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日本各地のむなくそ昔話

連日報道されるコロナウイルス報道や、広まった原因(戦犯)を探して寄って叩く世の中の雰囲気にうんざりしている皆さんこんにちは、にんふぇあと申します。

どうせ嫌な話を聞いて胸糞悪くなるのだったら、最近の話ではなく、日本各地に伝わる伝説を聞いて、胸糞悪くなるのはいかがだろうか。

話の内容自体は胸糞悪くても、現代に実際に起こったことではないので、ある程度距離をおいて物語として消化できるはずだからだ。

①岐阜県・飛騨高山の飛騨国分寺の伝説

757年に聖武天皇の命令で行基が建てた飛騨国分寺。

ここに七重塔(初めは三重ではなかった)が建つ時、棟梁が誤って柱を短く切ってしまったそうである。

棟梁には八重菊という娘がいた。彼女が父に「柱の上に枡組(木を方形に組むこと)を作ればかえって美しくなるのでは」と助言したところ、無事に塔は完成したという。

だが父は、自分の名誉を守るため八重菊を殺して境内に埋めてしまった。

八重菊は自分の死を受け入れ、この寺の人柱となったという。

めでたしめでたし。

父の名誉のために死を受け入れた美談というあつかいだが、現代の価値観からは胸糞悪い話と見なされそうだ。

②新潟県・村上の観音寺の伝説

日本最古のミイラとされる佛海上人の即身仏が安置されており、拝むことができる観音寺。

即身仏自体が現代の死生観からすると若干「おお……」となってしまうが、今回ふれたいのはそこではない。

アメリカから学者が見学に来るほど貴重な、日本最古の花梨の木が植えられているのも興味深いが、それも今回のテーマではない。

今回ふれたいのは、この振袖地蔵である。

何の罪もない善良な娘アヤが病で亡くなり、親たちの非道な行いの責任を取って地獄へ送られることになる。その話をアヤ本人から聞いた六部(行脚している僧侶)が、親たちのところへ事情を説明しに行き、その結果親たちは改心してこの地蔵を作ったといわれる。「振袖」は、親たちを信用させるためにアヤが六部に与えたものだ。

親が改心しハッピーエンドとなっているが、罪のないアヤが地獄送りになっており、わだかまりが残る。


親の都合にふり回される「いい子」ばかりで嫌な感じなので、次は子どものことを想う親が出てくる昔話も取りあげよう。

③京都府・天橋立の成相寺の伝説

704年に文武天皇の命令で建てられた成相寺。

これは寺にある「撞かずの鐘」。

すでに2回鋳造に失敗しており、3回目に喜捨をつのった際に、裕福な女性が「子に使う金はあるが喜捨する金はない」と拒絶したところ、鋳造にともなう事故で子どもが亡くなったという。

完成した鐘からは、子どもの泣き声や母を呼ぶ声が聞こえたため使わなくなった。

子どもにお金を投資する思いやりのある母親が登場したにも関わらず、寺も女性も子どもも得しないバッドエンドになってしまった。人生は難しい。


今回は以上である。

ぜひあなたも旅行の際は胸糞悪い昔話や伝説の地を訪れて、「昔の話だから自分には関係ないし伝説上の人物が不幸になろうと自分はどうでもいい」という利己的な気持ちになっていただければ幸いである(今現実に起こっている痛ましい話に胸を痛めるよりはよっぽど精神衛生上いいと思うので)。

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