見出し画像

【マイクロノベル】花想風

 桜の花を見るとさまざまな思い出が蘇る。みんな同じように見えるけど、毎年、いえ、見る度ごとにこの花は別の表情を見せる。満開の桜の木の下で、私は限りなく白に近い淡い色あいの少し冷たい風に包まれた。そのときだけは心に刺さった棘が消えたような気がした。ひとひらを目で追いかけている間は。


(ショートショート部の今週のお題「ピンク」)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?