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日記 2024.5.20(月) なんにも言わず、教えてくれる。

7時に起きる。お母さんがひと足先に起きてお化粧をしている。わたしも顔を洗うついでにお化粧をしておく。
洗濯物を干すために外に出る。昨日は草刈りもしたので洗濯物がたっぷりだけれど、今日もよく乾きそう。洗濯物を干しがてら新聞を取りに行って家に戻った。

朝ごはん。今日は玄米ご飯とお味噌汁の残りと昨日の夜仕込んだアジの南蛮漬けを食べる。わたしは朝からたくさん調理するのが苦手のようなので夜のうちに仕込んでおくとすごく楽だ。
一晩漬けておいた南蛮漬けはあっさりとした味で美味しかった。骨まで火が通りやすくするために入れておいた切り込みもうまく作用していたと思うけれど、お父さんとお母さんはおっきな骨は残していた。

本日はお父さんリハビリ、お母さんは地域の総会という名の食事会へ行く。珍しく昼間はわたしひとりだ。ちょっと嬉しい。わたしは車の運転もしないし、家で過ごすのがとにかく好きだからみんな出かけてくれるのはありがたい。さてどうするか、日差しが強そうだけれどやっぱり午前中は畑に出ようと思う。
昨日の草刈り機による筋肉痛は二の腕にだけある。今日は草刈り機は使わず、草刈り機の届かなかった場所や刈った草を整理しておこう。お母さんがポットのまま放置している豆となんだかよく分からない植物も植えておくことにした。その前に野菜に水やり。まだ野菜たちに大きな変化はない。たぶん毎日お水をあげなくてもいいのではないかなとなんとなく思ったりする。
鶯が美しい声で鳴いている。思わず上手だねと声をかけてみたりしてひとりだけどひとりじゃないような気分で畑の時間を過ごしていく。

さつまいもを植えるための場所の草もとっておく。ここは日陰が少なくけっこう暑い。背中から汗がどんどん出てくるのが分かる。日除け付きの帽子で首は焼けずに済みそう。ほっぺはちょっとヒリヒリし始めた。近くの田んぼで作業する人の声がする。楽しそう、休憩中なのかな。静かな田舎でひとの声が聞こえるとすこし安心する日もある。

草取りをしながら草の精神を感じて泣きそうになる。どっしりとそこにいる雑草たち。わたしにひっこぬかれても全然動じない。全部抜き切ったと思った畑の端をみたら、もう新しい雑草の芽が出てきていた。静かにしなやかに、雑草はへこたれない。

わたしの先祖はきっと農民だったと思う。野菜や果物が大好きだったに違いない。畑にいるとわたしの血がさわぐのを感じる。こうしたらいいかもというのがなんとなく分かって勝手に手が動いていることがあってはっとする。じいちゃんやばあちゃんが畑仕事をしていたそばで遊んでいたときになんとなくやり方をみていたのかなと思うけれど、たぶんそうじゃない気もする。

時々ぎゃぎゃぎゃと声がして空を見上げるとブッポウソウという黒っぽい鳥が空を飛び回っているのが見える。数年前から実家のほうで見られるようになった鳥。許可をもらって電信柱に巣箱を設置しているとそこへ巣を作るのだそう。うちはお母さんの部屋の窓の向こうに設置してあって、朝早くにも鳴き声がきこえることがある。
黒い体に赤いクチバシ。羽を広げると白い斑点のあるユニークなこの鳥は人口が少なくなっているこの小さな田舎の集落をにぎやかにしてくれている。

午前中いっぱいいっぱいに草むしりをしていたらキリのいいところまで終わらせることができた。満足。切り上げてお昼にする。今日はご飯がないのでパンケーキを焼いて食べることにした。お母さんが買ってきたかもらってきたかの米粉のパンケーキの粉に米油と牛乳、ローズマリーをパラパラと入れて焼いていく。鉄のフライパンで焼くのは難しくしっかり焦げ付く。見た目はあれだけど、味はおいしい。バターとメープルシロップで贅沢に、フォークとナイフで上品にいただく。

途中お母さんがノリノリで一度帰ってきた。地域の集会所で行われている食事会は大盛況らしい。キッチンカーでランチを運んでもらったって言っていたけれど一体どういうことなのだろう。夕飯の支度をすこし進めて、玄米をといで水にかしておく。ふぅ、しばらく縁側で畑仕事の疲れを癒してみよう。

それにしてもいい天気過ぎる。お母さんの冬服をいくつか洗濯しておけばよかったなと思いながら椅子から起き上がることができずに過ごす。
午前中しっかり動いて午後はとろりと過ごす。実家に帰ってきてからぐっと疲れることがないのはやっぱり畑のおかげが大きいのではないかな。畑はわたしにいろんなことを教えてくれる大切な存在になっている。
心配ごとも不安なことも、ぜんぶ畑に相談したらなんてことないすぐに解決しそうな気がする。畑は絶対に裏切らない。がんばった分、畑は応えてくれる。畑はいつでもわたしのありのままを受け入れ、なんにも言わずに教えてくれる。

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