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Zoomでスパイスカレー教室をやると、届けられる相手が全然違った話

小商い実験をしているカレー屋「nimo alcamo」の店主プッシュです。不定期でスパイスカレー教室を開催していますが、店を開けられないのでカレー教室をオンラインでやってみることにしました。
さあ、オンラインでどれぐらいの価値を生み出せるのか。


リアルの料理教室には何があったか

まずは、そもそもリアルのカレー教室とは何だったのかを考えます。料理教室の価値を考えたときに、競合はレシピ本と料理動画ですかね。

レシピ本は安価ですが
「文字だけでわかりづらい」
「食材や調味料が揃っていない」

みたいなハードルがあります。

料理動画のほうが情報量多くわかりやすいですが、それでもカレー教室へとやってくる方は大勢いらっしゃいます。そこには
「スパイスが未知すぎて教えてほしい」
「作ったけどうまくいかなかった」

みたいなニーズがあります。また参加者アンケートを読むと、他の人と一緒に作ることも楽しさの一つのようです。

その辺りを考えると、オンライン化してもカレー教室で担保したい価値は以下のようなものですね。

<カレー教室の価値>
①未知の調理方法を教えてくれる人がいて(文字情報を読むより楽)
②調味料や食材、調理器具を用意してくれていて(揃える手間が楽)
③参加者同士の交流を楽しみ一緒に食べられて
④自分の調理へのフィードバックをもらえること(正解を知れる)

色々揃えてくれるから楽なんですね、多分。あと楽しい。
オンラインでのカレー教室、この辺りをなんとか担保しながらやってみたいと思います。


Facebook、PayPay、Googleフォーム、Zoomがあれば遠隔料理教室はできる

イベントページ立ち上げ
まずは知り合いから実験してみようということで、Facebookのイベントページを立ち上げます。

個人情報取得
Facebookイベントページだと郵送先の個人情報を取得できないので、参加者にはGoogleフォームを使って郵送先の個人情報を入力してもらいました。

Facebook上の名前と郵送用の名前が違う方もいらっしゃるので、Facebookページのエントリーと一致させるために情報を集めます。あとは住所や事前質問などを回収しました。

お金のやりとり

次に参加費ですが、個人間送金は手数料のかからないPayPayを選択。PayPayは送金依頼を↑のように作成しURLを送ることで自分のアカウントへの送金を依頼できます。金額を指定して送金リクエストを送ることももちろん可能です。
誰からの入金か分かるように、コメント欄に名前を入れて送金してもらいました。

ただPayPayのアカウントを持っている人が思ったより少なく、参加者にご迷惑をおかけしました。銀行振り込みのほうが手数料はかかりますが、一般的ですね。振り込み窓口は複数あったほうが良さそうです。

スパイスを事前に郵送

イベント実施の1週間前をイベント申込み締切日とし、申し込んで下さった方には事前にレシピとスパイスのセットを郵送。50g以下、厚さ1センチ以下の定形郵便なら94円で送れます。

さて、これで準備完了です!初回は10名の方が同時に参加。
初回からちょっと多すぎかなと思いましたが、無事成功するか・・・!


当日のセッティングや流れはこんな感じ

キッチンもあるんですが光の入り方が良くなかったので、窓辺に撮影スタジオっぽい空間を作ってそこで撮影しました。

Zoomを使うのですが、PCとスマホの2台を同時に接続。PCは正面からのアングル用に。僕の顔が正面から見えるように設置します。

もう一台のスマホはアームを使って固定し、手元の作業を撮影できるように上からテーブルを覗き込む形で設置します。

さてセッティングが出来たのでいよいよ参加者を迎え入れ。事前にZoomでルームを作って、Facebookのイベントページ参加者にURLを伝えます。

<タイムテーブル>
11:30〜12:00 Zoomの部屋オープン。早く入ってきた人と雑談
12:00〜12:10 参加者同士の自己紹介(普段してることやスパイス経験)
12:10〜12:40 スパイスの基礎講座
12:40〜13:15 キーマカレー調理
13:15〜13:30 Q&A
※ごはん食べるのが遅れるので30〜60分早めたほうが良さそう

参加者のみなさん。一人暮らしの方、家族のいる方、シェアハウスの方、などさまざま。自己紹介が終わると、資料を画面共有で見せながらスパイスレクチャーを行っていきます。この段階では全員マイクオン。個別に当てて質問したりしながらワイワイ話していきます。
(僕は顔の映る正面のカメラに向かって話していて、手元はミュート状態。調理が始まると手元マイクをオン、正面をミュートにしました)

調理のレクチャーに入ります。このタイミングで参加者の皆さんはミュートにしてもらいました。レクチャーする僕の声は聞きやすくなりますが、喋ってる側としては一気にリアクションが無くなり寂しくなります。笑

一方通行な感じにはなりますが、チャットに色々書き込んでもらい、それを読んで反応しながら調理レクチャーをしていきます。
(ホストが手元撮影カメラへスポットライト設定をすれば、その画像が拡大されて参加者に表示されます)

チャットの質問に答えながら、大きなトラブルも無く調理完了!想像以上のクオリティでみなさん出来てました!
10人という人数なので調理中は一方通行感がありましたが、普段の料理教室とやったことはそんなに大きく変わりませんでしたね。
え、こんなうまくいくんや!笑 という感じ。


画面の向こうには家族の時間があった

終了後見せていただいた、あるご家庭の様子。
子どもと一緒に調理を楽しんで下さったようです。オンラインで料理教室をしてみて、リアルな料理教室との一番の違いは、画面の向こうにはそれぞれの家族の時間があること・・・。

子どもと料理教室なんて普段行けないけど、オンラインなら一緒にできるんですよ。シェアハウスの仲間とわざわざ料理教室には行かないけど、オンラインで昼飯つくる時に流してくれたらワイワイ作れるのかも。

料理は家でするのがいいな。
家族の時間がたっぷりある今こそ、家で一緒にやったらいい。

特別な料理を自宅なキッチンで作れるオンライン料理教室。リアルでやっていた時と届ける相手が全然違うなという感じです。
そして届ける相手が変われば、届ける価値を変えるべき。
料理のスキルアップではなく、
「家族の団らんをつくるサービス」
「自宅で未知の体験をするサービス」

みたいなものに変わっていくべきなんでしょう。リアルの再現をしようと始めた実験で、オンラインはリアルの代替ではなく別の価値をつくるべきってことを確信しました。


おまけ:参加者からの声

参加いただいた皆さんにアンケートをお願いしました。

「自宅待機のあいだ料理に凝ってて」という10代の受験生がいたり、お子さんと一緒にクッキングを楽しんで下さる方がいたり、幅広い年齢の方が参加してくださいました。
普段だと30代40代女性に偏ります。

遠隔なので調理が失敗したりすることはなく、みなさんうまくいったと感じて下さったようです。

Zoomってデータ使うのですが、一部ポケットwifiの方がいて、そういう方には負担だよなぁという感じです。

その他いただいたアドバイスはこんな感じ。

●レクチャーの内容や方法について感想や改善点を教えてください
・手元作業を映しながらだったので、ビジュアルで理解できて、火の通り具合や具材を投入するタイミングなどが分かりやすかった。また、先にレシピが届いたので、作業工程を予めイメージすることができて、段取り良く作業できた。
・ただ作るだけじゃなくって、スパイスの話をしてくれたのがよかったです!みんなで一緒に作っている感じが楽しかったです。途中工程で、少し遅れました笑
・スパイスのレクチャー、わかりやすくて勉強になりました!調理なので仕方ないですがカレー作りは始まってしまうと黙々、淡々と作業が進むな〜と思いました。
・ステイホームな子連れ世帯でも参加しやすい長さだったと思います(子供の関心も途切れないちょうど良い長さでした)
・それぞれが黙々と作業する時間も気になりませんでした。数人はミュート外してもいいかも?とも思いました(プッシュさんが寂しいかなとw)
●通信環境や撮影方法について感想や改善点を教えてください
・今回スマホでの参加でしたが、パソコンと比べての画面の小ささは特に問題なく、スムーズでした。
・調理の様子(フライパン)を上から映していただけたのよかったです。zoomの特性(?)なのか、こちらの電波やPCの問題なのか、音が遠い時がありました。。。

個人的な感想としては、10人という人数は個別のアドバイスを丁寧にできなかったので、次回は少人数で、美食倶楽部ネットワークさんが実験されていたような、ホストが調理をしない方式もやってみたい。そのほうがフィードバックに集中できそうなんですよね。

まだまだ色々と実験していこうと思います。
お読みいただきありがとうございました。


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