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⑩ 本を読み、1行コメントを書く

 文芸春秋の新年特大号の特集「私が大切にしている10のこと」に習って、今の自分の大切にしている10をあげ、順を追って説明しています。

① 全ての人と横の関係
② 監視人殿(妻)には決して逆らわない、
③ 息子達に必要な援助はおしまないが、口はださない、
④ 二人で暮らせる限り人形町に住む
⑤ 驕らず、転ばず、風邪ひかず
⑥ 自分の病気のことはネットで徹底的に調べる
⑦ 毎日リハビリ運動とリハビリ散歩をかかさない、
⑧ いつも上機嫌なふりをする、
⑨ 日記を書く
⑩本を読み、1行コメントを書く


⑩ 本を読み、1行コメントを書く

  子供のころ、それなりに本を読んでいたが、いわゆる本の虫ほどではなかった。むしろ工作が大好きで、ナイフで木片を削り飛行機や船、今でいうプラモデルのようなものを作るのが好きだった。小型ナイフで指を傷つけたことは数知れず、今でも傷跡が残っている。その後、中学生ころからは徐々に工作から読書に比重が移っていった。夏目漱石、森鴎外等古典物を読んだのは主としてこの時期だった。
 
 無難に高校、大学を終えて鉄鋼会社に入ったころは、主として機械工学、それも材料、熱処理、力学などの専門書を読み、知識、手法を身に着けるのに夢中だった。ところが会社の技術系の諸先輩が殆どそういった専門書を読まず、会社内の経験だけでベテラン技術者とされているのは意外だった。
 
 30代、中間管理職になった頃は、技術的な基礎知識はほぼ習得し、その道の専門書を読む必要が無く、時間に余裕もでて、海外作家のスパイもの、法廷物等を読んで楽しんだ。ジョン・ル・カレ、ブライアン・フリーマントル、ケン・フォレット、ジョン・グリシャム等々、今思い出しても懐かしい。ところがその後ベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦が過去となり、スパイものの現実感がなくなり、熱が冷めてしまった。
 
 そうなると逆に、読む本のジャンルにこだわりがなくなり、手当たり次第に何でも読むようになった。いつの間にか、暇なとき、電車に乗っている時、旅行先でも本を読むのが常態化した。結果、次に何を読むかが、最大の悩みとなる。だんだん目が肥えて来たのか、読後、もう一つだと満足できないことも増えて来た。要するに、生意気になったのだ。
 
 60代後半、姫路に転居したころから、哲学系、物理学系を読むようになった。哲学系とは言っても専門書は難しすぎて理解できないから、主としてやさしく解説した入門書のようなものを読み漁った。何となく人生を振り返るようになり、すこし・・・・悶々としていた時期だ。一通り読むと、次は量子力学、宇宙物理学だ。こちらも専門書は難しすぎるから、初心者用の入門書が主体、それでも今までぼんやりとしていたものが、ハッキリと見え始めたものもあり、人生感、世界観が変わり、それはそれで面白かった。
 
 2年前に東京に戻って、常時暇になり、日々何を読むか考えながら過ごしている。色々捜して考えてアマゾンポチするのだが、当たり外れがある。外れの時は時間を損した気になるが、当たりの時は気分よく、その作家の他の本も読むことになる。
 
 長く本を読んできたが、振り返ると大半を忘れていて、書評を読んでも思い出せないこともあり、損した気分になる。だから2年前に東京にもどってからは、読んだ本をエクセルの1行に記録し、5段階の勝手評価を付け、1行コメントを書いている。それでも1年前に読んだ本をすでに忘れてしまっていることもあり、我年齢を実感する。今後は3行コメントにしようか。

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