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魅惑のMt .Fuji
私が勤務する病院は8階建で関東にあります。
近隣の背の高い建物からは富士山が見える事が多々あります。
ですが私の勤務する病院からは角度的に富士山は見えません。
これはなんとも残念ポイントだと勤務する者も患者さんも思うところです。
見えても多分富士山の頭にかかっているんだろうなであろう笠雲が見えるところが限界。
ある日…
個室に入院中の70代後半のAさんが見たこともない表情で怒っていました。
「どうやっても怒りがおさまらないのよ。」と担当ナース
コップを投げるはベットから身を乗り出し今にも殴りかかってきそうです。
「きっかけは?」と聞いてみると…
「富士山が見えない…」
という理由だそう。
みんな「あーこればっかりはねぇ。しゃーないじゃん。どうしようもないよ。」とお手上げ状態。
面会に来たご家族様にも説明し随分怒ってらっしゃることをお伝えしたところ奥様から
「入院前からすごく怒る事が増え、些細な事で怒り出すんです。ずっと温和な人だったのに…」
というお話を聞きました。
ナースや先生方は奥様の話を聞いてから「ちょっと数日様子みてご家族にも相談しましょう。」と
助手の私は「はにゃ?どいうこと?」
ナースの見解
お昼休みに仲良しナースとおしゃべり中、Aさんの話になりました。
「きっと富士山が見えるだろうと思って入院したのに見えないからがっかりしたんじゃないの?
確かに富士山の冬の姿はなんとも言えない存在感。でさ、kーpopアイドルもびっくりな透明感とビジュアルの素晴らしさ。そりゃ見たかっただろうに。それが見えないってさー。がっかりするよぉ。それでつい怒っちゃたんじゃないの?」
と私。
ナースは私に
「おバカさんか笑😆 富士山見えないくらいで暴れる?あんな血相変えて。」
私 「はぁ、確かに。大人だもんね。制御は効くわな。」
ナース 「だべ。」
と。
ナース「もうすぐ何かしらの脳検査するんじゃないかな。多分ね。」
私「ふーん。富士山見せてあげたいね。」
ナース「もはやアンタが富士山見たいんじゃないの笑」
数日後
Aさんに脳梗塞が見つかった。
という情報が入ってきました。
命に関わるものではなく年相応の状態ではあるもののある一部に多く発見されたそうです。
仲良しナースは私に「ね、脳検査したでしょ。」と言い残して仕事に消えていきました。
さすがです。ナース。患者さんの近くにいるから様子もよくわかるんだなぁと感心しました。
でも、なんで???
脳の仕組み
脳には前頭葉、側頭葉、後頭葉…
などなどいろんな部屋分けがあります。これは中学の理科でも学習するところ。多分、耳にしたことはあるでしょう。
脳は人間の視覚、聴覚、感情、思考、行動などなど全てを司ってる訳です。
なのでどこかが故障すれば身体に支障が出るのです。
そこで前述のAさん。
Aさんは温和だったはずなのにある時からよく怒るようになりました。
そして後日、一部に脳梗塞が発見されました。
その一部とは前頭葉部分でした。
前頭葉の働き
前頭葉は脳の前の部分。
この部分は人間の喜怒哀楽などの感情や行動を調節しているそうです。
健康な脳は喜怒哀楽や行動をその時々の状況や場所などに応じ適切な調整をして言動を発するのです。
そこに病変があればどうなるのか?
「なんか今までと違うね」
と周りも気がつくような感情の変化が見えるようになります。
いちばんわかりやすいのが怒りの部分。
Aさんはそこにいつもとの違いが現れたのです。
おかげで脳梗塞が発見され脳梗塞の治療も始まり大事に至らずに済みました。
早期発見、早期治療。
簡単そうで難しい。
だからこそ若いうちから自分の身体を見つめましょうね。またあなたにとって大切な人にも目を向けてあげてくださいね。
今回も読んでいただきありがとうございました。
看護助手Hary boss
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