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生涯に定年なしと稲を刈る

 2013年5月の日記です。
 
 NHK俳句王国の、題「定年」で紹介された句です。
番組では、「生涯に定年なし」と言い切った表現と
稲をスパッと切る表現が響き合っている、
農家に決まった定年はなく、だから自分の体を大切にしようと、
自分を鼓舞する作者の凛々しさを感じさせる、」
といった評価だった。
 
 読む人それぞれの想像力で、さまざまな捕らえ方が出来るが、
私には、この句は農作業の句とは思えない。
定年は社会の仕組み上、便宜的に定めただけで、
生涯に定年などあるはずが無く、命ある限り淡々と人生を歩む、
 
 来年は67歳、今の会社のトップに就任してから5年を越える。
安定した高業績を維持し、強固な財務体質となり、
技術開発にも成功した、と自己満足している。
勿論、まだしなければならないと思う重要な事は多々あるが、
どこかで踏ん切りをつけねばきりがない。
我年齢を考えると、来年6月末の株主総会で、
一線をリタイアすることになる。
 
 名目上は相談役になるが、次の社長に迷惑の掛からないように、
普段は会社に行かないから、毎日が日曜日、
ゴルフ、小旅行、散策、図書館通い等、暇つぶしは色々考えられる。
妻殿は料理教室に行って、
美味しいものを食べさせて欲しいなどと言っている。
 
 悪くはないかもしれないが、どうもしっくりこない。
会社や社会と繋がり、何らかの役割分担をするのが当たり前
長年のサラリーマン生活で体に染み付いた習性だが、
所詮は、会社から離れれば、ただの人、
特別な才能や資格があるわけでもなく、
渡辺淳一の「孤舟」が他人事とは思えない。
 
 この先の人生で、実りの稲を淡々と刈り取ることが
出来るだろうか・・・
 

 追:この1年後に、更にその次があるとは想像外でした。

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