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日記 2024.6.13(木) 関わり続ける。わたしの色を見つける。

今朝も早く家を出る。昨日の朝の気持ちよさをまた感じたいと思ったから自然と体が無理なく起き上がっていく。無理がない。
いまの時期、9時前はまだ涼しくて気持ちがいいなと思いながら歩いていると、ゴミ置き場にとり残されたラジカセが目に入った。ぽつんと置かれたラジカセはなんだかかっこうよくてきらりとこちらを見ている。近づいてみると電池が飛び出して蓋も飛んでいっているが大きな外傷はなさそう。壊れているのだろうか。しばらくじーっとラジカセを見つめ、わたしはとうとうそれを手に取ってしまった。家に置きに戻るのは面倒だったし、持ち運びに適したサイズ感のラジカセだったのでそのまま持って学校へ行くことにした。壊れているかもしれないけれど、一度どんなものか見てみよう。飛び出していた電池を戻してみると電源の部分が赤く光る。もしかして使えるかもしれない。

元住人にラジカセの写真を送ってみる。かっこいいねと言いながらすぐに調べてくれて、フリマサイトでは7,000円くらいで売られているような品だということが分かった。朝からすぐに連絡が取れる友だちよ、ほんとうにありがたい。ぐるり一周みてみるとカセットの録音機能も付いてUSBやSDカードもさせるようだ。レトロな見た目だけれどそんなに古いものではないのかもしれないと思った。もし壊れていてもお父さんに頼めば直してもらえるかもしれないと写真を送っておく。

ラジカセを抱き抱え電車に乗った。今日も昨日と同じように電車は遅れていた。途中で何度も停まったりしながらゆったり進む。線路の砂利の間からたくさんのスギナが生えている。こんなところにも生えているのだな。満員電車のドアの中からスギナの気持ちよさそうな姿が見えてほっとする。庭にもたくさん生えていたスギナは、草マルチに使ってもすっごく雰囲気がよかった。乾燥させてお茶にもできるようだしいつか作ってみたい。

ラジカセを抱えたまま学校へ向かう。ラジカセを片手に学校に行くなんてなんだか楽しくなってくる。わたしはいつからこんなにゴミを拾うようになったのだろう。地域のゴミ置き場から捨てられたストーブなど持ち帰っては直すお父さんにどんどん自分も近づいていっているような気がする。ああ、早く使ってみたい。

やりたいことがあると冷えきった教室での退屈な授業も難なくクリアできる。今日は16時の終了に合わせて帰り支度をびしっと整えた。よっし帰るぞ。元住人にラジカセが使えるかどうか見てもらうことにして電話してみる。彼もわたしと同じく暇だからいつもすぐに電話に出てくれる。ミスドを買って彼の家へ。アイスコーヒーを淹れて待っていてくれた。一杯のドリップコーヒーを二人で半分こに分けて飲む。絶妙に薄かったけれど、誰かが淹れてくれたコーヒーは無条件に美味しい。ありがとうだけじゃなく美味しいよ、をちゃんと言葉にして伝える。

検証の結果、ボリューム調節のダイアルに難があることがわかった。音量を下げても音が小さくならない。しかしカセットも回転しているし、スピーカーから出る音もレトロで雰囲気がある。見た目はもちろん、すごく素敵なものだということが分かった。よく見ると埃だらけですごく汚れていたので丁寧にアルコールペーパーで拭いていく。外れかけていた装飾も接着剤できれいにとめてみたらそれだけでもぐっと見た目は良くなりもう愛着さえ湧いてきた。拾ってよかった。

元住人としばし話をする。今日もまあよくしゃべる、しゃべる。内容はなんでもいい、それぞれのいまを確認し合う。話しながら自分を見つめる。わたしはこれから彼を褒める係になろうと思った。小さなことをしっかり大きく褒めていく。彼にはとことん自分を大好きになってもらいたいと思うからそうしてみる。周りのことなんて気にせずここまで進んできたように見えていた彼だけれど、自分のことをしっかりと分かって好きでいるわけではなさそうだ。
自分の素直な気持ちをしっかりと自覚して生きたみたい。わたしはやりたくないことはしないときめた。やりたいこと楽しいことをただひたすら続けていくだけで自分がどんどん面白いように見えてきてそのうち大好きになってしまったと伝えてみる。一年後、数年後、自分は必ず安心した顔をしてほっと笑っているはずだ。無職になって自分を見つめて一年、わたしの顔つきはおだやかに変化している。目尻は下がりいい顔になってきたと思う。このまま進めばいいとわたしの顔もいう。

休みたい時には休む。今日何にもしなかった自分を責めない。今日はやりたくないことをやらなかったという点で自分を褒めていくところからやってみてはどうだろうか。嫌な仕事に行かなかったことがいいねとわたしがまずは彼を褒めてみよう。
わたしはおせっかいで繊細で細かい人間だ。そんなわたしをありのまま認めて信頼してくれる彼に、わたしは関わり続ける。わたしの繊細さ、おせっかいをうまく伸ばしていくことができれば、なにか人の役に立つことができるかもしれない。

必要のないものを手放しすっかりものがなくなってがらんとしていたわたしの小さな世界に、かっこいいラジカセが加わった。ただそこにあるだけで嬉しくなってくる。わたしはわたしの色を見つけ始めている。


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