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新型肺炎が拡大する中でNINIROOMが取り組んだこと

今回の新型肺炎/コロナウィルス問題で、私たちはすごく翻弄されてしまっているのですが、この冬自分たちが何を考えて、何をやってみているのかをまとめておこうと思います。

私たちは、以心伝心のような姉妹の二人で、株式会社NINIを始めた日から、それぞれの得意分野を持ち寄って、些細なことも相談しながら進んできました。さらにチームにもとても恵まれて、苦しさも、不安も、おそらく戻って来るだろう穏やかな日々へのモチベーションも、分かち合うことができる人が増えました。でも、同じ宿泊業界で、とくに京都は1人で経営されている方も多いし、不安だろうなと思います。

だから、私たちが自分たちなりに考えて動いたことを、せめてここにシェアして、それを読んで、一緒に前にすすめる方がひとりでもいればいいなと思いました。なんだったらNINIROOMに来てくれたら一緒に考えます。私たちが「丸太町割宿泊プラン」を作ったのも、noteで素敵なアイデアを公開されていた記事がきっかけだったから。

正直、私たちがやってることで、新しいことは全く無いし(むしろ前からやってる方が当たり前なことが多いので)ちょっと恥ずかしいのですが、もし何から始めていいかわからないという人がいたら、読んでください。あと、他にもできそうなことがあれば、ぜひ!私たちに教えてください。

1. 経費を見直す

1-1. ヘルパー募集

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固定費の削減の第一歩として、人件費に注目。今までは積極的には募集していなかった住み込みのヘルパーさんを募集しました。NINIROOMでは、滞在場所を無償提供し、その代わりに清掃を3~4回/週で手伝ってもらうFree Accommodation(フリーアコモデーション)のスタイル。京都はヘルパー募集をしている施設数も多いので、有給であっても見つけるのに苦労すると聞いていたのですが、幸いとてもすんなり見つかりました。施設の規模によりますが、何人も同時に来てもらうことは難しいと思うので、募集している期間をはっきり書いておくと応募してもらいやすいです。NINIROOMの場合は個室ですが、ドミトリーでもベッド数が十分ある施設ならいいと思います。

これまで利用してもらったのは、ワーキングホリデーで滞在中の台湾人、就職前の東京からの日本人大学生、東京での留学期間が終わったあとのイタリア人留学生などなど。世界が憧れる京都で、快適に寝泊まりできる場所と、地元の人と過ごす機会を提供するのだけでもとても価値があるのだなと感じます。

募集には自社ウェブサイトに加え、Googleの検索であがってきたひげむぅと、ヤドグラシというポータルサイトに掲載をお願いしました。実際の応募リクエストは、自社ウェブサイトからの連絡が多かったですが、掲載記事を見た後に自社ウェブサイトをじっくりみてくれているのかも、と思います。短期間とはいえ、自分が暮らす場所なので。

1-2. シフト・役割の調整

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なんせゲストがいないし(涙)、ヘルパースタッフも見つかったので、社員以外はNINIROOMでの勤務をかなり少なくさせてもらいました。

その代わり、将来の顧客獲得のための、インバウンド対策や近隣大学への営業活動などを、NINIROOMに出社せずに在宅勤務や外回り活動としてお願いし、チームとしての次のステージへの準備に貢献してもらえる環境を作りました。

また、4月,5月の勤務に関しても大体の勤務目安を先に提示し、他の収入源の確保などの調整をお願いしました。そして、それをしやすくするために、各自の名刺を作りました。NINIROOMという場にいなくても、チームNINIに所属し、それぞれのスキルを持った人材であることをPRできるように。そして私たちNINIのふたりも、彼らのスキルの営業として、人脈の活用や紹介を積極的にするようになりました。

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人材と人件費の確保は本当に大事。「一緒に乗り切りましょう!」と言ってくれる心強いチームに恵まれて、ありがたいけど、甘えずに、この問題は一番に解消したいところです。

1-3. 家賃減額交渉

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これもコロナ対策というよりも、コロナをきっかけにした経営改善。でも今の時期だからこそ、話を聞いてもらいやすかったと思います。
まずは事業計画をしていた4年前からの、京都の宿泊業界を取り巻く環境の変化を客観的にまとめました。加えて、自分たちの努力不足も相まって当初の想定よりも家賃構成比(売り上げに対する家賃の比率)が高くなってしまっている状況を正直にお話しし、家賃の減額をお願いしました。
私たちの場合は、ビルオーナーが法人なので、話を聞いていただいた担当者の方が上層部に話しやすいよう資料も準備しました。同じ規模の簡易宿泊業の平均地代家賃構成比は、税理士さんにTKC経営指標を取り寄せてもらい、参考にしました。

日頃から私たちのSNSでの活動などを見てくださっていることもあり、話は前向きに聞いていただけたと思います。更新年でもない時期の契約変更はハードルが高いとは思いますが、ダメでもともと、という気持ちです。(写真は交渉に行く前に食べた「トン勝つ定食」)

2. マーケティング分析

これは日常的に、もっと早くからやらないとなのですがついついあと回しになっていたものをこの機会にじっくりと。稼働率と単価だけでなく、予約経路、予約時期、国別、部屋別、類似施設との比較など。
なんとなく感覚的に判断していたものを数字で把握することで、具体的な打ち手や優先順位が決めやすくなりました。今の時期を生かしてこの分析をしたことで、状況が戻ったときにぐっと良くなるんだろうなと思います。たぶんこの危機感がなかったらまだ後回しになってたはず。(反省)

ひとつ、今回の分析によってわかったことは、NINIROOMは直接の予約が一般平均よりかなり高い。40%以上の方がNINIROOMのホームページ、電話、SNSから予約してくれています。
楽天トラベルやじゃらん、Booking.comなどの予約サイト経由からの予約では、7~16%の手数料がかかってしまうので、直接予約はとてもありがたいとともに、コンセプトに共感していただいて選んでくれていることがわかるので、とにかくうれしい。一方で、現在のウェブサイトの見づらさを解消しないわけにはいかないと、今回サイトの改善にも着手しました。近日中にリニューアル予定です!

3. プロモーション

3-1. 短期的・既存ゲスト:ご近所さん割宿泊プラン

詳細はこちらの記事をご覧ください。ご近所の方へ向けて、宿泊してもらうプランをつくりました。ふだんカフェやイベントに来ている人にとっては、知っている施設なのでハードルが低いし、家の近所に泊まるなんて、誰でも楽しいじゃないですか。


10日間で37件の予約がありました。キャンセルだけが続く毎日に士気が落ちそうになるチームに持ち前の明るさが戻りました。ほんとに。
やってみると、何はともあれ施設に人が来るというのはいいなあというほっこりした気持ちになります(笑) この丸太町割プランの成果はまた後日きちんと残そうと思います。

3-2. 長期的・新規ゲスト:メディアプロモーション

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暗い話題ではありますが、この機会にメディアへの露出や、メディアリレーションを作ろうと「丸太町割プラン」についてリリースを打ちました。A4、1枚にまとめたリリース記事を、記者クラブには投げ込み、メディアに直接送付もしました。その結果、新聞2社、テレビ1局の取材を受けました。(実際のリリース記事はこちらから見れます。)
今の状況で露出が増えても...なのですが、関係作りとか、何にしろ第三者目線の記事が出るのは今後のためになると思いました。

4. 資金繰り

4-1. 追加融資の事前調整

事前に税理士さんに相談して資金繰り表を作成いただき、金融機関を含めた状況の共有を行いました。まずは現時点だけでなく、先の資金状況が見えたことで、なにかわからないような不安は少しだけ解消されるような気がします。金融機関側も、公的な政策や支援の利用も含めて必要な場合にすぐ動けるよう準備をすすめてくれるとのことでした。

4-2. クラウドファンディングを使った宿泊プランの販売

詳細はページをご覧ください。

開業時にも使ったクラウドファンディングを、再度使うかは悩みどころでした。でも、「私たちが今できること全部」の中に「宿泊予約の先行販売」は、たぶん、確実に、入っている。
悩んだあげく、ただ単に応援していただくプランは作らず、あくまで”先行割引宿泊プラン/事業プラン”を売る という考えのもと、実施することを決めました。もちろん、このリターンを買ってくれること自体に、大きな応援の気持ちが込められているということはとても理解して。

5. 宿泊業以外の取り組み強化

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もともと私たち姉妹は2人とも宿泊業は専門分野ではなく、それぞれのキャリアであるデザインや宣伝企画のスキルを生かして新しいことをしたいと、株式会社NINIを立ち上げました。そのプロジェクト第1号でありモデルケースであり、ショウルームがHOSTEL NINIROOMです。

2017年12月に開業してから、試行錯誤しながら、チームに支えられながら、HOSTEL NINIROOMが育ってきた今、株式会社NINIとしては宿泊業にだけ頼らない経営の必要性を今回切実に感じています。チームNINIも今は総勢8人。二人ではできなかったけど、いまならできる!ことは本当にたくさんある。

今回のクラウドファンディングでは、新しい試みとして事業者へ向けたプランをリターンとして用意しています。これまで、HOSTEL NINIROOMを拠点におこなってきた、企画、デザイン、運営、情報発信といった視点から、なにか社会の役に立てることがあるんじゃないか、と思っています。
だから、「応援のつもりで使ったろ」って方を探して、「チームNINIと一緒に面白いことしませんか?」って営業してみようと思うのです。NINIの事業内容はこちらからご覧いただけます。


今やれること、全部やる。一緒の境遇のみなさん、踏ん張りどころ、頑張りどころ。乗り越えましょう〜!

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