好きなものを好きということについて
様々なマニアたちの祭典、マニアフェスタに行ってきた。
詳細は公式HPを見てもらえばいいと思う。一言でいえば、様々なマニアが自分の好きなものを形にして発表・販売するお祭りである。
信州や城の石垣など分かりやすいものを対象にするマニアから、シャッターや信楽焼の狸などニッチながらも何となく分かるもの、片手袋(道端に片方だけ落ちている手袋)や宗教アニメや夜景をバックにおじさんを撮るマニアなど、解説が必要なものも数多くあった。
だが、ここはそういうマニアの祭典なので、あちこちでマニアが熱量高めにしゃべっており、それを否定したりする者などいない。
熱量が高すぎて私は会話できず、マニアの方が作った冊子2部と小物(手作りのセロテープカッター)を買って退散したが、平和で居心地のいい空間だなと思った。
話は変わるが、好きなものを好きというのは難しい。
例えば私は一人旅が好きだ。一人旅ブロガーというキャラでたまに外部メディア様に記事を寄稿してお金をもらっているので、もはやそれが副業として成立するくらいの好き具合だ。
他の人と行くと自分のペースでまわれないし、気を使って疲れてしまう。私はどちらかというと空気が読めないタイプといわれがちだが、気を使おうとしすぎて空回りしてしまっているのだと思う。そんなわけで、旅行くらいは一人でゆっくりしたいのである。
だが、基本的に一人旅は会社内など世間一般では理解されづらい。「一人旅はつまらないけどなぜ一人で行くの?」とつまらない前提で質問されてしまい、「一人の方が気楽」とオブラートに包んだ回答をした結果「一緒に行ける人が見つかるといいね」とあわれまれてしまう。
「お前を理解できない」と偉い方をヒートアップさせてしまったこともあった。これに関してはTPOをわきまえていない私が悪い。
会社など公共のスペースでは、みんなが理解できるよう話をしないといけない。結果、クルマや麻雀やゴルフや野球や風俗など、最大公約数的な趣味を「好き」ということにして、仕事の一環として周りと話を合わせる必要がある。
大抵の人はプライベートで適度にそういった趣味をたしなんでおくことにより話を合わせることができるが、私は不器用なので好きではないものに没頭するのが苦手である。それならば、好きなものに没頭したいと思ってしまう。
マニアフェスタの近寄りがたさと居心地のよさという正反対のものを合わせ持つ独特の空気は、マニアが「好き」を爆発させるという普段世間では見ることのできない迫力ある光景と、それが許される平和で優しい雰囲気が作りだすものだと思う。
世間はある程度多様性を認める方向にはなっているが、まだまだ2つ前の時代(昭和)の価値観が蔓延しており、「一人旅」などの「マニアック」な趣味嗜好は受け入れられているとはいいがたい。
マニアフェスタのような好きなものを自由に好きといえてそれが肯定されるような空間は、世間が本当に多様性を認めるまではなくなってほしくないと思うのである。
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