三鷹で巡りあう、ノスタルジックなキャロットケーキ
今日の記録は三鷹にある319さん。
昭和な空気が漂うレトロなビルの3階、部屋番号がお店の名前を冠しています。
階段を登った先、その仄暗さに吸い込まれていきそうな、奥行きのある通路が続いていました。
「あれ?間違った…?」
と逡巡しますが、すぐに目の前のドアが開かれていることに気がつきました。
開かれたドアの先にさらに一枚、
暖かみのある灯りがもれる、大きなガラス扉。ガラス越しに店内のハイセンスな空気をひしひしと感じます。
一歩足を踏み入れると、アンティークな家具やグリーンで飾られた、静かで落ち着いた空間が出迎えてくれました。
気の向くまま、ゆったりとした時間を過ごせそうです。
さてさて、本題のキャロットケーキに移りましょう。
こちらが319さんのキャロットケーキ。
なんて、なんて愛らしい…!
ふりかけられているココナッツの演出のおかげでしょうか。
静かな空間で提供されるこのキャロットケーキからは、しんしんと降る雪のような、繊細な、冬のある日の空気が感じられるような気がします。
フロスティングの上には小さく刻まれたドライフルーツが行儀良く、控えめに。
この空間にマッチしつつ、さらに引き立てる、素晴らしいビジュアル…!
完成された世界観に思わずため息です。
高まり続ける気持ちとともに、まずは一口。
ふかふかっ。
幼い頃に食べた優しいおやつを彷彿とさせる味わい。
例えるならば、たまご蒸しパンのような、なんとも素朴な風味‥。
この優しさと懐かしさに包まれていたい…。
正体はきび糖でしょうか。
ひとかけ口に含んで、生地の水分感は少なめかな、と思いきや、ひと噛みごとにみずみずしくなっていきます。
ゆっくり時間をかけて、口の中でとろけていく。不思議だなぁ。
具材は一見にんじんのみですが、稀にレーズンが潜んでいます。カットされた状態で、優しい風味と食感を邪魔しない存在感。
フロスティングには発酵バターが使われてる。
とろっとしていて、綺麗に形づくられて塗られています。
酸味も甘味もどちらもなく、クリーミーで滑らかな食感。
ココナッツと、黄色いフルーツの部分を一緒に口に含んでみると、
シャリっと歯触りの良い食感と共に爽やかな酸味。
レモンだ。
酸味のいないフロスティング、とっても優しくまとまっていて、こんなキャロットケーキも素敵だなと思った矢先、レモンの酸味が良いコントラストを効かせてくれます。
もうひとつ、小さな黒いフルーツはブルーベリーかな。
酸味も甘味も、ほんのり適度に感じます。
生地もフロスティングもとっても優しいから、この二つのドライフルーツはとっても良い仕事をするなぁ。
ココナッツの食感も歯触りがちょうど良くて、風味が強すぎることもなく、うまく馴染んでる。
スパイスが効いているキャロットケーキが私の好みではあるけれど、その優しさと懐かしさに思わず身を委ねてしまいたくなる、穏やかなケーキでした。
空間も相まって、静かに読書をしたい日なんかにぴったりかもしれません。
入り口が分かりづらく、辿り着くのにひと苦労しましたが、隠された場所にあるお店を見つけ出すようで、少しワクワクしてきませんか?
そんな過程も込みで楽しんでいただきたい場所でした。
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