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日記 2024.3.11(月) あの日のこと/図書館で作業/ことばでうまく伝えられない/わたしにとっての防災とは/無職になって1番やりたかったこと

いまも思い出す。

当時渋谷の職場ビルも大きく長い時間揺れた。2度目の揺れがおさまって不安のまま公園に面した交差点まで避難した。お昼ご飯を食べて友だちに誕生日メッセージを送ったあとの出来事だった。
電話やメッセージもあんまり繋がらずテレビもない職場では今この場で起きていることしか分からない。揺れが落ち着いて会社に戻りまた仕事をして、電車が動いていないので公園沿いを歩いて取引先に向かった。ぞろぞろとこちらに向かって歩いてくる人たち。歩いて帰宅し始めている人と反対方向にわたしは歩いた。取引先に着くもビルは閉まって入れない。連絡も取れないのでそのまま引き返すしかなかった。道幅いっぱい歩く人。会社に戻り社内に外での状況を伝える。それでもあんまり何が起きているのか分からないまま。いま出来る仕事を進める。社内にいたほかの2人も電車が動くまで会社にいるということでコンビニにあるものを買ってきて分け合いながら夜を過ごす。先輩が買って分けてくれたミニトマトがすごく甘くて美味しかったのを覚えている。金曜日だった。24時を回っても電車は動かないまま。自分の家の状況も心配になり歩いて帰宅することにした。調べるとうちまでは1時間半くらい。意外と近い。わずかに繋がる電波で親にも連絡をとり、心配して電話をくれた友だちと話をしながら帰る。夜道のこわさはまったく感じなかった。それよりも何が起きているのか分からない、これからどうなるのだろうという漠然とした不安のほうが大きかった。テレビから流れてくる津波の映像を見てもいま同じ国で起きていることだと理解ができないでいた。
都内ではコンビニの品薄状態がしばらく続く。トイレットペーパーやティッシュが買えない、夜遅くまで仕事をしてコンビニで何か買って食べようにもどこのお店も簡単に食べられるような品物がない。何が起きるか分からない、そんなことをはっきりと思い知らされた。わたしの防災意識を少しずつ変えていくきっかけになった。

もしもの時に備えて買いおきをする、防災グッズ、非常食を揃えるということだけではわたしは安心できないと感じていた。どうしてそう思うのかは分からなかったけれど、そのことをずっと考え続けていた。その答えは無職になってから少しずつ見えてくるようになった気がしている。

昨日はお風呂上がりに横になって日記を書きながら寝てしまった。しっかりと休日に休息できた証拠だろうか。そのまま朝までぐっすりと眠ることができた。
出窓から日差しを取り込み顔を洗う。しまった、ごみ出しを忘れていたことに気づいて着替えて段ボールとペットボトルをごみの収集場所へ持っていく。出勤の時間帯。出かける人に会い会釈する。

天気がいいので掛け布団とスライスしたしいたけを外に干す。お米も研いでいなかったので少し水にかしておく。今朝はお腹がぐるぐると声をきかせてくれる。ポタージュの残りを温めて食べる。コショウを挽いて美味しい。お湯も沸かしておく。梅醤番茶、今日は粉にした干し生姜で作る。塩分控えめすっきりとした味わい。量り売りで買ったしょうゆを注ぐと手についてしまったのでぺろり。このしょうゆがまた美味しい。

化粧を少しだけする。日焼け止めとコンシーラーだけのベースメイクもよい具合。土鍋に火をつけご飯を炊いて、お味噌汁の準備もしておけば安心。落ち着いて絵を描く。光を描き込み完成させる。変な構図の絵。クマに差し込む光は白を使わずに明るいオレンジ系の色を使ったらぐっとよくなった。色の使い方もひとつひとつ試して知っていく。
お昼ご飯を食べる。炊き立てのご飯。小豆を入れたご飯が美味しい。美味しい玄米で炊いて食べたいな。やっぱり今ある古米に玄米を買って混ぜて炊いていこうかな。小豆はしっかりと水にかしていたのでほくほくに炊けた。もしかしてわたしが最近あんこが気になっているのは、小豆を混ぜたご飯を食べているからかもしれない、なんて思う。

15分だけ仮眠をとって図書館へ。15分の睡眠ですっきり眠気がなくなった。いつもと違う道を通って行く。今日は暖かい。厚着をしすぎて暑いくらい。マフラーを外して手に持って歩く。靴下に貼ったカイロがあつい。これはどうしようもないので急ぎ足で図書館へ向かう。

図書館に着いた時間が遅くて席はほとんど埋まっていた。それでも端っこの席を確保できて靴を脱ぐ。popeyeの坂口恭平さんのエッセイを読む。
さて、昨日書き出したリストの中からみさこの会社のお手伝いに行く準備に取り掛かる。土曜日に会った時、いつまでもふらふらしているわたしを働いている会社に誘ってくれたのだった。一度見学に行かせてもらうということになった。いつもいつも気にかけてくれる優しいみさこ。ありがとう。
Illustratorの代わりとして使っているアフィニティデザイナーというアプリをiPadで起動する。サブスクリプションが苦手なわたしは買い切りのアフィニティデザイナーを買ってみて使い方をなんとなく覚えていた。これまでの仕事ではプロクリエイトというお絵描きアプリを使うことが多かったししばらく使っていない。機能を思い出しながら使ってみる。途中わからないことも出てきたけれど慣れればクリアできそう。金曜日まで毎日使って慣れていこう。
優しさを分けてもらって動き出す。目的が定まるとそこに向かう道ができる。みさこの優しさに応えたい。なんとなく機能を覚えようとしていた時よりも必要性がでてきて使ってみると具体的でぐんぐん成長できる気がする。できることはやっておきたい。

目が疲れてしまって本を開く。今日は夕飯は残りものを温めるだけなのでもう少し図書館で過ごす。16時半ごろまで本を読んだ。
こだわりの八百屋さんで小松菜と大根、紅はるかを買って帰る。歩きながら自分の頭で考えていることを声に出そうとしてみる。ぶつぶつひとりでしゃべりながら歩く姿ははたからみるとかなり不気味だと思うけれど、声に出す練習がしてみたくなったのだ。思い立ったらすぐにやる。
これまでことばでうまく自分の気持ちを表現したり伝えられたと実感したことが一度もない。言葉にすると思っていることと全然違うことが口から出てきているような気がしていつもしっくりこない。手紙を書いたりメッセージカードも苦手だった。伝えたい気持ちがあるときは似顔絵を描いたり、手作りのものを渡して伝えようとしてきた。手を動かしてできたものにはことばでうまく表せない気持ちを込めることができる気がしていた。

夕飯を食べながらYouTubeを観る。最近は東出昌大さんのチャンネルを観ている。適度に長く、音楽はなく、山の家で作業している姿を撮影しながらしゃべっているシンプルな構成がすごくいい。遊びに行って話を聞いているような気持ちで観ている。観ているというか、ご飯を作りながらきいているほうが多いかもしれない。ごく自然なしゃべり方は、観終わった後もしばらく余韻として残る。
山の中で猟をしながらの自給自足の暮らし。シチューを煮込んでいる間に薪を割る。効率よく薪を割る方法を考え試す。そんなシーンが印象に残った。実家は高校生までお風呂を薪で沸かしていたし、薪ストーブもあるので薪の大切さが分かる。薪の消費は1日でも結構すごいし、薪は十分乾燥させなければ使えない。薪がなければ暖を取ることもできない、温かいご飯も食べられない。お風呂も沸かせない。自給自足をする上で薪はかなり重要なアイテムなのだと思う。

自然の中にいるといつもの生活の知識が役に立たないことがたくさんでてくる。お金で解決できないこともたくさんある。そうした時にわたしの経験が試される。何もないところから何かを作り出すためのアイデアと知恵。わたしはそんな知恵を身につけたい。

わたしにとっての防災とはいざという時に備えてグッズを買い揃えることではなくて、日常の中に防災意識を取り込むことなのではないかと思う。
当たり前になっている日常のひとつひとつに疑問を持ち見直していくこと、なにもないところからお金をかけずにつくり出せるアイデアと力を身につけること。どんなところでもどんな時でも生きていけるような経験を重ねる。続けることで定着させていく。
無職になって1番やりたかったことはそういうことなのかもしれない。分からないけれど、そんな気がしている。




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