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村山由佳「ダブルファンタジー」

 村山由佳さんの直木賞受賞作「星々の舟」がなかなかだったので、初期の「ダブルファンタジー」を読んでみた。
 
 裏表紙に以下の如く紹介されている・・・
 三十五歳の脚本家、奈津は、才能に恵まれながら、田舎で同居する夫の抑圧に苦しんでいた。ある日、夫の創作への関与に耐えられなくなった奈津は、長く、敬愛していた演出家・志澤の意見に従い、家を飛び出す決意をする。束縛から解き放たれた女性が、初めてめぐり合う生と性、その彷徨の行方を正面から描く衝撃的な官能の物語。
 
 家を飛び出して東京のマンションに移り、演出家の志澤、専門誌編集者の岩井、若手役者の大林らとの男性遍歴、性の遍歴を文庫2冊にわたって事細かに述べている。それを、親友の編集者に杏子に全て語り、こころの平穏を保っているように見える。
 
 奈津は性的欲求が強く、事の最中の、体の隅々の動きと感じ方を、細かく延々と、赤裸々に述べており、読んでいるこちらの顔が赤くなりそうだ。自分の経験とは全く違う世界であり、新鮮で羨ましいような気もする。こんな小説が日本にあるのかと、確かに衝撃的、人にはおすすめ出来ないが、興味ある方はご自由に・・・・
 
 ずっと前にミシェル・ウエルベックの「素粒子」を読んだ時、余りの性描写の連続に辟易したものだったが、今なら違った心持で読めるかもしれない。なお、ウエルベックは日本では「服従」で知られている。

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