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スイスでハイキング ★車椅子でスイス旅行★

スイスにはたくさんのハイキングコースがあります。
延べ65,000キロメートルもあるそうです。
スイス、山、ハイキング。
普段ハイキングをしたことがなくても、スイスまで行くのだから、やはり行ってみたいですよね。

出発前に「車椅子でハイキングはやっぱり無理ですよね」と旅行会社の人に聞くと、乳母車を見たことがあるので、行けなくはないと思います、とのこと。
これはちゃんと調べなければ、と思い、いろいろ調べたのですが、車椅子ユーザー目撃談しか見つかりません。
なので、「簡単なハイキングコース」をキーワードにして、目星をつけたのがこのコース

所要時間は1時間10分、難易度は初級。
「グリュッチアルプからミューレンまでの鉄道路線に平行して」いるので、道に迷う心配もないし、急勾配の道もなさそうです。

電動車椅子なので少々の上りは問題ないのですが、勾配がきつくなると人間が押さなければなりません。
手動に切り替えた場合を考えるとやはり上りよりも下り。
ミューレンからグリュッチアルプまで降りていくことにしました。

今回の旅行では、ツェルマットとミューレンでハイキングをするつもりにしていました。
けれど、ツェルマットのハイキングコースに実際に行ってみると、車椅子には向いていないように見え、ハイキングを断念しました。
ミューレンもその可能性があるので、行く前にもう一度確認することにしました。
ホテルのフロントに聞くと、すごく簡単なコースなので大丈夫とのこと。
ミューレンの観光案内所らしきところに行き、簡単な地図も手に入れ、乳母車OKマークも確認しました。

いよいよハイキングの日。
ホテルで遅めの朝ご飯をとった後、痛いくらいの陽ざしの中で出発しました。
舗装されている!と思ったのは最初の数分ほど。
小石が混じった踏み固められた未舗装の道が続きます。

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道の両側には花がいっぱい

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林の中にはいると陽ざしが和らぎます

「鉄道路線と並行」しているとありましたが、真横を歩くのは最初だけ。
鉄道路線から徐々に離れ、ハイキングコースの下のほうに鉄道が走っています。
また道自体も斜めになってきて、すべらないように気を付けなければなりません。

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コース半ばくらいに突然出てきた門。
押したり引いたりしても開かず、引き返そうかと思ったとき、反対側からハイカーがやってきました。
どうやって門を開けるのか、わからない、と私が言うと、彼女は笑って、門の端にある棒に手を伸ばし、棒と門をつなげているわっか(写真中央の黒いもの)を上に持ち上げて棒(写真中央)から外し、門を開けてくれました。
あきれるくらい簡単で、笑い飛ばすしかありませんでした。
彼女にお礼を言って、先に進みました。

出発してから小一時間ほどでヴィンターレック駅に着きました。
駅にあるレストランでお昼ご飯です。

さて、いよいよ後半です。
グリュッチアルプ駅を目指して、コースを進みます。
すぐに小さなチーズ工場が見えてきました。
ヨーグルトも売っていて買いたかったのですが、お昼を食べたばかりなので、お店の中をのぞいただけ。
お店は階段を上らないとダメなので、母は外で待っていました。

ハイキングコースは牧場の中も通ります。
若干ぬかるんだ道を上っていくと、牛の群れが現れました。

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こんなに牛に囲まれたのは初めて。
夢中で写真を撮っていると母の悲鳴が聞こえました。
振り返ってみると、車いすに座っている母の上に牛のお尻が!
大受けしていると、「笑っている場合じゃない!」と真顔の母。
ごめんごめんと笑いながら、車椅子を牛のいない場所に押していきました。

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牛が草を食み、山々が間近に見え、まさしくアルプスの少女ハイジの世界。
しかし現実は、ほやほやのふんの落下におびえ、足元のふんにも注意しながら移動しなければなりません。
ふんをよけて車椅子で通るのは至難の業でしたので、しかたなく、ふんを踏んづけて進みました。
牧場を抜けてしばらく移動してから車輪を見ると、意外にも、ふんのような泥のようなものが少しついているだけでした。

ようやっとゴールのグリュッチアルプ駅。
しかし、最後に急勾配の坂道が待っていました。
10メートルくらいの距離だったと思うのですが、車椅子を支えながら後ろ向きに降りていくしかありません。
腕がぷるぷる震え、中年女子にはかなりきつかったです。
坂道の後は踏切越えで、ここも若干段差があり、私が車椅子を押していきました。

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車椅子ユーザーのための情報
ミューレン駅とヴィンターレック駅の間は車椅子でも大丈夫ですが、山の斜面に道が作られており、柵もないので、道から落ちないように気を付けなければなりません。
また、道自体が斜めになっているところもあるので、電動ではなく手動で行った方がよい気がします。
また道の途中でブレーキをかけて止めていても、すべり落ちる危険性があります。

ヴィンターレック駅とグリュッチアルプ駅の間は景色が抜群によいのですが、グリュッチアルプ駅の坂が難しいです。
またグリュッチアルプ駅からヴィンターレック駅に上っていくのもかなり大変そうです。
もう一度行けと言われたら・・・あんまり行きたくないです。

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母の一言
牛ね、ほんと怖かった。
いろいろと問題が起きたけれど、不思議なことに助けてくれる人が現れるのね。

いただいたサポートは次回の旅行に使わせていただきます。より詳細なレポートができるように頑張りたいと思います。