置き忘れられた子ネコの思い出
7月の初夏のころ。
家族5人で出かけ、夕方帰宅し、
せんたくものを取り込んでいたときのこと。
庭がそこだけ雨が降ったかのように、
水たまりができていました。
あれ?とおもって近づいてみると、
水たまりの先に、数センチの生き物が
ぴくぴく動いている。
最初はねずみかと思いました。
が、よくよく見たら
なんと生まれたばかりの猫!!
どうやら我が家の庭で破水して、
急遽出産したものの、
この子だけ置いて行かれて
しまったそうでした。
猫を飼ったことのないわたしたちは
大慌て!
当時は携帯やインターネットなんて
ありませんでした。
猫を飼っている知り合いに電話しまくり、
どうしたらよいか聞きました。
家の中にいれようとしたら、
自営業で料理人の父は大変怒り、
「うちは料理を扱う家なんだ!
毛がつくものは家にいれるな!!!」
と怒鳴りました。
「冗談じゃないよ!
この子がかわいそうじゃん!」
と言い合いしたのですが、父は折れず。
なんでうちの父は
こんなに頑固なんだろう・・・・と
仕方なく、段ボールに毛布を敷き詰め、
水を置いて様子をみることにしました。
ストローでミルクを吸って飲ませると、
一生懸命飲みはじめ、
ほっとしました。
それからベランダで飼い始めました。
目も開いていない生まれたばかりの
よわよわしい赤ちゃんで、
毎日生きているかどうか不安でした。
頑固な父を前にしては、
我が家で飼える希望もなく、
少しこのまま大きくなってくれたら、
里親をさがすことになるのかなと
思っていました。
まだ小さいのに、
一生懸命生きようとする姿は
本当にかわいらしかったです。
いくら料理人とはいえ、
父の対応は冷たすぎるだろ・・・と
父に対していらいらしました。
しかしある真夜中のこと。
全員が寝静まっていました。
私はトイレで起きて、台所で水を飲み、
また寝ようとしたら、
ベランダの猫ちゃん段ボールに
人影を発見・・・!!
ゆっくりうしろから近づいてみると、
なんと父でした・・・w
いとおしそうに、猫ちゃんをさわさわし、
寒くないか?と声をかけていました。
な~んだ、お父さんも
猫ちゃんを心配していたんだ・・・・
と心があたたかくなったのを感じて、
寝ました。
発見してから1週間が過ぎたころ。
庭でせんたくものを干していたら、
一匹の成猫が立ちつくし、
まっすぐに私を見つめていました
しばらく見つめ合った後、
ハッと、「きっとこの子のお母さんだ!!」
と感じ、段ボールから子猫を取り出し、
成猫の前にそっと置きました。
ゆっくり成猫は、子猫に近寄り、
やさしくなめ、
ぱくっとくわえて、
裏から立ち去っていきました。
立ち去るときに、わたしの方を振り返り、
数回しっぽをふっていきました。
なんともいえないふしぎな数分間でした。
帰宅した父に、
「お母さんが迎えにきてね、
連れて行っちゃったよ。」と
言うと、
「そうか。おっちょこちょいな
母親だったな。でもよかったな。」と話し、
すこしさびしそうな顔をしていました。
幼いころの、初夏の思い出です✨
我が家のねこを見ていると
なつかしく思い出します✨✨