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「資本金の減額」という禁じ手に出た、中小企業の経営者たち 〜日本経済の沈没の始まり〜

今、中小の企業で資本金を減額、株式数(価値)を減らすことが流行っていると言う。

例えば、3億円の資本金が、5,000万円、5億円の資本金が8,000万円になるというイメージです。(具体的な実例は避けます)

こう言った企業は、その時点では健全な企業であったり、優良企業です。

この問題の結論から言うと、この考え方は非常に危険です。

そもそも、株式によって資本調達するのは、欧米の(世界金融の)常識的な考え方です。

日本では、中小企業も上場企業も、株式価値を高めるという意識が未だに低い。

それを、2000年代から法制化した株式交換と言う、無償で株式を取得する手法を日本に押し付けたのも米国です。

つまり、資本金を下げると言うのは、最も安く企業買収する手段となります。

これで、かなりの日本企業は、簡単に外国資本に買われています。

現在、上場株式総額の30%に及びます。

そのポイントは2つ。

①資本金が少ないと、簡単に債務超過になります。

②株式価値が低いと、安く簡単に買収されてしまいます。

何故、中小企業が、そんな暴挙に出るのかというと、株主の相続や贈与、経営の承継、家族経営の整理のためが主因です。

これは、健全な事業業績の状態では、ある意味、適切であると考えられますが、裏返すと「企業価値を下げる」という手段による事業承継に過ぎません。

事業承継も、物質的に恵まれた環境で育ち、経営の真の苦労を知らない、2代目3代目・・・となると経営者としての質は下がり続けます。

かって、昭和の大きな夢とロマンを求める創業者たちは、自社の資本金を増やすために、自らの生活を切り詰め、社会的に認められるような、立派な会社を目指してきました。

こうした安易に資本減額する経営者たちの詭弁も聞かれます。

「決算上の資本の部は減ってない」と言いますが、企業の価値は株価で測られるという本質は何ら変わりません。

現代の株式資本主義の社会では、圧倒的に株資本の価値を上げることが重要な経営戦略です。

例えば、1億円の株式が、評価額として10倍になれば10億円の価値です。

1,000万円なら、1億円にしかなりません。

尚且つ、企業を他の企業を買収しようとすれば、1億円の株価と1,000万円の株価では、「株式交換の価値」に大きな差が生じます。

簡単に言えば、当方個人資産でも(売上高)数100億単位の企業を数社は買えるという状態です。

このような資本政策を、銀行が黙認しています。

それは、メインバンクなどにとって、非常にメリットがあるからです。

それは、改正銀行法との関係があります。

改正銀行法 とは:出資規制の見直しも改正銀行法の目玉のひとつだ。 旧法では事業会社への出資上限を原則5%としていたが、改正法では地域活性化事業会社(非上場)であれば議決権100%の出資も可能となった。

つまり、貸付している企業の中小株を、100%取得可能となったのです。

メインの融資というのは、それだけでも大きな権力を中小企業に行使できるということです。

日本は、特に、米国とは違い、資本調達を株式に頼らないで、金融機関・銀行からの資本調達としてきたからです。

現実に、地銀は、M&Aの事業部(人員)を急速拡大していますし、ある銀行本店の正面にはあからさまにM&A専門会社の巨大広告があります。

2026年のCBDC(デジタル通貨)のスタート辺りから、銀行の支店は1/3以下になります。

地銀の統廃合も急速に進むでしょう。

あの都銀でさえ、不動産バブル崩壊の1990年以降、17行あったものが、現在の3行に整理統合されたのです。

今年か来年に80%の確率で起こる金融危機(本質は銀行破綻)が、さらに事態を悪化させることも考えられます。

そんな銀行業務で、重要な業務として残るのは、融資・貸付でしょう。

しかし、この融資・貸付判断も、AIに置き換わることが確定事項のようです。

最期に残された業務は、本来の銀行業務外の、M&Aが主要業務となることが予想されます。

少しでも企業業績の翳りがあれば、簡単に株式資本は銀行に獲られます。

さらに、タイミングが最悪ですが・・・未曾有の金融危機では、あらゆる企業の業績悪化のリスクは高まります。

そうすると、冒頭の株式価値の低い中小企業(非上場)は、草刈り場となる可能性が高い。

その行く末は、ハゲタカファンド(外資)の日本買いが進む事にもなるでしょう。

2025年頃から、中小企業の敵対的買収や銀行による買収は、普通に目の当たりにする景色となるでしょう。

日本経済が「沈没する」というのは、ますます現実味を増してきているというのが、正直な感想です。
(当方個人としては、全く望みたくない日本の将来像です)

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