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【創作】Spicy Days【ショートショート】

昨夜は素敵だったわ。久しぶりだったじゃない。
すぐに心うつりする私だけど、結局あなたのことを忘れられない。
あなたの所に戻ってしまうの。

朝、目覚めた時に最初に感じるあなたのにおい。
わたしね、この時一番幸せを感じるの。
大好きよ、あなたのにおい。

あなただと楽だからつい頼ってしまうけど
でもこんな生活を長く続けてはいけないって思ってしまうの。
それって普通じゃないの?
いつまでも同じ生活を続けるなんて無理よ。
3日間の濃密な生活。それでも十分だと思わない?
幸せが壊れる前に距離を置くことも必要じゃないかしら。
少なくとも私はそう思っている。

今朝はつい寝坊してしまって
あなたとの語らいもないままに家を出てしまった。
そっけなかったかしら。
一度あなたのことを覗いたの。
でも、思いを振り切るように何もせずに家を出てしまった。

大丈夫かしら。
あなたはああみえて結構デリケートなのよね。
もっと気を使わないとわたしとの関係は終わってしまう。

前にも一度同じことがあった。
寒い冬のことだったわ。
真っ暗で凍えるような部屋であなたは待っていた。
私が帰ってくるのを。

私はすぐにあなたのもとへ駆け寄った。
あなたのにおいを確かめたわ。
そして安堵したの。

今日は大丈夫かしら。
デリケートなあなたは今度こそ…… 

今度こそ…… ダメかも。

外は初夏の光でまぶしいというのに

少し汗ばむ季節に

そのままにしてきたカレーは腐ったかも……。  (了)


※お題「カレー」で書きました。
※トップ画像は男女のシルエットです。右側が男性、左側が女性です。
女性がうつむき加減で手を伸ばして男性に触れているようです。

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