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一年おきに大晦日に帰って来る娘の事を私は首を長くして待っていた。だが、今年は帰らない。生きてるならそれで、良し、と自分に言い聞かせながら、夢が崩れていく。

まど
3年前

あのひとの命日

ドアをあけて 闇の中へすべり出た ほのかに漂う甘ったるい匂い おずおずと夏の夜が横たわる どこかで叫び声が聞こえた 発情した猫のような  生きていたなら 飽きて…

まど
4年前
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さよならと言わないで    吉村まどまど

僕の姿が 見えなくなったからといって 悲しまないでください いつものように 冗談を言い合って 皆と会ったときに陽気な口調で 僕の名前を出してください 買ったばか…

まど
4年前
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リーダーとの別れが、あんなに早くくるなんてあの時は思いもしませんでした。出張先のホテルの浴室で亡くなったと知らせがきたのは、5日後のことでした。

まど
5年前

同人誌で小説をかきはじめた頃、リーダーが「詩を書いてごらん。君が探していることばがみつかるかもしれない」と教えてくれました。素直になれない私は逆らってばかりいたのです。

まど
5年前

一年おきに大晦日に帰って来る娘の事を私は首を長くして待っていた。だが、今年は帰らない。生きてるならそれで、良し、と自分に言い聞かせながら、夢が崩れていく。

あのひとの命日

ドアをあけて

闇の中へすべり出た

ほのかに漂う甘ったるい匂い

おずおずと夏の夜が横たわる

どこかで叫び声が聞こえた

発情した猫のような 

生きていたなら

飽きてしまうこともできただろう

未だ離れないでいる意識

私の肉はくたびれ ぽんこつ

取引されないままの敗残者

ひっそりと 百合のような白い手が

ひやっと 蛇のように

どうかしているどうかなりなよと

異業たちが耳元で囁く

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さよならと言わないで    吉村まどまど

僕の姿が

見えなくなったからといって

悲しまないでください

いつものように

冗談を言い合って

皆と会ったときに陽気な口調で

僕の名前を出してください

買ったばかりの中古で

Tさんと三人でドライブしましたね

僕のお気に入りの海岸

三月だから人はいなくて

熱いコーヒー飲みたいなと

村上春樹は

僕の方が読破していて

あなたは少し悔しそうだった

「騎士団長殺し」は読む前に

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リーダーとの別れが、あんなに早くくるなんてあの時は思いもしませんでした。出張先のホテルの浴室で亡くなったと知らせがきたのは、5日後のことでした。

同人誌で小説をかきはじめた頃、リーダーが「詩を書いてごらん。君が探していることばがみつかるかもしれない」と教えてくれました。素直になれない私は逆らってばかりいたのです。