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一年おきに大晦日に帰って来る娘の事を私は首を長くして待っていた。だが、今年は帰らない。生きてるならそれで、良し、と自分に言い聞かせながら、夢が崩れていく。
さよならと言わないで 吉村まどまど
僕の姿が
見えなくなったからといって
悲しまないでください
いつものように
冗談を言い合って
皆と会ったときに陽気な口調で
僕の名前を出してください
買ったばかりの中古で
Tさんと三人でドライブしましたね
僕のお気に入りの海岸
三月だから人はいなくて
熱いコーヒー飲みたいなと
村上春樹は
僕の方が読破していて
あなたは少し悔しそうだった
「騎士団長殺し」は読む前に
リーダーとの別れが、あんなに早くくるなんてあの時は思いもしませんでした。出張先のホテルの浴室で亡くなったと知らせがきたのは、5日後のことでした。
同人誌で小説をかきはじめた頃、リーダーが「詩を書いてごらん。君が探していることばがみつかるかもしれない」と教えてくれました。素直になれない私は逆らってばかりいたのです。