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【朗読・後記】発表会で読んできた

ついに2ヶ月半くらい格闘してきた「待つ」(太宰治)を人前で読んできました。
ほんと大変だった。なんだかわからない太宰治を読んだのは何回目だろうか。Youtubeで検索すると、結構な数の動画が出てきます。みんな読んでいるということは、解釈ができないのって少数派なのかな? こんなに苦労するのは私に読解力が足りないからなのだろうか。

主人公の女性が一人語りをします。作中「駅のベンチに座って何かを待っている」と何度も繰り返す話です。何度も何度も。ストーリーはありません。この人は何を待っているのだろう? この作品に関する論文も読みました。戦争が云々とありますがそうなのかなあ…?なんだか難しすぎない?そんな難しい話なの?

文字を読み上げるだけでいいなら数回練習すれば読めるようにはなりますが、それじゃつまらない。
「この作品はなんぞや」が自分の中で解消できないと、どう読んでいいのかわかりません。この戦いが長かった😣

2か月くらいたって「この人は自分が変わりたいと強く思っているのではないだろうか」と思った。それで作ってみたのだけど…どうもしっくりこない。

発表会の3日前のレッスンでストンと腹に落ちた解釈は「恋に恋している乙女なのではないか」ということ。まだ現れぬ「お方」を待っている。でも実際は恋人どころか片思いすら始まっていないのではないか。妄想が膨らんで始まってもいない恋を怖がり、ひょんなことで現れる白馬の王子様を待っている。でもそれを他の人に悟られたくないとも思っていて、恋をできない理由を世間のいろいろなことのせいにしている。でもやっぱり恋がした~い!と強く願っている。
あ……なんかよくわかる。自分も若い頃こうだったじゃないか😅
非モテな地味女子のあるあるではないでしょうか。

ということで大きく方針転換をして、中2日で仕上げることになりました。
でも決まったとはいえ、すぐに読めるようになるわけではありません。
ああでもない、こうでもないと発表会の前日の寝る直前まで調整していました。

さてさて、人を前にして朗読するのは1年半ぶりくらいでしょうか。朗読会は聞くのも勉強です。生ならではの良さを堪能しました。この場では自分の反省のみ記します。

<良かった点>
①本番直前まで悩みに悩んでいたものの本番に間に合わせることができました。完全とは言えないものの、聞き直したところ自分が狙っていたスジで語ることができました。期日に間に合うように仕上げるというのは最低条件なので。
②感情を乗せることに気をとられ、自分が守ってきた基本をおろそかにしてしまっていました。最終日に修正して本番では気を付けて読むことができました。
③感情が分からないのでとりあえず基本だけに注意しただ読んでいた時には硬かった読みが、悩みながら深く掘り下げていった結果自分の中に入ったと思います。その上で基本を守ることだけに注意を向けると、初めに読んでものとは明らかに違っていました。「わからない時でも読んでいれば感情は後からついてくる」と以前指導されたこともありますが、自分にきちんと作品を取り込まないと生まれない表現もあるのではないか、今回は作品の解釈にこだわったおかげで自然に読みの表情ができたのではないかと思いました。
④マスクをしたうえでの朗読でした。ここのところ録音の朗読ばかりだったので、舞台での発声を忘れていました。人前で声を出すことは大切だと改めて思いました。

<反省点>
①メリハリをつけようと考えていましたが、自分が思っていたほどメリハリがついていませんでした。音の強弱はついていたので、もっと速度を気を付けなければなりません。声の方向(外向き、内向き)はまあまあできていたようにもいます。
②いつもうまくいかないなと思っていた出だしの数行がイマイチでした。
自分のイメージがはっきりしていたいことが問題なのですが。びしっと決めたかったなあ。
③この作品はあまり朗読会向きではないと思いました。自分以外の人は初めて聞く人ばかりなのですから、聞けばわかるストーリー、それを聞けば意味が分かるものの方がいいなと思いました。
これは読んでいる本人が苦労してきたわけですから、聞いていた人は何の話か分からなかったでしょうね。そもそもストーリーがないし。
言い訳をすると、発表会を想定して作品を選んでいませんでした。自分の課題克服を目標にしていたのでズレは仕方のないことなのですが。聞いた人はつまらなかっただろうなぁ。ごめんなさい。

以上の反省を踏まえて改めて宅録しました。今回は取り直しも編集もしない1発録りで発表会の緊張感を出してみました。いつもは息の音を消しているのですが今回はそのままです。今回録音したものについての反省文はありません。気が向いたらまたあとで読み直しするかもしれません。よかったら聞いてください。(約9分半)

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最後に全員で撮った写真です。13人それぞれの表現を堪能しました。楽しい発表会でした。若い方々のエネルギーをたっぷりいただきました。
とてもいい経験でした。ありがとうございます。

※トップ画像は駅のホームから見た線路です。

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