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【マイクロノベル】夜桜

 ある日、私は夜桜を見に公園を歩いていた。この遣瀬無やるせない心持ちが和らぐことを期待してのことだったが、月光に照らされた凛とした姿にただ嫉妬しただけだった。私は帰ろうと足を速めた。がそのとき、はかなげに色づく冷風が私を追い越し、そして、強張った身体と心が少し緩んだ。肩に乗る一片ひとひらを見つけて。


(ショートショート部の今週のお題「ピンク」)
自作『花想風』https://note.com/ninomae_aki/n/n81cf15fc7b52
を芥川風に改稿しました。

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