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カレー屋だけど、ただのカレー屋じゃない。「良い出会い」を生み出すカレー屋で、一緒に働く仲間を募集します

土曜日、朝9時55分。
東住吉区、山坂神社の近くで隠れ家のようにひっそりと佇む場所。
(ガラ・・ガラガラ・・・バン!)
店主らしき男性が、店から出てきてシャッターを開けた。一面ガラス戸になっているため、朝の光が店の中にいっきに差し込む。

もともと倉庫として使われていたために高い天井、粗いながらも開放的にリノベーションがされているその場所は、中に入ると少し香辛料の匂いが漂ってくる。店主はテーブルを片付け、キッチンで仕込みに使った器具を洗っている。

「おはようございます」

片付けの途中にドアが空き、20代前半ぐらいの男の子が入ってきた。細めのジーパンにスニーカー、おシャレっ気はないが清潔感のあるシンプルなシャツを着ている。

「え、もう来たんか。早すぎやん」

と言いながら、店主がその男の子と世間話を始めた。男の子は従業員ではないけど、客でもない。この店は「nimoalcamo(ニモアルカモ)」という。カレー屋ではあるけど、なんと言うかただのカレー屋じゃない。そんな店。


ニモアルカモのある場所

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ニモアルカモは、大阪の御堂筋線西田辺駅から10分歩いた、交通量の少ない住宅街の中にある。神社が近くにあるので、境内の木々を通り抜けた澄んだ空気が町に流れている気がする。休みの日は道行く人の雰囲気ものどかだ。公園で遊ぶ子どもづれの家族、ゲートボールをする年配の方、溜池で釣りをするおじさん、それぞれが思い思いの休日を過ごしている。

ここに店を構えた理由は、好きに改造してOKで、安く貸していただいたから。1年以上かけて仲間とリノベーションをして、1階を店舗に、2階を住居にした。維持コストをかけないために、店舗として営業するには向かないような、メインの通りから1本外れた目立たない場所を借りた。


ニモアルカモの空間

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秘密基地のような雰囲気を出したかった。だから昭和時代の古い物が並んでいて、全体的に少しごちゃっとしている。古材を使ったカウンター、漆の樽を再利用した椅子、古い黒板にはスパイスの講義をやった後の板書が残っている。本棚には店主が今までに影響を受けた本たちを並べた。

シャッターを開けた入り口は全面ガラス戸で、店内からは道行く人の日常を眺めることができる。窓の外の眺めが、自然な風景でとても好きだ。


「最高のカレーをつくる」じゃない、コンセプト

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ただのカレー屋って言いたくないのは、店のコンセプトが「良い形で社会と出会いなおす場」だから。「最高のカレーをつくる」とかでは、ない。
この店では10代〜40代まで、「1日カレー屋体験」の受け入れを行っている。そこで受け入れた人に良い体験をしてほしいから、この店をやっている。

店主の前職は若者の就労支援。うまく働けずひきこもったり、働くことが怖くなっている若者と多く出会ってきた。そんな彼らに必要なのは、良い出会い。「世の中も捨てたもんじゃないな」と思える出会いが人生で一つは必要だと思う。だから就労支援施設や高校生支援をするNPOと連携して、若者と一緒にここでカレーを作って店舗で出したり、移動販売車であちこちへ販売して回ったりしている。

店名の由来を聞かれるとこう答える。

「ヒッチハイクしたことありますか?あれ、無視されたり断られるとけっこう辛いんですよね。僕もはじめ怖かったですが、勇気出して19歳の時に京都~北海道を往復できました。なぜかというと、1台目にヒッチハイクで車に乗せてもらったとき、最高に楽しかったから。一度そんな楽しい思いをしちゃったもんで、途中どんなに辛くても、『今はしんどいけど、続けたらあの楽しみが待ってる』って思えたんですね。1回味わった良い出会いは、2回目以降を信じさせてくれる。その感覚がずっと残ってるんです。」

だから店の名前を『ニモアルカモ(2もあるかも)』にした。大事なのは、2を信じるための、1をつくること。この場所は、体験に来る人にとって0を1にしていくための場所でありたいと思っている。


出会い方の仕組み

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一度社会と良くない出会い方をした若者が、良い出会いをし直すためのいくつかの仕組み(というほどのものでもないけど)がある。店舗での体験でも良い出会いはあるけど、やっぱり醍醐味はイベント出店時の出会いかな。

①簡単な仕事から始めて「できる作業との出会い」
イベント出店がある時は事前の仕込みから手伝ってもらう。仕込みといっても玉ねぎをカットしスパイスと一緒に炒め続ける単純な作業。これぐらいシンプルで、失敗が少ない作業から始める。

②自分でつくった商品を売るという「商いとの出会い」
仕込みから手伝ってもらうので、販売時にお客さんから尋ねられてもカレーのことを説明できるようになっている。自分でつくった商品が売れるということは、誇らしく、嬉しい。すべての仕事に通じる、働く楽しさだと思う。

③お客さんとのやりとりでの「感謝してくれる人との出会い」
手間ひまかけて作っているので、お客さんに感謝されるということがある。感謝されるってのは、やっぱりいい。イベント出店は心がオープンな人も多く、お客さんとのやりとりが温かい。

④“カレー屋助手”という存在として「興味を持ってくる人との出会い」
イベントには、移動販売車(軽トラを改造したもの)で出店する。一緒にいる若者も「移動販売カレー屋の助手」という面白い存在として興味を持たれる。自分に興味を持つ人がいるということに、得意な気持ちになってほしい。

⑤イベントを作ったり楽しんでいる「素敵な大人との出会い」
出店するイベントは、手作りの面白い大人が仕掛け人のこもが多く、彼らはいろんな話をしてくれる。普段接しないような人の中に、ロールモデルとなるような人もいるかもしれない。

これらは一例だし状況によって変わっていくけど、体験に来た若者と社会との良い出会いをたくさん用意しておく、というスタンスは今後もずっと変わらないと思う。


ニモアルカモのカレー

ブラック×あさり出汁3

すっかりカレーの話を忘れていた。カレーが売れないと元も子もないので、美味しかったと言ってもらえるよう頑張っている。

長野県のお師匠さんの所で学んだヴィーガンカレー(世のベジカレーの中で一番美味しいと思っている!)の美味しさの秘訣は玉ねぎを7時間炒め続けて甘さを引き出すこと。ほかにも、スパイスをガリガリ噛むようなブラックキーマカレーや、和風出汁のカレーも人気。どれも、もちもちの玄米と一緒に食べてもらっている。
玄米に合わせるために、カレーは和風になることが多い。


カレー屋見習いの募集中

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さて、そんな店でカレー屋見習いとして働いてくれる人を募集しています。店主が地方への出張に出かけることが今後増えるので、店舗の営業日が減ってしまうためです。

食材の仕入れからカレーの仕込み、接客まで全て一人でできるようになってもらいます。最低1年間はニモアルカモで働いてもらいたいですが、その先の将来のことは僕も分からないので、独立したりうちの店の間借りで自分の店舗を出したりしてもらっても良いです。
ただし、フルタイム勤務ではありません。生計を立てるには、別の仕事とかけもちをしてもらうことになります。

カレー屋の体験受け入れは僕のいない時もやってもらっています。若者との出会いも楽しんでくれる方がいいな。欲を言うなら、地方への出張も一緒にでかけたりしたい。ハイエース運転できるなら最高!

さて、こんなざっくりとした募集要項で申し訳ないですが、一緒にうちの店をやってくれる方がいればSNSからメッセージを送ってほしいです。その後履歴書などを送っていただき、一日職場体験選考のあと採用を決めさせていただきます。

https://twitter.com/nimoalcamo
https://www.facebook.com/nimoalcamo
https://www.instagram.com/nimoalcamo

2022年3月加筆。スタッフ追加募集。

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以前の募集へは、多くの応募をいただきありがとうございました。
今回、スタッフの卒業に伴い1名スタッフを募集することになりました。条件は以下ご確認ください。
ご興味を持っていただいた方のご連絡、お待ちしております。

募集職種:カレー屋の仕込み、運営スタッフ
勤務時間:基本は10時半〜15時、その他夜営業や仕込み時間あり
勤務曜日:土日を基本として週1〜2日
保  険:労災保険
給  与:992円+交通費一部支給
勤務場所:大阪市東住吉区南田辺1-1-10
条  件:1年以上、できれば長期働ける方。普段から料理をする方。明るく接客していただける方。
選考方法:メッセージか郵送で履歴書をお送りください。その後オンラインで面接、職場体験選考を経て採否を決定します。

サポートいただいたお金は、今行っている若者の就労支援などへ充てさせていただきます。