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make-up shadow

シャドー [1] 【shadow】
① 影(かげ)。陰影。 「アイ--」
② 〘心〙ユング心理学で,人格の影の面を指す元型の一つ。自分が生きられなかった半面が無意識の中に残されて作られるイメージ。
(三省堂『大辞林』より)

1月17日(木曜日)に開催する

『魂と繋がる歌の唄い方®️』〜夢と魔法の裏の国

のベースになっている体験は、以前『テーマパーク。』という記事で紹介したある参加者さんの『魂うた』(『魂と繋がる歌の唄い方』の愛称)と、その『魂うた』のファシリテートを学んだ合宿での「ハロウィンナイト」の経験だ。

三年前、僕たちは「自分の影」というテーマで仮装し『魂うた』を唄った。

最高に楽しく印象深いステージで、このメンバーの歌はその後も何度となく聴いているが、いまでも忘れがたいものは、この日のパフォーマンスが多い。かわいらしさ、純真さなど、明るい面が影だという人がいたのも面白かった。

後列右端にいる僕は、女装をした。本格的なメイクを施してもらい、口紅も塗って、ちゃんと女になると驚くほど開放的になり、実に気持ちよく歌うことができた。

余談だが、僕の本当の影は実は「男であること」だったのだけれど、このときにはまだ気づいていない。

自分にとって影になっているもの、自分からはかけ離れていると思えるもの、そういうものが表現されるとき、本人が思っているよりもずっとはっきりとその人の本質が伝わってきたりする。

僕の女装も「サワ子」と名付けられて大好評で、その後、何度かステージに立つことになった。

「夢と魔法の裏の国」のもう一つのイメージは、英国の覆面芸術家バンクシーの手によるディズマランド(Dismaland)だ。

2015年に期間限定でオープンしたこのテーマパークは、元ネタを完全にひっくり返した不気味で陰鬱な悪夢の王国。歪んだアリエルやパパラッチされるシンデレラの事故現場など、目を背けたくなるような内容だが、観たい、行きたいと思ってしまう。

光の世界から押しやられたもの。影、闇、悪。そうしたものに僕たちはどうしょうもなく惹かれてしまう。かのテーマパークだって、メインキャラクター以外に「ヴィランズ」という悪役たちが大人気だったりする。

そして今回、1月17日の『魂うた」で想定している「影を通過して光が純化する」というプロセスは、中学生の僕が心を撃ち抜かれ、将来の就職先を決めた「ファンティリュージョン!」というパレードの構成と全く同じである。

テーマ曲が長調から短調に変わり、フロートが変身して悪の親玉が登場するという目を見張るような演出は、あれから20年以上経つ今でも色褪せない。

そして、今思えばそれは「悪とは傷つき歪んだ善である」ということを示していたようにも思える。僕にとって人生を通じてインパクトを与えられている恐るべき表現だ。

人の裏にあるもの。影、闇、悪といったものは、メイクアップを施されることでこれほどまでに美しく魅力的な表現になる。

そうしたメイクアップされたシャドウに出会いたく場をひらく。

初めての口紅の
唇の色に
恥じらいを気づかせる
大人びた世界
(井上用水『make-up shadow』より)

1月17日。
新年のはじめに、あなたは知らなかったあなたに触れることになると思う。

そのとき、あなたは初めて口紅を塗った日の、あのなんとも言えない気持ちを思い出すかもしれない。

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