変わるし、本当に真剣に音楽を演っているときにはどんな人だってめちゃくちゃカッコいいということを知らなかったのだ。

それから、高校生の頃。あんなに受験勉強ばかりしないで歌や楽器の練習に時間をつかえばよかった。何の疑いもなく四年制大学に進学したけれど、芸大や音大に進む道もあることを思いつけばよかった。そうしたら、いまの僕はもっと歌や作曲や楽器の演奏が上手になっていたかもしれないのに。

そして、社会人になってから。お金はあったのだからその歌や作曲や楽器の演奏を習うのにつかえばよかった。機材を揃えることだってできたはずだ。

そう、僕がやり直したいと思うことは、すべて音楽に関することだ。
音楽につかえたはずの時間やお金を、いつも他のことで埋めてしまってきたという悔いが残っている。

ただ、僕が過去に戻ってやり直すことで、消えてしまうものもあるだろう。

楽しかった思い出。喜んだり悲しんだりしたこと。

ワクワクしながら入社した会社、これまで出会った人たち、友だち、師匠、奥さん。

そういうのが消えてしまうのは、本当に困る。とっても大事なものだから。

だからきっと、やり直すことができたとしても、僕はタイムマシンには乗らないような気がする。

結局、いまからやるしかないのだ。
「あーあ」と思う気持ちがないわけではないけれど、それを叶えることができるのは、この先しかないのだから。

でも「残したいところは残して、音楽に関する部分だけ変えられますよ」という画期的なタイムマシンが紹介されたら、ちょっと考えちゃうかな。

それでも、なにを残すかを考えるのがめっちゃ難しいか。

やっぱ、なしだな。

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